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抜身
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ぬきみ
ふりがな文庫
“
抜身
(
ぬきみ
)” の例文
旧字:
拔身
築地
(
ついじ
)
の崩れの陰などでは、
抜身
(
ぬきみ
)
を片手に女どもをなぐさんでおります浅ましい有様が、ちょっと使に出ましても二つや三つは目につきます。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
いつのまにか、
卜斎
(
ぼくさい
)
と
蛾次郎
(
がじろう
)
のまわりには、十
数槍
(
すうそう
)
の
抜身
(
ぬきみ
)
の
穂尖
(
ほさき
)
、音もせずに、ただ光だけをギラギラさせて、
芒
(
すすき
)
のように
植
(
う
)
えならんでいた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平素
(
ふだん
)
温和
(
おとな
)
しい
善
(
よ
)
い人の
怒
(
おこ
)
ったのは
甚
(
ひど
)
いもので、物をも云わずがらりと戸を開けて中へ飛込み、片手に
抜身
(
ぬきみ
)
を
提
(
さ
)
げて這入ると、未だ寝は致しません
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
抜身
(
ぬきみ
)
の槍を抱えて竜之助は程よいところへ坐り、穂先をズッと
燈火
(
あかり
)
の方へ向けたから、擬いの勤番連は
煙
(
けむ
)
に捲かれて
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
喬之助は、
抜身
(
ぬきみ
)
の一刀を糸で腰に釣って、それに、
羽二重
(
はぶたえ
)
の
単羽織
(
ひとえばおり
)
をフワリと掛け、刀身をすっかり隠して、
鞘
(
さや
)
に納まっている如く見せかけていたのだ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
そいつを
抜身
(
ぬきみ
)
のままブラ下げて、二階で帳合せをしているお米の部屋へ飛込むと、——肝腎のお米は一と足先に入った
曲者
(
くせもの
)
に刺し殺されていたんだそうです
銭形平次捕物控:070 二本の脇差
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それで彼女は思い切ってまた
切戸
(
きりど
)
を開けて外を
覗
(
のぞ
)
こうとする
途端
(
とたん
)
に、一本の光る
抜身
(
ぬきみ
)
が、
闇
(
やみ
)
の中から、四角に切った潜戸の中へすうと出た。姉は驚いて身を
後
(
あと
)
へ
退
(
ひ
)
いた。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小田原
修理
(
しゅり
)
、山隅
九平
(
くへい
)
、その他。
抜身
(
ぬきみ
)
の
槍
(
やり
)
、刀。中には仰山に小具足をつけたるもあり。大勢。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
竹の
梯子
(
はしご
)
に
抜身
(
ぬきみ
)
の刀を幾段も横に渡したのに、綺麗な娘の上るのや、
水芸
(
みずげい
)
でしょう、
上下
(
かみしも
)
を
著
(
き
)
た人が、拍子木でそこらを打つと、どこからでも水の高く上るのがあります。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
「
抜身
(
ぬきみ
)
をひっさげて、苦しんでいる人なら、誰でも助けたり
庇
(
かば
)
ったりしながら、諸国を
遍歴
(
へんれき
)
しただろうになア。この子は困っている人達を見ると、いつでも戦いたくなるのだから。」
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
なぜって、旅人が、猿の
興
(
きょう
)
に乗って来たところを見すまし、木の枝でしきりと自分の
頸部
(
けいぶ
)
をなぐって見せたからです。猿はそれを真似て
抜身
(
ぬきみ
)
で自分の
頸
(
くび
)
をなぐったから、たまりません。
目羅博士の不思議な犯罪
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
登勢は
抜身
(
ぬきみ
)
の刀などすこしも
怖
(
こわ
)
がらず、そんな客のさっぱりした気性もむしろ
微笑
(
ほほえ
)
ましかったが、しかし夫がいやな顔をしているのを見れば、自然いい顔もできず、ふと迷惑めいた表情も出た。
蛍
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
そこで静かに起きあがり、
納戸
(
なんど
)
から
道中差
(
どうちゅうざし
)
を取り出した。むろん亡くなった義父の品で、久しく出したことがないから、刃には
錆
(
さび
)
がでていた。彼は
抜身
(
ぬきみ
)
を持って寝間へ戻り、女房を揺り起こした。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
人足は
抜身
(
ぬきみ
)
の
鑓
(
やり
)
を見て、ばら/\と散つた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
築地
(
ついじ
)
の崩れの陰などでは、
抜身
(
ぬきみ
)
を片手に女どもをなぐさんでをります浅ましい有様が、ちよつと使に出ましても二つや三つは目につきます。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
「馬鹿野郎ッ、何というあわてようだ。
抜身
(
ぬきみ
)
で
脅
(
おど
)
かされて逃げ出して、懐ろの十手の手前済むと思うか」
銭形平次捕物控:131 駕籠の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
