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嫉視
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しっし
ふりがな文庫
“
嫉視
(
しっし
)” の例文
ただ難点はあまりにここは理想的でありすぎた。もしこういう場所を占有したなら、周囲から集る
羨望
(
せんぼう
)
嫉視
(
しっし
)
の
鎮
(
しずま
)
る時機がないのである。
比叡
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
同族の
嫉視
(
しっし
)
陰謀がいかに悲しむべき流血の惨事を招いたか、上宮太子の信仰はその切なる体験に発したものであることはすでに述べた。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
その頃からワグナーの権力は劇場支配人の
嫉視
(
しっし
)
を買い、新聞を敵に回して一歩一歩救うことの出来ない難境に踏み込んでしまった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
「これでも、今の時代は宗教が
旺
(
さかん
)
だといえるだろうか。旧教の仏徒から、
嫉視
(
しっし
)
を受けるほど、勃興していると見られている念仏門が——」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
半三郎が逐われたのは教官の
嫉視
(
しっし
)
からで、詰るところ彼自身の学問に対する良心と、ぬきんでた才腕が
仇
(
あだ
)
となったわけである。
落ち梅記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
一つは昔の
嫉視
(
しっし
)
から出てきたものだった。(幼年時代のそういう熱情は、虜囚が忘れられたときにもなおその力が残存しているものである。)
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「
葭
(
よし
)
がしげつて
渡場
(
わたしば
)
の邪魔になり」といふかの川柳においても想像せらるる如く、時には互に
反目
(
はんもく
)
嫉視
(
しっし
)
せるや知るべからず。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
徹頭徹尾謹厳だといわれたがっているように見られた庸之助は、或る意味の
嫉視
(
しっし
)
と侮蔑から変物扱いにされていたのである。武士道の遵奉者であった。
日は輝けり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そのため他の諸侯がたから、
嫉視
(
しっし
)
反感をうけるようなことがあっては、という賢人の賢慮から、わざと身軽で
扈従
(
こじゅう
)
するのがいつもその定例なのでした。
右門捕物帖:20 千柿の鍔
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
女性間の
嫉視
(
しっし
)
反目(
姑
(
しゅうとめ
)
と嫁、妻と小姑の関係はいうまでもあるまい。私はよく婦人から同性中に心を許し合うことの出来る友人のないことを聞かされる)
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
倨傲にして遂に世界の
嫉視
(
しっし
)
を受け、
如何
(
いか
)
に絶世の勇を奮っても多数の拳固のために袋叩きにされてしまったとすれば、ここに目覚めたる
独逸
(
ドイツ
)
国民は、必ずや
列強環視の中心に在る日本
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
約
(
つづ
)
めて言えば、人類の交際は明白な直道で、いじけたものでもなく、曲がりくねったものでもないのに、何ゆえに日本はこんなに外国を
嫉視
(
しっし
)
するのであるか。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それが当年
六十路
(
むそじ
)
あまりのおばアさんとは、
反目
(
はんもく
)
嫉視
(
しっし
)
氷炭
(
ひょうたん
)
相容
(
あいい
)
れない。何ということ無しにうつらうつらと面白く無い日を送って、そして名の知れない重い枕に
就
(
つ
)
いた。
白い光と上野の鐘
(新字新仮名)
/
沼田一雅
(著)
一人の女性を
渇仰
(
かつごう
)
する青年達が、類を以て集った、そのグループの中の一員として、お
互
(
たがい
)
に
嫉視
(
しっし
)
し乍ら近づき合ったということが、より重大な動機を為していたのだった。
恐ろしき錯誤
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
長崎屋の表情に、あらわに
嫉視
(
しっし
)
のようなものがうかぶのを、雪之丞は見のがさなかった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
それ故に神尾主膳らが、能登守を忌み嫌うというのも単に感情の問題のみで、仕事の上では
