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帛紗
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ふくさ
ふりがな文庫
“
帛紗
(
ふくさ
)” の例文
こうしてお君は能登守から、箱に入れたまま紙取りの写真をいただいて
帛紗
(
ふくさ
)
に包み、
後生大事
(
ごしょうだいじ
)
に袖に抱えてこのお邸を立ち出でました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
帛紗
(
ふくさ
)
のまゝ押しやつたのは、どう少く見ても、百兩は下らなかつたでせう。が、それを見ると松五郎の忿怒は爆發點に達しました。
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その時勝田さんは自分の船室を見せて上げるからというので、
従
(
つ
)
いて行きますとスチーマー・トランクから小さい紫
縮緬
(
ちりめん
)
の
帛紗
(
ふくさ
)
包を出して
消えた霊媒女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
来れば必ず二階へ上って、包みを拵えて降りて来ますが、それもほんの申訳の、
縮緬
(
ちりめん
)
の
帛紗
(
ふくさ
)
へ包まるくらいな
細々
(
こまごま
)
した物で
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
玉枝は、
父子
(
おやこ
)
喧嘩を
取做
(
とりな
)
すようにそう言って、
帛紗
(
ふくさ
)
から出した
小筥
(
こばこ
)
を、卓の端にのせた。
古代蒔絵
(
こだいまきえ
)
の
溶
(
とろ
)
けそうな筥である。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
左の手首へかけていた
帛紗
(
ふくさ
)
の包が駈け出した拍子にひとまわりして、あぶなくなかみがはみ出しそうになっているのであった。それはお煎餠で、姉の糸子が
杉子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
別に心配はないようだ。今度、
演習
(
えんしゅう
)
に出かけると云った。ばあさんには、なんだか、軍艦のついた
帛紗
(
ふくさ
)
をよこし、皆で喰えと云って、
錨
(
いかり
)
せんべいの、でかい缶を
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それは
粋
(
いき
)
な外国人で、靴を穿いて来ましたが、其の靴をぬいで
隠
(
かくし
)
から
帛紗
(
ふくさ
)
を取出しましたから
何
(
なん
)
の風呂敷包かと思いますと、其の中から上靴を出してはきまして
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それは
清涼殿
(
せいりょうでん
)
のことで、西の後涼殿の縁には殿上役人が左右に思い思いの味方をしてすわっていた。左の
紫檀
(
したん
)
の箱に
蘇枋
(
すおう
)
の木の飾り台、敷き物は紫地の
唐錦
(
からにしき
)
、
帛紗
(
ふくさ
)
は赤紫の唐錦である。
源氏物語:17 絵合
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
二人はそれには返事をしないで、
帛紗
(
ふくさ
)
に包んだ花札を女将の前にさし出した。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
たまには、十度に一度は、一分間停車をすることもあったが、そうした時には、
羽織袴
(
はおりはかま
)
の管理者が、参列有志の名刺を、赤い
帛紗
(
ふくさ
)
をかけたお盆にのせてうやうやしく車の窓から
捧
(
ささ
)
げるのだった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
大和
(
やまと
)
屋の
妓
(
をんな
)
浜勇は、亡くなつた秋月桂太郎と
好
(
い
)
い仲だつたが、いつだつたか秋月が病気の全快祝に、
赤飯
(
あかめし
)
だけの工面はついたが、
帛紗
(
ふくさ
)
の持合せが無いので思案に余つて浜勇に相談した事があつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
見て
吃驚
(
びつくり
)
なしコレ/\
貴殿
(
こなた
)
ゆゑに私は此
通
(
とほり
)
御番所へ送られ
迷惑
(
めいわく
)
致せり貴殿が落して置た
帛紗包
(
ふくさつゝみ
)
大方取に來るで有うと思ひ今日迄
待
(
まつ
)
て居しにヤレ/\
嬉
(
うれ
)
しやと
涙
(
なみだ
)
を流しながら
正面
(
しやうめん
)
に向ひ右の
帛紗
(
ふくさ
)
包を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
と、
帛紗
(
ふくさ
)
