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急
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せわ
ふりがな文庫
“
急
(
せわ
)” の例文
何事か頭に
閃
(
ひら
)
めいて来たらしい。その
眸子
(
ひとみ
)
は
昵
(
じっ
)
と、眼下に突出している岬のあたりを
覓
(
みつ
)
め、右手の指は鉄の柵を
急
(
せわ
)
しく叩きだした。
廃灯台の怪鳥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
お銀は畳の上へ転がりだして、もがきつかれて
急
(
せわ
)
しい息遣いをしながら眠っている子供の顔を眺めて、
落胆
(
がっかり
)
したように言い出した。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
両側の窓から呼ぶ声は一歩一歩
急
(
せわ
)
しくなって、「旦那、ここまで入らっしゃい。」というもあり、「おぶだけ
上
(
あが
)
ってよ。」というのもある。
寺じまの記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
玉の
腕
(
かいな
)
は温く我
頸筋
(
くびすじ
)
にからまりて、雲の
鬢
(
びん
)
の毛
匂
(
にお
)
やかに
頬
(
ほほ
)
を
摩
(
なで
)
るをハット驚き、
急
(
せわ
)
しく見れば、
有
(
あり
)
し昔に
其儘
(
そのまま
)
の。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そうして、口にする事が、内容の
如何
(
いかん
)
に
関
(
かか
)
わらず、
如何
(
いか
)
にも
急
(
せわ
)
しなく、かつ切なそうに、代助の耳に響いた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
すでに歩む気力も尽き果てたように思われ、その
喘
(
あえ
)
ぐような激しい呼吸が——鎖骨や咽喉の軟骨が
急
(
せわ
)
し気に上下しているのさえ、三人の座所から
明瞭
(
はっきり
)
と見える。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
尚
(
なお
)
も太吉は立って水車場の方を見ていると、裏の山から飛んで来た
鳶
(
とび
)
が頭の上を
過
(
すぎ
)
たが、
軽
(
かろ
)
く、
急
(
せわ
)
しげに翼を
刻
(
きざ
)
んで、低く
渓
(
たに
)
に舞い下って水車場近くの枯木に止った。
越後の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ところでその時は疲労がだんだん
烈
(
はげ
)
しくなって仕方がなくなって来たです。心臓病を起したのかどうしたのか知らんが息は非常に
急
(
せわ
)
しくなって来まして少し
吐気
(
はきけ
)
が催しました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
そして
群疑
(
ぐんぎ
)
はまた雲のごとく
湧
(
わ
)
き上った。けれども、母親のいったように付き添うている隠居の婆さんと、自分の娘と二人の病人を持っているのが真実ならば、
急
(
せわ
)
しい道理である。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
飛付くようにお吉の縄尻を引ったくって、
急
(
せわ
)
しく解きにかかると
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
早く/\という声も最う息も
急
(
せわ
)
しゅうなりまする様子。
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その中を、
急
(
せわ
)
しそうに歩き廻っている三人の男。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
守衛と小柄なミサ子とを
急
(
せわ
)
しく見くらべた。
舗道
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
先ず
急
(
せわ
)
しく其の男を
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
隣の話し声は
先刻
(
さっき
)
からぱったりと途絶えたまま今は人なき如く
寂
(
しん
)
としているのである。お千代は
暫
(
しばら
)
く覗いていたが次第に息使い
急
(
せわ
)
しく胸をはずませて来て
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
さうして、
口
(
くち
)
にする
事
(
こと
)
が、内容の如何に関はらず、如何にも
急
(
せわ
)
しなく、且つ
切
(
せつ
)
なさうに、代助の
耳
(
みゝ
)
に
響
(
ひゞ
)
いた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
香も無き
癖
(
くせ
)
に
小癪
(
こしゃく
)
なりきと刀
急
(
せわ
)
しく是も取って払い、
可笑
(
おかし
)
や
珠運
(
しゅうん
)
自ら
為
(
し
)
たる
業
(
わざ
)
をお
辰
(
たつ
)
の
仇
(
あだ
)
が
為
(
し
)
たる事の
様
(
よう
)
に憎み今刻み
出
(
いだ
)
す
裸体
(
はだかみ
)
も想像の
一塊
(
いっかい
)
なるを
実在
(
まこと
)
の様に思えば
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
どうした事かと仙果は二、三度続けざまに
烈
(
はげ
)
しく手を鳴らしたが、すると、以前の女中が銚子だけを持って来ながら息使いも
急
(
せわ
)
しく
甚
(
いた
)
くも
狼狽
(
うろた
)
えた様子で
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
代助の方から神保町の
宿
(
やど
)
を
訪
(
たづ
)
ねた事が二返あるが、一度は留守であつた。一度は居つたには
居
(
お
)
つた。が、洋服を
着
(
き
)
た儘、
部屋
(
へや
)
の
敷居
(
しきゐ
)
の上に立つて、
何
(
なに
)
か
急
(
せわ
)
しい調子で、細君を
極
(
き
)
め
付
(
つ
)
けてゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
最
(
も
)
う十年近く働いて居る
独乙
(
ドイツ
)
種の下女と、頭取の妻君の遠い親類だとか云ふ書生と、時には妻君御自身までが手伝つて、目の
廻
(
ま
)
ふ程に
急
(
せわ
)
しく給仕をして居る。
一月一日
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
代助の方から神保町の宿を訪ねた事が二返あるが、一度は留守であった。一度は
居
(
お
)
ったには居った。が、洋服を着たまま、部屋の敷居の上に立って、何か
急
(
せわ
)
しい調子で、細君を
極
(
き
)
め付けていた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その
一人
(
ひとり
)
は頬冠りの
結目
(
むすびめ
)
を締め直しつつ他の一人は懐中に
弥蔵
(
やぞう
)
をきめつつ廓をさしておのづと歩みも
急
(
せわ
)
し
気
(
げ
)
なる、その
向
(
むこう
)
より
駒下駄
(
こまげた
)
に
褞袍
(
どてら
)
の裾も長々と
地
(
ち
)
に
曳
(
ひ
)
くばかり着流して
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「うむ、玉水三郎……。」いいながら
急
(
せわ
)
しなく
懐中
(
ふところ
)
から
女持
(
おんなもち
)
の
紙入
(
かみいれ
)
を
探
(
さぐ
)
り出して、小さな名刺を見せ、「ね、玉水三郎。昔の吉さんじゃないぜ。ちゃんともう
番附
(
ばんづけ
)
に出ているんだぜ。」
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
朝顔の花が日ごとに小さくなり、西日が燃える焔のように狭い
家中
(
いえじゅう
)
へ差込んで来る
時分
(
じぶん
)
になると鳴きしきる
蝉
(
せみ
)
の声が
一際
(
ひときわ
)
耳立
(
みみだ
)
って
急
(
せわ
)
しく聞える。八月もいつか
半
(
なかば
)
過ぎてしまったのである。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
急
常用漢字
小3
部首:⼼
9画
“急”を含む語句
急遽
性急
急忙
急込
急須
危急
急激
大急
急足
急拵
早急
急流
急立
火急
急々
急歩
急使
急湍
急病
緩急
...