御勝手ごかつて)” の例文
其處そこ乘組人のりくみにん御勝手ごかつて次第しだい區劃くくわく彈藥だんやく飮料いんれう鑵詰くわんづめ乾肉ほしにく其他そのほか旅行中りよかうちう必要品ひつえうひんたくわへてところで、固定旅櫃こていトランクかたちをなしてる。
阿蘭陀の女、それはあの方の御勝手ごかつてではありませんか? 一体わたしは日本出来や支那出来のかたは虫が好かないのです。
長崎小品 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
豆州づしう御勝手ごかつて不如意ふによいなるは、一朝一夕いつてういつせきのことにはあらじを、よしや目覺めざましき改革かいかく出來できずとも、たれなんぢ過失あやまちとははじ、たゞまことをだにまもらばなり。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かまれて暖簾のれんはぢれゆゑぞもとたゞせば根分ねわけのきく親子おやこなからぬといふ道理だうりはなしよしらぬにせよるにせよそれは其方そなた御勝手ごかつてなり仇敵かたき
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もつとも外へ出ますと夜鷹蕎麦よたかそばでもなんでもありますから貴所方あなたがたのおあし御勝手ごかつて召上めしあがりまして。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
御不如意ごふによいはいづれも御同樣ごどうやうさふらふが、べつして豆州づしう幸豐ゆきとよをいふ)には御先代ごせんだいより將軍家しやうぐんけにまでもれたる御勝手ごかつて
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
胃弱ゐじやくにして、うちたてをこなしないがゆゑに、ぐちやり、ぐちやりと、つばとともに、のびた蕎麥そばむのは御勝手ごかつてだが、そのしたで、時々とき/″\作品さくひん批評ひへうなどするとく。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御勝手ごかつてになさい、にべのないことおびたゞしい。やうでございませうとも、成程なるほどれたのではない。まどをたよるほどくらさがして滅入めいことまたおびたゞしい。わたしいへこひしくなつた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかし、ふのをしんじないで、わたしかせることを不安心ふあんしんおもふなら、提灯ちやうちんうへ松明たいまつかずふやして、鉄砲てつぱう持参じさんで、たいつくつて、喇叭らつぱいておさがしなさい、それ御勝手ごかつてです。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
多日たじつやまひしようして引籠ひきこもり、人知ひとしれず諸家しよか立入たちいり、内端うちわ樣子やうすうかゞるに、御勝手ごかつてむなしく御手許おてもと不如意ふによいなるにもかゝはらず、御家中ごかちう面々めん/\けて老職らうしよく方々かた/″\はいづれも存外ぞんぐわい有福いうふくにて
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)