嫉視
(
しっし
)
を受けるような成功もしなければ、
弾劾
(
だんがい
)
を受けるような失態もしていませんでした。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
既に到達せる者に対する途半ばなる者の不正な
嫉視
(
しっし
)
を抑圧せよ。労働の貸金を数理的にかつ友愛的に正せよ。子供の成長に無料の義務教育を添加し、学問をもって壮年の基礎とせよ。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
毎日石造りの
陰鬱
(
いんうつ
)
な大きな部屋に通って、慣れない交換台に向かって、加入者の
罵声
(
ばせい
)
を浴び、仲間からは粗末な服装を
嘲笑
(
ちょうしょう
)
され、両親から譲られた唯一のものである
美貌
(
びぼう
)
を
嫉視
(
しっし
)
されて
五階の窓:04 合作の四
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
残念さ、
嫉視
(
しっし
)
妬
(
ねた
)
ましさ! すべての悪の根源をなす
修羅
(
しゅら
)
の
妄執
(
もうしゅう
)
であったろう。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
これは素晴らしい
麒麟児
(
きりんじ
)
だ。まるで鬼神でも
憑
(
つ
)
いていて言語行動させるようだ……ははあ、それで弓之進め、この少年の
行末
(
ゆくすえ
)
を案じ、朋輩先輩の
嫉視
(
しっし
)
を恐れ、
俄
(
にわ
)
か
白痴
(
ばか
)
を気取らせたのであろう。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
互に
嫉視
(
しっし
)
、反目して、雌は雄を呼び、雄は、ただ半狂乱で歩きまわる。
東京八景:(苦難の或人に贈る)
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
嫉視
(
しっし
)
、迫害、批難攻撃は二人の身辺を取りまいた。抱月氏の払った恋愛の犠牲は非常なものだったが、寂しみに沈みやすいその心に、
透間
(
すきま
)
のないほどに熱を
焚
(
た
)
きつけていたのは彼女の活気であった。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
梶はそんなに反対の安全率の面から探してみた。絶えず
隙間
(
すきま
)
を
狙
(
ねら
)
う兇器の群れや、
嫉視
(
しっし
)
中傷
(
ちゅうしょう
)
の起す
焔
(
ほのお
)
は何を
謀
(
たくら
)
むか知れたものでもない。
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「…………」親鸞はかろく
顎
(
あご
)
をひいて苦笑した。さてこそ、ここにも小人の
嫉視
(
しっし
)
かと、
蠅
(
はえ
)
のようなうるささを感じるだけだった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
親子のあいだにさえ好悪や
嫌厭
(
けんえん
)
がある、まして個性を持った他人どうしに、
嫉視
(
しっし
)
や敵対意識や、競争心や排他的な行動のあるのが当然じゃあないだろうか。
おごそかな渇き
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
クリストフを
嫉視
(
しっし
)
してる芸術家らがドイツにいた。彼らは必要に応じていろんな武器を作り出しては、それを彼の敵へ供給した。フランスにもそういう奴らがいた。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
日本人間に
嫉視
(
しっし
)
が激しいので、サンフランシスコでの事業の
目論見
(
もくろみ
)
は予期以上の故障にあって大体失敗に終わった事、思いきった発展はやはり想像どおりの米国の西部よりも中央
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
上宮太子が御幼少の頃より
眼
(
ま
)
のあたり見られたことは、すべて同族の
嫉視
(
しっし
)
や陰謀、血で血を洗うがごとき
凄愴
(
せいそう
)
な戦いだったのである。一日として安らかな日はなかったと
云
(
い
)
っていい。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
清浄を
嫉視
(
しっし
)
する
夜陰
(
やいん
)
の尼なる魔界の天使。
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
その点、秀吉からゆるされて毎日
塚原小才治
(
つかはらこさいじ
)
の道場に通っている虎之助が、たれからも
嫉視
(
しっし
)
の
的
(
まと
)
とされていたのは無理もない。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして各人が自分の家に閉じこもっていた。そういう
嫉視
(
しっし
)
