“權威(けんゐ)” の例文
新字:権威
子供だけが時として、母の權威(けんゐ)を馬鹿にして、笑ひ飛ばして了つた。夫人はいゝ服裝をして、それを引き立てるやうな風采と態度を持つてゐた。
『もう一度(ど)復誦(ふくせう)して呉(く)れッて、娘(むすめ)に然(さ)う云(い)へ』其(そ)れは恰(あだか)も愛(あい)ちやん以上(いじやう)に或(あ)る權威(けんゐ)を持(も)つてゞも居(ゐ)るかのやうに、グリフォンの方(はう)を顧(かへり)みました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
金(かね)の力(ちから)と權威(けんゐ)を以(もつ)て、見事(みごと)に此(こ)の女(もの)祕藏(ひざう)し見(み)すべし、再(ふたゝ)び是(これ)を阿母(おふくろ)の胎内(たいない)に戻(もど)すことこそ叶(かな)はずとも、などか其(そ)の術(すべ)のなからんや、いで立處(たちどころ)に驗(しるし)を見(み)せう。
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
口(くち)では意志(ゐし)の自由(じゆう)だとか、個人(こじん)の權威(けんゐ)だとか立派(りつぱ)なことは云ツてゐるものゝ、生活(せいくわつ)の爲(た)めには心(こゝろ)にもない業務(ぎやうむ)を取ツたり、下(さ)げなくても可い頭も下げなければならない。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
大名(だいみやう)の行列(ぎやうれつ)が來(き)ても、五分(ぶ)々々(/\)に通(とほ)れるといふほどの權威(けんゐ)のあるものに、玄竹(げんちく)の藥箱(くすりばこ)は出世(しゆつせ)した。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
私し親戚(しんせき)のことゆゑ二人を引取世話(せわ)いたし其後昌次郎が妻(つま)に仕つりしが傳吉これを却(かへ)つて妬(ねた)み其上村長役を傳吉へ申付られ候故(ゆゑ)名主(なぬし)の權威(けんゐ)を以て段々押領(あふりやう)我意等(がいとう)の振舞(ふるまひ)候故村中私しへ村長を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
若(も)し、諸君(しよくん)にして中江兆民(なかえてうみん)先生(せんせい)と同(どう)一種(しゆ)であつて、十八里(り)零圍氣(れいゐき)を振舞(ふりま)はして滿足(まんぞく)して居(ゐ)るならば、諸君(しよくん)は何(なん)の權威(けんゐ)あつて、『春(はる)短(みじか)し何(なに)に不滅(ふめつ)の命(いのち)ぞと』云々(うん/\)と歌(うた)ふ人(ひと)の自由(じいう)に干渉(かんせふ)し得(う)るぞ。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「さうだな衣物(きもの)は焙(あぶ)る間(えゝだ)仕(し)やうねえなそんぢや褞袍(どてら)でも俺(お)ら家(ぢ)から持(も)つて來(く)つとえゝな、此(こ)の蒲團(ふとん)だけぢや暖(ぬくと)まれめえこら」彼(かれ)は少(すこ)し權威(けんゐ)を有(も)つた態度(たいど)でいつた。狹(せま)い小屋(こや)の焚火(たきび)は消(き)えて居(ゐ)た。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それで對等の間柄(あひだがら)で話をするといふわけにも參りませんしねえ。權威(けんゐ)を失(な)くしません爲めには、當然隔(へだ)てをつけて置かなくてはなりません。確か昨年の冬でございましたよ。
見當(あた)らば屹度(きつと)其處に張番を付け置き此方と并に町奉行へ屆け出よ必ず權威(けんゐ)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
九助儀今更(さら)未練(みれん)にも遺恨(ゐこん)に存親類中も不通(ふつう)に相成加之(そのうへ)同人名主役申付られしより村長(むらをさ)の權威(けんゐ)を振(ふる)ひ私欲(しよく)押領(あふりやう)多く小前の者ども難儀(なんぎ)仕つるに付村中寄り合ひ又々惣内を歸役(きやく)致させんと内談(ないだん)いたせし儀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)