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涜
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けが
ふりがな文庫
“
涜
(
けが
)” の例文
「この人何ぞかく言うか、これは神を
涜
(
けが
)
すなり、神ひとりのほかは誰か罪を赦すことを得べき」と論じたのであります(二の五—七)。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
フランセエズ座の名優某は匿名の
下
(
もと
)
に「カイアヹエ氏の十三日の
夜
(
よ
)
の行為は神聖なるモリエエルの家(国立劇場)を
涜
(
けが
)
したものだ」
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
父の正義のしもとにぞ
涜
(
けが
)
れし心ひれ伏さむ 母の慈愛の涙にぞ 罪のゆるしを求め泣く
御神
(
みかみ
)
よ我を
逐
(
お
)
ふ
勿
(
なか
)
れ 神よ
汝
(
な
)
が子を逐ふ勿れ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
神を
涜
(
けが
)
す詞と
頌
(
ほ
)
める詞と——乳香と血煙とが互いに入りまざった。砲声殷々たる戦闘裡に、世界は征服せられ救済せられた。——
予言者の家で
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
誇ってよい点は
塗
(
ぬり
)
が正直で手堅いことで、村の人たちもその名誉を
涜
(
けが
)
しません。この村に住む者はいずれも「
隠念仏
(
かくしねんぶつ
)
」の信者であります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
▼ もっと見る
「この女は処女だ、私は初めて
聖
(
きよ
)
らかなものを
涜
(
けが
)
すのだ。しかも私は昨夜は他の女と寝たのに」。かく思うとき性欲は興奮する。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
「それは駄目だ。初筮は告ぐ。再三すれば
涜
(
けが
)
れ、涜れば則ち告げずだ。君、一つ
筮法
(
ぜいほう
)
を覚える気はないかね。暇潰しに習っちゃどうです。」
馬車
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
その寝台にはまだ彼女が横たわっているように思われて、自分がそこに寝ころぶのは、なんだか神聖を
涜
(
けが
)
すように感じられてならなかった。
世界怪談名作集:16 鏡中の美女
(新字新仮名)
/
ジョージ・マクドナルド
(著)
久次郎どのは何と云っているか知らないが、事実は全くこの通りであって、お姫様を
涜
(
けが
)
そうとするのは神を涜そうとするも同じことである。
半七捕物帳:26 女行者
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
所謂近江八景は「
比良
(
ひら
)
の暮雪」のほかは、多く湖南に屬する地點を撰んで名附けてあるが、今日の如く西洋文明の利器に
涜
(
けが
)
されない時代には
湖光島影:琵琶湖めぐり
(旧字旧仮名)
/
近松秋江
(著)
もっと心の奥底から子を
涜
(
けが
)
したくなかった母の本能、しかく潔癖に、しかく敏感に、しかく本能的にもより本能的なる母の本能——それには
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
これはどうしても今日になって認めずにはいられないが、それを認めたのを手柄にして、神を
涜
(
けが
)
す。義務を
蹂躙
(
じゅうりん
)
する。そこに危険は始て生じる。
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
と言つたところで、仏様を
涜
(
けが
)
す積りではさら/\ない。仏様は何事も御存じで、知らないのは坊さんと学者ばかりである。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
尼僧を無理に橇に乗せて、正気でない人たちと一緒に引っぱり廻したことが、今では馬鹿げた無暴な、そして神聖を
涜
(
けが
)
す所業のようにさえ思われた。
大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
茲
(
ここ
)
に翁の霊前に叩頭して罪を謝し、大方の高助を得て翁の像を作り、蕪文を列ねて翁の伝を物し、翁の聖徳を
涜
(
けが
)
す。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
瞬間、彼は
涜
(
けが
)
れた。——その後もっとひどいことがあった。ほとんど
昏迷
(
こんめい
)
の域にあったので、
詳細
(
しょうさい
)
の記憶はない。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
香の酔から醒めて、尼法師が帰って了うと、お園の思い出を
涜
(
けが
)
す恥かしさに、丈太郎は自分の身内を掻きむしり度いような恐ろしい悔恨に責められました。
新奇談クラブ:05 第五夜 悪魔の反魂香
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
若しそこに気が付いたら、セルギウスはそんな考を罪の深い事と思ひ、又神を
