指揮しき)” の例文
それは友愛塾のために特に考案されたもので、その指導も指揮しきも次郎の役割だった。体操がすむと、朝倉先生の合い図で静坐せいざに入った。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
いましも船首甲板せんしゆかんぱんける一等運轉手チーフメート指揮しきしたに、はや一だん水夫等すいふら捲揚機ウインチ周圍しゆうゐあつまつて、つぎの一れいとも錨鎖べうさ卷揚まきあげん身構みがまへ
大将軍刑玠たいしょうぐんけいかい指揮しきする数万の明兵みんぺいが、昇天しょうてんりゅうの黒雲をまくように、土けむりを立てて、まっさか落としにめくだってきた。
三両清兵衛と名馬朝月 (新字新仮名) / 安藤盛(著)
フランソアとラルサンの二人の水夫はモレロの指揮しきにしたがって、丸木舟を作っていたことは読者のすでに承知のとおりだ。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ぜひなく観念かんねんした鉱山掘夫かなやまほりは、伊部熊蔵いのべくまぞう指揮しきのもとに小太郎山こたろうざんの東のふもと、木や草をわけて八方へらかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かなたから、おおぜいのひとのくるけはいがしました。ると、一れつ軍隊ぐんたいでありました。そしてうまってそれを指揮しきするのは、かの青年せいねんでありました。
野ばら (新字新仮名) / 小川未明(著)
燕王、指揮しき武勝ぶしょうりて、朝廷兵をむるを許したまいて、而して糧を絶ち北を攻めしめたもうは、前詔ぜんしょう背馳はいちすと奏す。帝書を得て兵をむるの意あり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
寒暖計の水銀はれい点下三十度にくだる日が少なくなかった。少年らは終日しゅうじつ室内から一歩も出ることはできない。かれらは喜んで富士男の指揮しきにしたがった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
チャイコフスキーの指揮しき下手べたはきわめて有名で、それから二十年間決して指揮棒を手にしなかったほどである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
機關兵きくわんへい機關室きくわんしつまもり、信號兵しんがうへい戰鬪樓せんとうらうち、一とう、二とう、三とう水兵等すいへいら士官しくわん指揮しきしたに、いま引揚ひきあげた端艇たんていをさめつゝ。
特定の人の指揮しき命令に従って行動するようにのみ訓練され、共同生活訓練といえば、だいたいそうした訓練だと心得ている者があるかもしれないが
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
はじめ事件の捜査そうさ指揮しきをとっていた長戸検事ながとけんじは、もちろん、この事件をわすれてはいなかった。ひそかに毎日毎夜、頭をひねるのがれいになっていた。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
このつき燕王指揮しき李遠りえんをして軽騎六千を率いて徐沛じょはいいたり、南軍の資糧をかしむ。李遠、丘福きゅうふく薛禄せつろくと策応して、く功をおさめ、糧船数万そう、糧数百万をく。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
落ちた枝をひきずって、エッサラモッサラと、幼年組が運搬うんぱんする。運ばれた枝はゴルドンの指揮しきで、厩舎うまや養禽小舎ようきんごや、洞門にうちかけられ、即成そくせいの茂林となった
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
このやま獣物けものたちは、いざるの指揮しきしたがって、行列ぎょうれつととのえて、みねからみねへとってあるきました。
深山の秋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
呂宋兵衛は馬からひらりとり、二、三百人の野武士を指揮しきして、見るまにそこへだんをきずかせ、十字架を立て、かがり火をいて、いのりのしたくをととのえさせた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
兎角とかくするほどに、海底戰鬪艇かいていせんとうてい試運轉しうんてんをはり、櫻木海軍大佐さくらぎかいぐんたいさふたゝ一隊いつたい指揮しきして上陸じやうりくした。電光艇でんくわうていあだか勇士ゆうしいこうがごとく、海岸かいがん間近まぢか停泊ていはくしてる。
「では直ぐに掘り出して、本署へはこんで来い。警官を立ち合わせるから、その指揮しきあおぐのだ。よいか」
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
衆議しゅうぎ一決のうえはいよいよ貨物運搬かもつうんぱんにとりかからざるをえない。富士男の推薦すいせんでいっさいの工事は仏国少年バクスターに一任し、一同はその指揮しきにしたがうことにした。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
待設まちもうけたる斉泰は、たゞちに符を発し使を遣わし、いて燕府の官属を逮捕せしめ、ひそか謝貴しゃき張昺ちょうへいをして、燕府に在りて内応を約せる長史ちょうし葛誠かつせい指揮しき盧振ろしんと気脈を通ぜしめ
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
何より心配だったのは、軍部の巨頭きょとうがこれに参加してはいないかということでしたが、それはさすがにないようです。少なくとも、今のところ、直接指揮しきしているとは思えません。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
そっと輿こしなかからのぞいてみますと、あの子供こどもが、みんなを指揮しきしています。
雪の上のおじいさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
采配さいはい、陣立て、すべてはむろん、軍師ぐんし小幡民部こばたみんぶこれを指揮しきするところ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この大建築事業も、たくさんの機械人間が使われ、博士はいつも指揮しきをとっていた。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「荒つとに蔦のはじめや飾り縄」で、延喜式の出来た時は頼朝があごで六十余州を指揮しきする種子たねがもうかれてあつたとも云へるし、源氏物語を読んでは大江広元が生まれないはるかに前に
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
と、何処かで指揮しきの声をふり絞っている。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
警部さんはあせみどろになっての指揮しきです。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)