承諾しょうだく)” の例文
となって、それを誓文の一行に書き加えて承諾しょうだくしてある以上は、今捨てない生命も、決して永い間というわけでないことは分っている。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
庭にはサボテン、鶏頭けいとう、ゼラニューム、その他の花が咲いている。茶を飲みながら、五郎は主人に弁当を頼んだ。主人は承諾しょうだくして言った。
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
光子みつこさんは、いさむちゃんがねこをいじるのはしつこくてかわいそうだけれど、いじめるのではないから、「うん。」といって、承諾しょうだくしました。
はちの巣 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、電話がかけられ、明智小五郎は、宮瀬氏のていちょうな依頼を承諾しょうだくして、すぐ不二夫君のおうちへやってくることになったのでした。
大金塊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「なにをする。ぼくはまだ承諾しょうだくしていないぞ。それはともかく、人殺ひとごろしみたいに、ぼくのくびをしめるとはなにごとだ」
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
上原はぼく達に一緒に来るかい、と聞き、ぼく達が承諾しょうだくすると、それではと、大学生に、行くむねを返事していました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
金は無論しい。脅嚇おどかしも勿論く。二十万坪の内八万坪、五十三名の地主の内十九名は、売渡うりわたし承諾しょうだく契約書けいやくしょに調印してしまった。踟蹰ちちゅうする者もあった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
私は高等学校へ周旋しゅうせんしてくれた先輩に半分承諾しょうだくを与えながら、高等師範の方へもい加減な挨拶あいさつをしてしまったので、事が変な具合にもつれてしまいました。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
(2) 予算ノ款項かんこうニ超過シ又ハ予算ノほかニ生シタル支出アルトキハ後日ごじつ帝国議会ノ承諾しょうだくヲ求ムルヲ要ス
大日本帝国憲法 (旧字旧仮名) / 日本国(著)
掛引かけひきみょうを得たるものなれども、政府にてはかかるたくらみと知るや知らずや、財政窮迫きゅうはく折柄おりから、この申出もうしいでに逢うてあたかわたりにふねおもいをなし、ただちにこれを承諾しょうだくしたるに
「そういうことも考えられますが、まさか理事長がそれをご承諾しょうだくなさるようなことはありますまい。」
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
喬之助妻園絵と交換にそれを承諾しょうだくしていたが、これを立ち聞きしたのが、造酒の妻とも妾ともつかない芸妓上げいしゃあがりの市松お六で、思わず柳眉りゅうび逆立さかだてているところへ
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
これだけを、やっとあの気のどくなバルブレンのおっかあがおっといて承諾しょうだくさせたのであった。
彼女あれ諾否いなや肝腎かんじん吾等われら意志こゝろ添物そへものむすめうけひうへ吾等われら承諾しょうだくその取捨しゅしゃほかにはませぬ。
箱根へ同行を誘って呉れる! それは、もう九分までの承諾しょうだくであると彼は思った。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
たとえば昔なら物を造る者とこれを用うる者が直接に出会であって、相談のうえに物々交換ぶつぶつこうかんを行った。こういう場合には値段ねだんを定むるに両者間の承諾しょうだくの上に成るから、互いの満足のもとに終わる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
早速さっそくふた返事へんじ承諾しょうだくしてくれました。
承諾しょうだくさせた。
未帰還の友に (新字新仮名) / 太宰治(著)
しかし、そのことは、一こくとみくしても、おそらく、西国さいごく女王じょおう承諾しょうだくることはむずかしかったのです。
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もちろん中尉は承諾しょうだくして、竜造寺兵曹長と、かわるがわる例の歩行困難事件について説明した。
宇宙戦隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
貴女が、若し『否』とおっしゃれば、僕も男です。失恋の苦しみと男らしく戦って、貴女に決して未練がましいことは云わないつもりです、僕は貴女に、承諾しょうだくしてれとは云わないのです。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
お母さんは最初は気が進まぬ様子であったが、こうでもしなければ怪獣の襲撃を逃れるすべはないと説かれて、不承不承ふしょうぶしょう承諾しょうだくをあたえた。信頼しきっている神谷青年の勧めをしりぞけかねたのだ。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「ではわたしたちがこれからしなければならないことは」とミリガン夫人ふじんが言った。「この子の親方の承諾しょうだくを受けることです。わたしはまあ手紙をやってここへ来てもいようにたのんでみましょう。 ...
ロレ では、ちゃれ。今日けふ立歸たちかへって、うれしさうにもてなし、パリスどのとの祝言しうげん承諾しょうだくしやれ。明日あす水曜日すいえうびぢゃ。明日あすなんとかして一人ひとりでおやれ、乳母うばをもおなにはかさッしゃるな。
と、承諾しょうだくのむねを云いやった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これからともだちになろうじゃあありませんかと、電信柱でんしんばしらもうた。みょうおとこは、すぐさま承諾しょうだくしていうに
電信柱と妙な男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
春木、牛丸の二少年はむろんそれを承諾しょうだくした。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と、今度こんど力蔵りきぞう良吉りょうきちかってたのみました。良吉りょうきちこころよ承諾しょうだくして、そのふえ力蔵りきぞうあたえました。
星の世界から (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、光治こうじ熱心ねっしん少年しょうねんかおていいました。すると少年しょうねんは、意外いがいにもこころよ承諾しょうだくをして
どこで笛吹く (新字新仮名) / 小川未明(著)
承諾しょうだくなしに、わたしえだをかけてはいけません。」といいました。
谷間のしじゅうから (新字新仮名) / 小川未明(著)
きた人形にんぎょうになることを承諾しょうだくしました。
生きた人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)