トップ
>
巌角
>
いわかど
ふりがな文庫
“
巌角
(
いわかど
)” の例文
旧字:
巖角
ところどころの
巌角
(
いわかど
)
に波
砕
(
くだ
)
け散る。秋。成経
浜辺
(
はまべ
)
に立って海のかなたを見ている。康頼岩の上に腰をおろして
木片
(
きぎれ
)
にて
卒都婆
(
そとば
)
をつくっている。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
あすここそ頂上に相違ないと、余りの嬉しさに
周章
(
あわ
)
てたものか、吾輩は
巌角
(
いわかど
)
から足踏み滑らして
十分
(
したたか
)
に
向脛
(
むこうずね
)
を打った。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
巌角
(
いわかど
)
を鋭どく廻って、
按摩
(
あんま
)
なら
真逆様
(
まっさかさま
)
に落つるところを、
際
(
きわ
)
どく右へ切れて、横に
見下
(
みおろ
)
すと、
菜
(
な
)
の花が一面に見える。雲雀はあすこへ落ちるのかと思った。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
処へ、土地ところには
聞馴
(
ききな
)
れぬ、すずしい澄んだ
女子
(
おなご
)
の声が、男に交って、崖上の
岨道
(
そばみち
)
から、
巌角
(
いわかど
)
を、踏んず、
縋
(
すが
)
りつ、
桂井
(
かつらい
)
とかいてあるでしゅ、
印半纏
(
しるしばんてん
)
。
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
紇の一行は
巌角
(
いわかど
)
を伝い、樹の根に縋って、山の中へ入ったが、往っているうちに、女の笑い戯れる声がした。
美女を盗む鬼神
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
果てなき原の草の上、
巌角
(
いわかど
)
するどき
険崖
(
がけ
)
の
際
(
きわ
)
、鉄の
蹄
(
ひづめ
)
の馬立てて、
討手
(
うちて
)
に進む我が心
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
ほどなく
洲崎鼻
(
すのさきばな
)
の
尽頭
(
じんとう
)
、東より西に走り来れる
山骨
(
さんこつ
)
が、海に没して
巌角
(
いわかど
)
の
突兀
(
とっこつ
)
たるところ、枝ぶり面白く、海へ向ってのした松の大木の枝の上に、例の般若の面をかぶって腰うちかけ
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
瀑
(
たき
)
などの
滴垂
(
したた
)
りおちる
巌角
(
いわかど
)
にたたずんだり、緑の影の顔に涼しく揺れる
白樺
(
しらかば
)
や
沢胡桃
(
さわぐるみ
)
などの、木立ちの下を散歩したりしていたお増の顔には、長いあいだ
熱鬧
(
ねっとう
)
のなかに過された自分の生活が
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
鋒
(
ほこ
)
を
植
(
う
)
えたような
沢山
(
たくさん
)
の
牙
(
きば
)
……
胴
(
どう
)
の
周囲
(
まわり
)
は二
尺
(
しゃく
)
位
(
くらい
)
、
身長
(
みのたけ
)
は三
間
(
げん
)
余
(
あま
)
り……そう
言
(
い
)
った
大
(
おお
)
きな、
神々
(
こうごう
)
しいお
姿
(
すがた
)
が、どっと
落
(
お
)
ち
来
(
く
)
る
飛沫
(
しぶき
)
を
全身
(
ぜんしん
)
に
浴
(
あ
)
びつつ、いかにも
悠々
(
ゆうゆう
)
たる
態度
(
たいど
)
で、
巌角
(
いわかど
)
を
伝
(
つた
)
わって
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
木川子の腰に細引を結び付けて、将軍が
巌角
(
いわかど
)
に足を踏ん張り、大冒険を企てて、早速奔流落下の
状
(
さま
)
を写し取った。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
清水
(
きよみず
)
の
石磴
(
いしだん
)
は、三階五階、白瀬の走る、声のない滝となって、落ちたぎり流るる道に、
巌角
(
いわかど
)
ほどの人影もなし。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今にも波の中へ落ち込もうとしているのを、傍の
巌角
(
いわかど
)
にかけた
隻手
(
かたて
)
がやっと支えていたじゃないか、俺は
吃驚
(
びっくり
)
して体の
位置
(
むき
)
を変えたが、今度見るともう
女子
(
おなご
)
は見えなかった
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
乱れ起る岩石を左右に
縈
(
めぐ
)
る流は、
抱
(
いだ
)
くがごとくそと割れて、半ば
碧
(
みど
)
りを透明に含む
光琳波
(
こうりんなみ
)
が、
早蕨
(
さわらび
)
に似たる曲線を
描
(
えが
)
いて
巌角
(
いわかど
)
をゆるりと越す。河はようやく京に近くなった。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
巌角
(
いわかど
)
を
伝
(
つた
)
ってすーッと
上方
(
うえ
)
に
消
(
き
)
え
去
(
さ
)
りました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
流れが
煽
(
あお
)
って、こう、
颯
(
さっ
)
とせく、落口の
巌角
(
いわかど
)
を
刎
(
は
)
ね越すのは
苦艱
(
くげん
)
らしい……しばらく見ていると、だんだんにみんな上った、一つ残ったのが、ああもう少し
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
頂上まで
殆
(
ほとん
)
ど一直線に付けられた
巌石
(
がんせき
)
の道で、西側には
老杉
(
ろうさん
)
亭々
(
ていてい
)
として昼なお暗く、なるほど道の険しい事は数歩
前
(
さき
)
の
巌角
(
いわかど
)
の胸を突かんばかり、胸突き八丁の名も
道理
(
ことわり
)
だ。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
松の
方
(
かた
)
へ小戻りして、向合った崖縁に立って、
谿河
(
たにがわ
)
を深く透かすと、——ここは、いまの新石橋が
架
(
かか
)
らない以前に、対岸から山伝いの近道するのに、樹の根、
巌角
(
いわかど
)
を絶壁に刻んだ
径
(
こみち
)
があって
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
巌角
(
いわかど
)
に
刻
(
きざ
)
を入れて、これを
足懸
(
あしがか
)
りにして、こちらの
堤防
(
どて
)
へ
上
(
あが
)
るんですな。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その半腹にかかりある
巌角
(
いわかど
)
の
苔
(
こけ
)
のなめらかなるに、一
挺
(
ちょう
)
はだか
蝋
(
ろう
)
に灯ともしたる
灯影
(
ほかげ
)
すずしく、
筧
(
かけひ
)
の水むくむくと
湧
(
わ
)
きて玉ちるあたりに
盥
(
たらい
)
を据えて、うつくしく髪結うたる
女
(
ひと
)
の、身に一糸もかけで
竜潭譚
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
浪は水晶の柱のごとく、
倒
(
さかしま
)
にほとばしって、今つッ立った廉平の頭上を飛んで、空ざまに
攀
(
よ
)
ずること十丈、親仁の手許の磨ぎ汁を
一洗滌
(
ひとあらい
)
、白き
牡丹
(
ぼたん
)
の散るごとく、
巌角
(
いわかど
)
に飜って、
海面
(
うなづら
)
へざっと引く。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その節、路も無い処を、いわゆる、木の根
巌角
(
いわかど
)
ですわい。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
巌
漢検準1級
部首:⼭
20画
角
常用漢字
小2
部首:⾓
7画
“巌”で始まる語句
巌
巌丈
巌窟
巌乗
巌石
巌畳
巌頭
巌谷小波
巌穴
巌山