涜
(
けが
)
すことゝ思つたゞらう。併し息子を連れて来た母は歎願することを已めない。
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
この上君の内部生活を
忖度
(
そんたく
)
したり
揣摩
(
しま
)
したりするのは僕のなしうるところではない。それは不可能であるばかりでなく、君を
涜
(
けが
)
すと同時に僕自身を涜す事だ。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
川の岸が、
涜
(
けが
)
されたことのない処女の純潔に
譬
(
たと
)
えてもいいように、真っ白くなっているので、橋の
穹窿
(
きゅうりゅう
)
の下は一層暗く見えた。しかしほどなく目が闇に馴れた。
橋の下
(新字新仮名)
/
フレデリック・ブウテ
(著)
何だか神聖なものを
涜
(
けが
)
すような気がしてならぬ。触ってならぬものに触る不思議な遠慮を感じるのである。
人真似鳥
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
真実のキリストは彼等に由て
涜
(
けが
)
され彼等の斥くる所となりつつあるのである、依て知る路加伝冒頭の此一言も亦未来を語る言として読むべきものであることを
聖書の読方:来世を背景として読むべし
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
職を
涜
(
けが
)
さざると共に一藩の模範たらねばならぬ、鍛錬とはなんぞ、——須井栄之助、おまえの預かる組はなにを以て鍛錬とするか、おまえの組の鍛錬とはなんだ
評釈勘忍記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
パリー式の通人らは他の種類の平等を、不品行の平等を要求して、男子と同様に女子も身を
涜
(
けが
)
して結婚すべきことを——情人をもつの権利を——主張していた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
しかも
良人
(
をつと
)
のあだかたきなる、二人の為に身を
涜
(
けが
)
されて、
調戯
(
なぐさみもの
)
となれる事、もともといかなる悪業ぞや。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかも同じ自分の眼は千登世を
打戍
(
うちまも
)
つてゐなければならなかつた。愛の分裂——と言ふ程ではなくとも、何んだか千登世を
涜
(
けが
)
すやうな例へやうのない濟まなさを覺えた。
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
降
(
くだ
)
って崇神天皇の御代に至り、そのかえって神威を
涜
(
けが
)
し奉らんことを恐れ、宮外の適当な地を選んでこれを祭り奉り、各々皇女をして、これに仕えしめ奉ったのであった。
「日本民族」とは何ぞや:日本民族の概念を論ず
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
これ見馴れ聞き馴るるのあまり、その威を
涜
(
けが
)
すを畏れてなり。近ごろ水兵などが、畏き
辺
(
あた
)
りの御名を呼ばわりて人の頭を打ち、また売婬屋で
乱妨
(
らんぼう
)
などするを見しことあり。
神社合祀に関する意見
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
それ以来彼女はよい生活を望み、最後のみごとな行いを
涜
(
けが
)
すまいとしている。三世紀前からあらゆる死刑台に身を売った彼女も、羞恥心を覚えて以前の商売を恥じている。
死刑囚最後の日
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
で、姉さんの場合もちょうどそれと同じで、不幸にもそこへラザレフがルキーンとの結婚を強要したのですから、神を
涜
(
けが
)
すよりはと、養父の咽喉に刃を突き立てたのですよ。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
それも自分でそう信じていればいいので、口へ出すべきことではないと、そうも思っていた。誰が何と言わなくとも、自身が一番
涜
(
けが
)
された自身の汚さを感じているのだった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それですからわたくしは二度目の夫を持ちましても、あなたの記念を
涜
(
けが
)
したのではございません。二度目の夫を持ってからも、わたくしはやはり前の夢の続きを見ていました。
田舎
(新字新仮名)
/
マルセル・プレヴォー
(著)
元日快晴、二日快晴、三日快晴と
誌
(
しる
)
されたる日記を
涜
(
けが
)
して、この
黄昏
(
たそがれ
)
より
凩
(
こがらし
)
は
戦出
(
そよぎい
)
でぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
自分が
抑々
(
そもそも
)
生れて初めて教鞭をとつて、此校の職員室に
末席
(
ばつせき
)
を
涜
(
けが
)
すやうになつての一週間目、生徒の希望を容れて、といふよりは
寧
(
むし
)
ろ自分の方が生徒以上に希望して開いたので
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
陛下もし臣の筆をこの大悪に
