次男じなん)” の例文
糟谷かすや次男じなん芳輔よしすけじょれい親子おやこ四人の家族かぞくであるが、その四人の生活が、いまの糟谷かすやはたらきでは、なかなかほねがおれるのであった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
いよいよお嫁合よめあわせの時刻じこくになると、その支度したく出来できたお座敷ざしきへ、いちばん上のにいさんから次男じなんなん順々じゅんじゅんにおよめさんをれてすわりました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
しかるにひとりの男来り、さもはぢらふさまにて人のうしろ欲言ものいはんとしていはず、かしらたれなみだをおとしけり、人々これをみれば同村おなじむらなにがし次男じなん也けり。
駿河臺するがだい紅梅町こうばいちやうにそのほる明治めいぢ功臣こうしん竹村子爵たけむらししやくとの尊稱そんしよう千軍万馬せんぐんまんばのうちにふくみし、つぼみのはなひらけるにや、それ次男じなんみどりとて才識さいしきらびそなはる美少年びせうねん
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
父親ちゝおや合點がてん母親はゝおや承知しようちで、向島むかうじま花見はなみかへりが夜櫻見物よざくらけんぶつつて、おいらんが、初會惚しよくわいぼれ、と寸法すんぱふるのであるが、耕地かうち二十石にじつこく百姓ひやくしやう次男じなんではうはかない。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
次男じなん曹彰そうしょう
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幼年より病身びやうしんと雖も御惣領ごそうりやうなればおし家督かとくに立給しが綱教卿も同年九月九日御年廿六さいにて逝去せいきよなり然るに次男じなん頼職卿よりなりきやう早世さうせいなるにより紀伊家はほとん世繼よつぎたえたるが如し三なん信房卿同家へ養子やうしならせられてなけれ共外に御血筋ちすぢなき故まづ左京太夫頼純よりすみの四男宗通むなみちの次男を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つまは三つになる次男じなんを、さもかわいらしそうにむねきよせ子どものもじゃもじゃしたかみに、白くふっくらした髪をひつけてなんのもない面持おももちに眠っている。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
上總國かづさのくに上野郡かうづけぐん田地でんぢ二十石にじつこくばかりをたがやす、源五右衞げんごゑ百姓ひやくしやう次男じなんで、小助こすけふのがあつた。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
甚之助じんのすけとて香山家かやまけ次男じなん、すゑなりにはないとヾ大輪おほりんにて、こヽのつなれども權勢いきほひしのぎ、腕白わんぱくかぎりなく、分別顏ふんべつがほ家扶かふにさへはず、佛國ふつこく留學りうがく兄上あにうへ御歸朝ごきてうまでは
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ず爰に出入の者の内に古着渡世ふるぎとせいの者有りしが彼が周旋せわにて富澤町に甲州屋吉兵衞と云ふ古着渡世の者の次男じなんに千太郎と呼て當年二十歳になり器量きりやうと云ひ算筆さんぴつと云ひ殊に古着渡世なれば質屋にもちなみ有て申分なき若者成れば御當家の御養子やうしにせられては如何にやと相談さうだん有りけるに五兵衞は彼の持參金のなきより縁談えんだん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ともに身體からだやすましてらくをさせようとふ、それにもしうとたちのなさけはあつた。しかしはくのついた次男じなんどのには、とん蝶々てふ/\菜種なたねはな見通みとほしの春心はるごころ納戸なんどつめがずにようか。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)