を取る。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
父
(
とゝ
)
さま
無
(
む
)
二の
御懇意
(
ごこんい
)
とて
恥
(
はづ
)
かしき
手前
(
てまへ
)
に
薄茶
(
うすちや
)
一
服
(
ぷく
)
參
(
まゐ
)
らせ
初
(
そめ
)
しが
中々
(
なか/\
)
の
物思
(
ものおも
)
ひにて
帛紗
(
ふくさ
)
さばきの
靜
(
しづ
)
こゝろなく
成
(
な
)
りぬるなり
扨
(
さて
)
もお
姿
(
すがた
)
に
似
(
に
)
ぬ
物
(
もの
)
がたき
御氣象
(
ごきしよう
)
とや
今
(
いま
)
の
代
(
よ
)
の
若者
(
わかもの
)
に
珍
(
めづ
)
らしとて
父樣
(
とゝさま
)
のお
褒
(
ほ
)
め
遊
(
あそ
)
ばす
毎
(
ごと
)
に
我
(
わが
)
ことならねど
面
(
おも
)
て
赤
(
あか
)
みて
其坐
(
そのざ
)
にも
得堪
(
えたへ
)
ねど
慕
(
した
)
はしさの
數
(
かず
)
は
増
(
まさ
)
りぬ
左
(
さ
)
りながら
和女
(
そなた
)
にすら
云
(
い
)
ふは
始
(
はじ
)
めて
云
(
い
)
はぬ
心
(
こゝろ
)
は
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
帛紗
(
ふくさ
)
のまま押しやったのは、どう少なくみても、百両は下らなかったでしょう。が、それを見ると松五郎の
忿怒
(
ふんぬ
)
は爆発点に達しました。
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それぞれ書画や
骨董
(
こっとう
)
類を贈ったので、幸子も祖父母の時代からある、表に御所車の
刺繍
(
ししゅう
)
をした
帛紗
(
ふくさ
)
を贈った。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
この一巻と、三、四通の文章とを、
帛紗
(
ふくさ
)
につつみ、しかと、そちが肌身につけて持っておれ。——そして予が、
羽衣
(
はごろも
)
を舞うて、舞い終る頃、午の
中食
(
ちゅうじき
)
の休みとなろう。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
九時頃になったとき、私は自分宛に来ていた雑誌などを
帛紗
(
ふくさ
)
に包みながら
わが父
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
手すさみに絵をかいて楽しむような気持で、針を運ばせながら、浮き上って来る物の形に、自分だけの興味を催して、自己満足をしているまでのこと——風呂敷には狭いし、
帛紗
(
ふくさ
)
には大きい。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
守随彦太郎の手筐を取出した手はさすがに
顫
(
ふる
)
えました。
帛紗
(
ふくさ
)
を解いて、最後の白絹をほぐすと、中から現れたのは家康公御朱印と思いきや
銭形平次捕物控:146 秤座政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
われに返ってみると、
帛紗
(
ふくさ
)
に乗せて膝のまえに置かれた茶碗を、武蔵は、どう持って、どう飲んでよいものかとためらった。茶事の席になど
連
(
つら
)
なった経験もないのである。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
作者註、柿内未亡人がほんの一部分だといったところのそれらの
文穀
(
ふみがら
)
は、約八寸立方ほどの
縮緬
(
ちりめん
)
の
帛紗
(
ふくさ
)
包みにハチ切れるくらいになっていて、帛紗の
端
(
はし
)
が
辛
(
かろ
)
うじて四つに結ばれていた。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
辻番が拾ってくれた
帛紗
(
ふくさ
)
づつみを、手早く受取って懐ろへ
捻
(
ね
)
じ込む。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お静が差出したのは、
帛紗
(
ふくさ
)
に包んだ、持重りのする品、解く手も遅しと、引っくり返すと、中から出たのは、五六十枚の小判と、二三枚の手紙ではありませんか。
銭形平次捕物控:058 身投げする女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
女の左の手から弾み落ちた
帛紗
(
ふくさ
)
づつみの
小筥
(
こばこ
)
が、八弥の足元から四、五間先の地上に踊った。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
結
(
むす
)
び
帛紗
(
ふくさ
)
の解きほどき
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
