トップ
>
押遣
>
おしや
ふりがな文庫
“
押遣
(
おしや
)” の例文
善吉も若い者であるから、こんな話に一種の興味を持つて、店の火鉢を二人の前へ
押遣
(
おしや
)
ると、
他
(
た
)
の男もたうとう思ひ切つて店に腰をおろした。
赤膏薬
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
潮風で漆の
乾
(
から
)
びた、
板昆布
(
いたこぶ
)
を折ったような、
折敷
(
おしき
)
にのせて、カタリと櫃を
押遣
(
おしや
)
って、立てていた
踵
(
かかと
)
を下へ、直ぐに出て来た。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小山古き皿を
押遣
(
おしや
)
りて新しき皿を引寄せ「これは何だね」主人「それも牡蠣料理だ、牡蠣料理中第一等の
美味
(
うま
)
いものでオイスタークリームという。 ...
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
屍体検案書の書込みの方は後廻しにする決心をしたらしくソッと横の方へ
押遣
(
おしや
)
って、屍体台帳の方を繰拡げますと
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
さりとて
此
(
この
)
大事
(
だいじ
)
な
生命
(
いのち
)
の
綱
(
つな
)
を、むさ/″\
海中
(
かいちう
)
に
投棄
(
なげす
)
てるには
忍
(
しの
)
びず、なるべく
艇
(
てい
)
の
隅
(
すみ
)
の
方
(
ほう
)
へ
押遣
(
おしや
)
つて、またもや四五
日
(
にち
)
前
(
まへ
)
のあはれな
有樣
(
ありさま
)
を
繰返
(
くりかへ
)
して
一夜
(
いちや
)
を
明
(
あか
)
したが、
翌朝
(
よくあさ
)
になると
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
飯櫃
(
おはち
)
の蓋を取つて、あつめ飯の
臭気
(
にほひ
)
を
嗅
(
か
)
いで見ると、丑松は
最早
(
もう
)
嘆息して了つて、そこ/\にして膳を
押遣
(
おしや
)
つたのである。『懴悔録』を
披
(
ひろ
)
げて置いて、先づ残りの
巻煙草
(
まきたばこ
)
に火を点けた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「然し自意識が発達すると云ふ事は、他人の間から自己を独立させると云ふ事になる、また
囚
(
とらは
)
れた自分を
活
(
いか
)
さうと云ふ事にもなる。」と膳を
押遣
(
おしや
)
つて、心静かに落着いて煙草を
吹
(
ふか
)
して居る。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
そんなわけで、これまでたまたまに
遇
(
あ
)
っていた少女と毎日顔を合わせるようになる。
禍機
(
かき
)
はそこに
潜
(
ひそ
)
んでいた。盲目の性慾は時を得顔にその暗い手を伸して、かれを未知のすさんだ道に
押遣
(
おしや
)
った。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
「大変遅くなって……」と言って、座敷と居間との間の
閾
(
しきい
)
の処に来て、半ば坐って、ちらりと電光のように時雄の
顔色
(
かおつき
)
を
窺
(
うかが
)
ったが、すぐ紫の
袱紗
(
ふくさ
)
に何か包んだものを出して、黙って姉の方に
押遣
(
おしや
)
った。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
爽
(
さわやか
)
な心持に、道中の里程を書いた、名古屋扇も開くに及ばず、畳んだなり、肩をはずした振分けの小さな荷物の、白木綿の
繋
(
つな
)
ぎめを、
押遣
(
おしや
)
って
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
血気の男二人に、突き戻され、
押遣
(
おしや
)
られて、強情なお杉も
漸次
(
しだい
)
に
後
(
あと
)
へ
退
(
すさ
)
ったが、やがて口一杯に
啣
(
ふく
)
んだ
山毛欅
(
ぶな
)
の実を咬みながら、市郎の顔に向ってふッと噴き付けた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
何時
(
いつ
)
まで
考
(
かんが
)
へて
居
(
を
)
つたとて
際限
(
さいげん
)
のない
事
(
こと
)
、
且
(
か
)
つは
此樣
(
こんな
)
に
夜
(
よ
)
を
更
(
ふ
)
かすのは
衞生上
(
ゑいせいじやう
)
にも
極
(
きわ
)
めて
愼
(
つゝし
)
む
可
(
べ
)
き
事
(
こと
)
と
思
(
おも
)
つたので
私
(
わたくし
)
は
現
(
げん
)
に
想像
(
さうぞう
)
の
材料
(
ざいりよう
)
となつて
居
(
を
)
る
古新聞
(
ふるしんぶん
)
をば
押丸
(
おしまろ
)
めて
部室
(
へや
)
の
片隅
(
かたすみ
)
へ
押遣
(
おしや
)
り
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
私は
密
(
そっ
)
と
押遣
(
おしや
)
って、お三輪と一所に婦人だちを
背後
(
うしろ
)
へ
庇
(
かば
)
って、座を開く、と幹事も
退
(
の
)
いて、私に並んで
楯
(
たて
)
になる。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
言葉つきなら、仕打なら、人の息女とも思わぬを、これがまた気に懸けるような娘でないから、そのまま重たげに猟犬の
頭
(
かしら
)
を
後
(
うしろ
)
に
押遣
(
おしや
)
り、顔を見て笑って
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「神月梓というんだよ。」といいながら手を向うへ
押遣
(
おしや
)
ったが、
吻
(
ほっ
)
と息を
吐
(
つ
)
いて
俯向
(
うつむ
)
いた。学士はここで名乗った名が
太
(
いた
)
くも
汚
(
けが
)
れたように感じたのである。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
支
(
つ
)
いて
突立
(
つッた
)
ったその三味線を、次の
室
(
ま
)
の暗い方へ
密
(
そっ
)
と
押遣
(
おしや
)
って、がっくりと筋が
萎
(
な
)
えた風に、折重なるまで
摺寄
(
すりよ
)
りながら、
黙然
(
だんま
)
りで、
燈
(
ともしび
)
の影に水のごとく
打揺
(
うちゆら
)
ぐ、お三重の背中を
擦
(
さす
)
っていた。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
百合 (続いて出で、
押遣
(
おしや
)
るばかりに)どうぞ、お立ち下さいまし。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
外套を
押遣
(
おしや
)
って、ちと慌てたように
広袖
(
どてら
)
を脱ぎながら、上衣の衣兜へまた手を入れて、顔色をかえて
悄
(
しお
)
れてじっと考えた時、お若は
鷹揚
(
おうよう
)
に
些
(
さ
)
も意に介する処のないような、しかも情の
籠
(
こも
)
った調子で
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
海野は感謝状を巻き戻し、
卓子
(
ていぶる
)
の上に
押遣
(
おしや
)
りて
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
雪枝
(
ゆきえ
)
は
語
(
かた
)
つて、
押遣
(
おしや
)
るやうに
手
(
て
)
を
振
(
ふ
)
つた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「大丈夫? そうさ、また大丈夫でなくったって誰が何というものか、酒はお前さんが飲むんじゃあないか、そしてお前さんが酔ったんだろう、芸者の蝶吉が酒に酔ったって、私にゃあ甘くも辛くもない、何も難しいことはありません。」と
向
(
むこう
)
へ
押遣
(
おしや
)
ると
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
押
常用漢字
中学
部首:⼿
8画
遣
常用漢字
中学
部首:⾡
13画
“押”で始まる語句
押
押入
押籠
押込
押立
押被
押付
押戴
押上
押取