明白めいはく)” の例文
張揚はりあげコリヤ憑司只今傳吉夫婦が言立る所は如何にも明白めいはくなり然すれば其方そのはうは公儀をいつは罪人ざいにんこゝ不屆ふとゞき者めと白眼にらめらるゝに憑司はハツとかうべ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
常習万引じょうしゅうまんびきの罪状はきわめて明白めいはくだった。予審よしんが済むと、私の身柄は直ちに近郊の刑務所に移された。やがて判決言渡いいわたしがあった。
柿色の紙風船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
大使館たいしかん所在しよざいを、かれ明白めいはくにはらなかつた。勿論もちろん招待せうたい意味いみについても、明確めいかくなことはわからなかつた。しかし大凡おゝよその見当けんたうはわかつてゐた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
そのは、ものぐるはしく、面影おもかげしろい、かみくろい、もすその、むねの、ちゝのふくらみのある友染いうぜんを、端坐たんざしたひざかして、うちつけに、明白めいはくに、ゆめ遠慮ゑんりよのないやうにこひかたつた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
単に薪水しんすい食料しょくりょうを求むるの便宜べんぎを得んとするに過ぎざりしは、その要求ようきゅう個条かじょうを見るも明白めいはくにして、その後タオンセント・ハリスが全権ぜんけんを帯びて来るに及び、始めて通商条約つうしょうじょうやくを結び
さてその秘密ひみつ如何いかなるものにや、このはたゞちかひをはつて、詳密つまびらかなることは、明日めうにちその秘密ひみつひそめられたる塲所ばしよおいて、實物じつぶつついて、明白めいはくしめさるゝとのことこの其儘そのまゝ寢床ねどこよこたはつたが
あまりに事情が明白めいはくなので、それでも松江を学校によこせとはいえず、だまって松江の顔をみた。小さな赤ん坊をおぶったまま、父親のわきにちょこんとすわって松江もだまっていた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
領主 この書面しょめんにてそう申條まうしでうあかりったり、情事じゃうじ顛末てんまつをんな死去しきょ報告しらせまた貧窮ひんきうなる藥種屋やくしゅやより毒藥どくやく買求かひもとめてそれを持參じさんし、此處これなるをんなはかなかにて自殺じさつなさん底意そこいまで、明白めいはく相成あひなったわ。
吟味ぎんみせしに殘金十一兩りたり是を思へば文右衛門盜賊たうぞくでなき事は明白めいはくなり斯程かほどに證據ある上は汝何程陳ずる共せんなき事ぞいたき思ひを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それで明白めいはく。それ以外の何物でもない。ところが大統領の場合は、そんな固定したものではない。彼は今や青雲街道せいうんかいどうを踏み出していると見るべきだ
諜報中継局 (新字新仮名) / 海野十三(著)
わたし勿論もちろんどつちが危険きけんだかといふ明白めいはく意識いしきなくして、たゞ漠然ばくぜんなかば謙遜けんそん気持きもちつたのであつたが、S、Hがまたさうふう謙遜けんそん意味いみこたへたのに出会であつて
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
とき帷中ゐちうをんなれば、ゑんとしておでこの醜態しうたい明白めいはく成畢なりをはんぬ。
鑑定 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
申立てしも今聞とほりなり眞直まつすぐに申立よ此上つゝかくすに於ては急度きつと申付るぞと聞て善右衞門ヘイ明白めいはくに申上ます私しは然樣さやうなる者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「駄目だ。これだけ色々とやってみても、がたりともせんじゃないか。ただの鞄に過ぎないことは明白めいはくだ。赤見沢博士謹製のものならこんなことはない」
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「それも明白めいはく。あの二十世紀文福茶釜、じつはアルミ製の釜だが、あの中にQがまじっていたのです。そうでなければ、釜が踊ったり綱わたりができるものではない」
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
万事ばんじ明白めいはくになるからと、しきりにその事を申し述べたのであるが、車掌と憲兵とは、それを実行しようとも何とも言わずに、彼を三等車の隅っこに押しこんで、附近の乗客に
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)