植惣の庭に落ちていた
帛紗
(
ふくさ
)
で、これはお紋の家から、短刀を包んで盗み出した品ですから、植惣の曲者は、お紋の家を襲った曲者、すなわち幻の民五郎に間違いありません。
銭形平次捕物控:027 幻の民五郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして何の恐怖にも襲われずにあたりまえな歩調で登りを
辿
(
たど
)
っている。ただ、駕屋のことばに依って初めて知ったのは、その手に抱えている
帛紗
(
ふくさ
)
づつみの四寸ばかりの
小筥
(
こばこ
)
である。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
椅子に掛けると、母親の礼子は懐から
帛紗
(
ふくさ
)
包を出して、東野南次の前に押しやるのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:05 代作恋文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「即答、または評議中、御返事まちまちではありますが、今日まで
内諾
(
ないだく
)
あった諸国諸侯の御連名……」と年長の
交野
(
かたの
)
左京太夫、ふところを探って細長い包みを解き、
帛紗
(
ふくさ
)
を敷いてその上へ
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
帛紗
(
ふくさ
)
を解いて、最後の白絹をほぐすと、中から現はれたのは家康公御朱印と思ひきや
銭形平次捕物控:146 秤座政談
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして、二人の間に置いていた印籠を、
帛紗
(
ふくさ
)
につつんで、仕舞いかけると
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
守随彦太郎は、懐ろから紙入を取出し
帛紗
(
ふくさ
)
のまま押し頂いてつづけるのでした。
銭形平次捕物控:146 秤座政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
せっかく、心をこめて立てた茶も、
帛紗
(
ふくさ
)
のうえで冷えてしまう。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
守隨彦太郎は、懷ろから紙入を取出し
帛紗
(
ふくさ
)
のまゝ押し頂いて續けるのでした。
銭形平次捕物控:146 秤座政談
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
楼中へと、べつに五十両、
帛紗
(
ふくさ
)
にのせてそれへおいた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
帛紗
(
ふくさ
)
に包んで、お紋の父河村靱負の形見と言ふ短刀、——主君本多上野之介が、東照權現樣から頂いて、靱負に預けた儘になつたと言ふ、三つ葉葵の紋を散らした
因縁
(
いんねん
)
附の短刀——を置いて
銭形平次捕物控:027 幻の民五郎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
武蔵は、
帛紗
(
ふくさ
)
の上の茶碗へ、もいちど眼を落した。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
松五郎は
帛紗
(
ふくさ
)
をさらつたと思ふと、喜兵衞の額のあたりへ叩き付けました。
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
三成は、自分のたてた茶を、
帛紗
(
ふくさ
)
にのせ
大谷刑部
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
帛紗
(
ふくさ
)
に包んで、お紋の父河村靱負の形見という短刀、——主君本多上野介が、東照権現様から頂いて、靱負に預けたままになったという、
三
(
み
)
つ
葉
(
ば
)
葵
(
あおい
)
の紋を散らした因縁付きの短刀——を置いて
銭形平次捕物控:027 幻の民五郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
たつた一つの手掛りと言ふのは、植惣の庭に落ちて居た
帛紗
(
ふくさ
)
でこれはお紋の家から、短刀を包んで盜み出した品ですから、植惣の曲者は、お紋の家を襲つた曲者、即ち
幻
(
まぼろし
)
の民五郎に間違ひありません。
銭形平次捕物控:027 幻の民五郎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“帛紗”の解説
帛紗(ふくさ)は、主に茶道で、茶器を取り扱うときに用いられる布である。服紗、袱紗とも表記される。材質は絹がほとんどだが、煎茶道では木綿のものが使われることもある。
(出典:Wikipedia)
帛
漢検1級
部首:⼱
8画
紗
漢検準1級
部首:⽷
10画
“帛紗”で始まる語句
帛紗包