其時第一に馳け
付
(
つ
)
けたものは
祖父
(
ぢゞ
)
であつた。左の手に提灯を
翳
(
かざ
)
して、右の手に
抜身
(
ぬきみ
)
を持つて、其
抜身
(
ぬきみ
)
で
死骸
(
しがい
)
を叩きながら、
軍平
(
ぐんぺい
)
確
(
しつ
)
かりしろ、
創
(
きづ
)
は
浅
(
あさ
)
いぞと云つたさうである。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
抜身
(
ぬきみ
)
の
鎗
(
やり
)
で押寄せて、おこよ、源三郎を連れて
行
(
ゆ
)
こうと致しますから深見新左衞門は役柄で捨置かれず、
直
(
すぐ
)
に一刀を取って斬掛けましたが、多勢に
無勢
(
むぜい
)
で、とう/\深見を突殺し
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
仰
(
おお
)
せ聞けられ承りまする内に、
条理
(
すじみち
)
は
弁
(
わきま
)
えず、僧都にも分らぬことのみではござりますが、ただ、黒潮の
抜身
(
ぬきみ
)
で囲みました段は、別に忌わしい事ではござりませんように、老人にも
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その余の者は思い思いの半裸のすがた、
抜身
(
ぬきみ
)
の
大刀
(
たち
)
を肩にした数人の者を先登に、あとは一抱えもあろうかと思われるばかりの
檜
(
ひのき
)
の丸太を四五人して
舁
(
かつ
)
いで参る者もあり
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
その時第一に
馳
(
か
)
け付けたものは祖父であった。左の手に
提灯
(
ちょうちん
)
を
翳
(
かざ
)
して、右の手に
抜身
(
ぬきみ
)
を持って、その抜身で死骸を
叩
(
たた
)
きながら、軍平
確
(
しっ
)
かりしろ、
創
(
きず
)
は浅いぞと云ったそうである。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
抜身
(
ぬきみ
)
を持出して、裏梯子から登り、お米の背後から一と思いに刺し、下へ降りたところへお夏が行ったのだ、——脇差の鞘が、たぶん和助の荷物か、あの女の荷物の中にあるだろう。
銭形平次捕物控:070 二本の脇差
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
若
(
も
)
しお侍が気でも違いまして
抜身
(
ぬきみ
)
を
振𢌞
(
ふりまわ
)
されたら、本当に
危険
(
けんのん
)
ではありませんか。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
娘は
幸福
(
しあわせ
)
ではないのですか。火も水も、火は虹となり、水は滝となって、彼の生命を飾ったのです。
抜身
(
ぬきみ
)
の槍の刑罰が馬の左右に、その
誉
(
ほまれ
)
を輝かすと
同一
(
おんなじ
)
に。——博士いかがですか、僧都。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その余の者は思ひ思ひの半裸のすがた、
抜身
(
ぬきみ
)
の
大刀
(
たち
)
を肩にした数人の者を先登に、あとは一抱へもあらうかと思はれるばかりの
檜
(
ひのき
)
の丸太を四五人して
舁
(
かつ
)
いで参る者もあり
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
店の
端先
(
はなさき
)
へ出て旦那もお
内儀
(
かみさん
)
も見ている処へ
抜身
(
ぬきみ
)
を
提
(
さ
)
げた泥だらけの侍が駈込んだから、わッと驚いて奥へ逃込もうとする途端に、
蒸
(
ふか
)
したての
饅頭
(
まんじゅう
)
の
蒸籠
(
せいろう
)
を
転覆
(
ひっくりかえ
)
す、
煎餅
(
せんべい
)
の壺が落ちる
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
血の付いた脇差が、
抜身
(
ぬきみ
)
のまま、死骸の後ろの箪笥の上に載せてあります。
銭形平次捕物控:119 白紙の恐怖
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「なに強盗がよ。それでもって、
抜身
(
ぬきみ
)
か何かで
威嚇
(
おど
)
した時によ」
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私
(
わっち
)
が今立聞をしていたら、孝助の
母親
(
おふくろ
)
が
咽喉
(
のど
)
を突いて、お
前
(
なれ
)
さん方の逃げた道を孝助に
教
(
おせ
)
えたから、こゝへ
追掛
(
おっか
)
けて来るに
違
(
ちげ
)
えねえから、お
前
(
めえ
)
さんは此の石橋の下へ
抜身
(
ぬきみ
)
の
姿
(
なり
)
で隠れていて
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
商人の店先へ来て、
抜身
(
ぬきみ
)
を振り廻した
曲者
(
くせもの
)
、訴えて出れば御法通り所構えだ。それとも穏便に返して貰いたかったら、六百五十両持って来い。
鐚
(
びた
)
一文欠けても相成らぬぞ、ハッハッハッ、馬鹿な奴だ
銭形平次捕物控:065 結納の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「親分の前じゃねえ、
抜身
(
ぬきみ
)
の前で腰を抜かしたろう」
銭形平次捕物控:035 傀儡名臣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
抜
常用漢字
中学
部首:⼿
7画
身
常用漢字
小3
部首:⾝
7画
“抜”で始まる語句
抜
抜刀
抜擢
抜足
抜萃
抜目
抜出
抜衣紋
抜手
抜打