的な個人主義は、たがいに隣り合って数世紀間暮らしてきたあとにも、衰えるどころかかえって強くなってるかのようだった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
平和とは内攻した血の創造の日々である。対外的には
静謐
(
せいひつ
)
であろうと、一歩国内の深部に眼をむけると、そこには相変らぬ氏族の
嫉視
(
しっし
)
と陰謀と争闘があり、
煩悩
(
ぼんのう
)
にまみれた人間の
呻吟
(
しんぎん
)
がある。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
たとえ、
嫉視
(
しっし
)
、迫害、排撃、あらゆるものがこの一身にあつまろうとも、範宴が講堂に立つからには
御仏
(
みほとけ
)
を
偽瞞
(
ぎまん
)
の
衣
(
きぬ
)
につつむような
業
(
わざ
)
はできぬ
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また味方のうちにすら
嫉視
(
しっし
)
の
輩
(
はい
)
も尠なくない——いわゆる人生の
嶮路
(
けんろ
)
にさしかかっている彼として——竹中半兵衛を
恃
(
たの
)
むことはなおさら切実であった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たとえ、
才蔵
(
さいぞう
)
一身
(
いっしん
)
に一
部
(
ぶ
)
の
嫉視
(
しっし
)
はのこっても、のちに
現出
(
げんしゅつ
)
したような、
意外
(
いがい
)
な大事にはならなかったであろう。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかも自分は、周囲の白眼と
嫉視
(
しっし
)
の中におかれているが、ともかく、主君家康より信ぜられ、岡崎の城を預かり、
一家眷族
(
いっかけんぞく
)
も、それぞれ、食と所は得ているのだ。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今日までのどんな場合の憎悪の
嫉視
(
しっし
)
よりも、このせつなほど又八は、友の姿を悪魔に見たことはない。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
驍勇
(
ぎょうゆう
)
並ぶ者なきあなたと、伝国の玉璽を所有して、富国強兵を誇っているところの袁家とが、
姻戚
(
いんせき
)
として結ばれると聞いたら、これを
呪咀
(
じゅそ
)
し
嫉視
(
しっし
)
せぬ国がありましょうか」
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「これはちと急変すぎる。新田殿の
嫉視
(
しっし
)
のほども恐ろしい。そちたちは、どうこれを
観
(
み
)
る?」
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「貴公も、そう思うか」と、曹操に対して、同じ
嫉視
(
しっし
)
の思いを、口汚く云いだした。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いかに今、自分の身が、天下の群雄から、
嫉視
(
しっし
)
され
羨望
(
せんぼう
)
されているかをである。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、このことある前から秀吉を軽んじたり
嫉視
(
しっし
)
していた人々の
先入主
(
せんにゅうしゅ
)
である。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
破格な優遇といってよく、ために、多少、藩内の
嫉視
(
しっし
)
もかったようである。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
芸藩
(
げいはん
)
の片田舎に、貞節な春水未亡人として暮している彼女には、都会の様子も、複雑な社会人争闘の戦法も、男同士の女よりもつよい
嫉視
(
しっし
)
も、反目も、分らなかった。一図な心配も無理ではない。
梅颸の杖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼に忠誠なる腹心の部下をのぞく以外は
嫉視
(
しっし
)
反感あるのみだった。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこに又、彼に対する、
嫉視
(
しっし
)
、中傷の反動も挙がらずにいない。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それぞれ多分な
嫉視
(
しっし
)
反感をふくんだ声であった。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
という一般の
嫉視
(
しっし
)
であった。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
嫉
常用漢字
中学
部首:⼥
13画
視
常用漢字
小6
部首:⾒
11画
“嫉”で始まる語句
嫉妬
嫉
嫉妬心
嫉妬家
嫉妬深
嫉刃
嫉妬焼
嫉刀
嫉刄
嫉妒