父樣とうさま)” の例文
新字:父様
「お父樣とうさま、しばらくおいとまいただききたうございます」とおそるおそるちゝまへにでて、おねがひしました。そしてこゝろうちでは、どうか聽容きゝいれてくれるといいが。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
丁度自分が、お祖父樣ぢいさま父樣とうさま母樣かあさま姉樣ねえさま一所いつしよに、夕餐ゆうげ團欒まどゐ最中さなかに、此の聲が起るのだからたまらない。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
旦那だんなさまのおもひも、わたしおもひもおなじであるといふこと此子これそもそをしへてれたので、わたし此子これをばきしめて、ばう父樣とうさまものぢやあい、おまへ母樣かあさま一人ひとりのだよ
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
本當ほんたうにね、どうにかしてつてませうね。わたしは、ステイシヨンについたらすぐに、くるまでお父樣とうさまのお墓參はかまゐりにかうとおもひますわ。創生川そうせいがはぶちから豐平橋とよひらばしわたつてくんですわ。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
「いえ、何んにも變つたことはございませんが、私のに落ちないことを、親分さんにお訊ねし度いと思ひまして、父樣とうさまにも内證で、出入りの若い衆に頼んで、送つて貰ひました」
父樣とうさまさむいから、ひたした手拭てぬぐひで、ひたひこすつて、かたへまはして、ぐしや/\と背中せなかたゝきながら、胴震どうぶるひおよんで、くだん出尻でつちりすわらぬところは、落武者おちむしやが、野武士のぶしがれたうへこと難儀なんぎ
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つかはさるべきお約束やくそくとや、それまでのお留守居るすゐまた父樣とうさまをりふしのお出遊いでに、人任ひとまかせらずは御不自由ごふじいうすくなかるべく、何卒なにとぞ其處そこまはせて、白波しらなみ浦風うらかぜおもしろく
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「あツ、お父樣とうさま!」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
父樣とうさま母樣かあさま御褒美ごはうびいたヾくべしと威張ゐばるに、令孃ひめ微笑ほヽゑみながらいさましきをめて、そのやう大將たいしやうたまひても、わたしとはいまかはらずなかよくしてくだされや、大姉樣おほねえさま其外そのほかのおひと夫々それ/\片付かたづき
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「お父樣とうさま
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
鎌倉かまくらかばおかへりのきにまりたれば、のこりてさびしからんよりれも一處ともにゆき、れも此邸こヽかへるまじ、父樣とうさま母樣かあさまや、れをてヽも諸共もろともかんとばかり、令孃ひめしづかにさとして
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)