涜
(
けが
)
さしめんと欲し給わば、
須
(
すべか
)
らくまず臣に死を賜わるべし。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
実に怪しい物すごい光景で、もし人にこれを見せたらば、確かに神に仕うる僧侶とは思われず、何か
涜
(
けが
)
れたる
悪漢
(
わるもの
)
か、
屍衣
(
しい
)
の
盗人
(
ぬすびと
)
と、思い違えられたであろうと察せられました。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
妙な意地ずくからこんな
出鱈目
(
でたらめ
)
を申立て、愛する蕗子の死後を
涜
(
けが
)
して実に彼女に対して申しわけのないことですが、聞いている中谷は見る見る真蒼な顔をして、額に
脂汗
(
あぶらあせ
)
をにじませ
流転
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
狎
(
な
)
れるといっても
涜
(
けが
)
すには至らず、諸事万事御意の
随意々々
(
まにまに
)
曾て抵抗した事なく、しかのみならず……此処が肝賢
要
(
かなめ
)
……他の課長の遺行を
数
(
かぞえ
)
て暗に盛徳を称揚する事も折節はあるので
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
頑児虚弱にして狂暴、
本
(
もと
)
より人の数の中に
在
(
あ
)
らざるも、天下
反
(
かえ
)
って虚名を謬聴し、認めて豪傑と為す者有り。
向
(
さき
)
に愚論数道を以て、これを梁川緯に致せしに、緯、
窃
(
ひそか
)
に
上
(
かみ
)
青雲の上を
涜
(
けが
)
す。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
今日では何人も、イエスを神を
涜
(
けが
)
す罪人とは考えない。彼こそは、実に外面的の冷かなる虚礼虚儀を排して、その代りに、
陽
(
ひ
)
の光の如く暖かなる内面的の愛を、人の心に注ぎ込んだのである。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
ああ私はあらゆる淨い
氣高
(
けだか
)
い土地をかうして今までむだに
涜
(
けが
)
して來た
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
我は生れながらの清白なる身を
涜
(
けが
)
すが如くおもひき。かゝる懸念は今や
名殘
(
なごり
)
なく失せたり。今こそ我は一人前の男にはなりたるなれ。かの教育の滓を身に帶びたる限は、その人小兒のみ、卑怯者のみ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
初期のものだけが比較的いいのは、心がまだ素朴であり素直だったからです。あの「楽」を大事がる時、茶人達は茶祖の真意を
涜
(
けが
)
しているのです。
民芸とは何か
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
みだらな不行跡な振る舞は安息日を
涜
(
けが
)
すものだといふので、二人の夫婦は二時間ばかり警察に拘留されたことがあつた。
茶話:07 大正十四(一九二五)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
しかるにそこに居合わせたパリサイ人の学者たちはイエス様の言葉をとらえて、「これは神を
涜
(
けが
)
す言だ。神ひとりのほかは誰か罪を赦すことを得べき」
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
「そうだね。余りに清浄なものと、余りに
涜
(
けが
)
れたものの相違は、ときとすると人間の隔離を遠くするね。」
或る少女の死まで
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
そして今
萌
(
きざ
)
した神を
涜
(
けが
)
す思想が消えて、心が又落ち着いて来るまで祈祷を続けた。さて
鐸
(
すゞ
)
を鳴らして僧を呼んで、それに商人と娘とを来させるやうに言付けた。
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
兼吉さんと米ちやんとのお話を承はつてる中に、私の心が妙な風に成つて来ましてネ、
仮令
(
たとひ
)
女性
(
をんな
)
の
節操
(
みさを
)
を
涜
(
けが
)
したものでも、其が自分の心から出たのでないならば
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
だがそれは子供と遊ぶというよりは、子供をおもちゃにすること、子供を
涜
(
けが
)
すことによって、自己の満足を買うことに興味を感じ出したものというのが至当でしょう。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
愛することは、ああ愛することは、愛するものを
涜
(
けが
)
すことによってしか可能ではないのか?……
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
涜
漢検準1級
部首:⽔
10画
“涜”を含む語句
汚涜
冒涜
涜職
冒涜的
褻涜
溝涜
涜職事件
冒涜者
涜神
自涜
涜聖
涜言
汙涜
査涜
涜牧龍君
涜狎
涜神罪
涜神者
涜罪
四涜
...