ばゞあ)” の例文
私のような弱いばゞあの前では、咽喉のどをしめるのなんのと云って脅しました、先生の前ではなんとも云えまい、咽喉をしめるなら締めて見ろ
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ところが運悪く、あのばゞあがはひつて来ました。あなたが、その時、突然僕に加へられた皮肉な刑罰は、聊か僕を面喰めんくらはせました。
ママ先生とその夫 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
芝雀しじやくる、福助のるあの梅川が八十三の皺くちやばゞあになるまで生きながらへてゐた事を考へるのは、恋をする者にとつて良い教訓である。
てえなばゞあはどうでれからよめにでもくあてがあんぢやなし、かまあねえこたあかまあねえがな」といつてわらつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
もとよりをやつす色氣いろけ十分じふぶんをとこであるから、道中笠だうちうがさなかながらやにのついたかほは、茶店ちややばゞあにものぞかせたくない。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此処こゝばゞあが居っては……他聞をはゞかることじゃ……婆が聞いてもくわしいことは分るまいが……、婆嘉八とも暫時ざんじ彼方あっち退いてくれ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ひどくおめえ近頃ちかごろぽさ/\しつちやつてんだな、あゝだばゞあでもこがれてる所爲せゐぢやあんめえ、頭髮あたままでぬけやうだな」剽輕へうきん相手あひてぢいさんのあたまかけてゆさ/\とうごかした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
やあ、えらいことりました。……柳原やなぎはらやけあとへ、うです。……夜鷹よたかよりさき幽靈いうれいます。……わかをんな眞白まつしろなんで。——自警隊じけいたい一豪傑あるがうけつがつかまへてると、それがばゞあだ。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
○「へえー肋骨あばらぼねが出て、歯のまばらな白髪頭しらがあたまばゞあが、片手になた見たような物を持って出たんだね、一つの婆で、上から石が落ちたんでげしょう」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
浪「いつものばゞあがまいりました、あの大きなかご脊負しょってお芋だの大根だの、や何かを売りに来る婆でございます」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私の様なばゞあでも久しく話をして入らっしゃいますのですから御心配なくゆっくりとお休みなすって入らっしゃいまし
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と事を分けての話に文治もおおいに悦んで、帰り掛けに柳橋の同朋町どうぼうちょうに居るお村の母親お崎ばゞあの所へ参りました。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
森「旦那黙っておいでなせえ、此のばゞあこん畜生、今聞いていりゃア勾引だ、誰の事を勾引と云やアがるんだ、娘の命を助けて話を付けてやるに勾引たアなんだ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
悪い事は勧めないと申しますから、わたくしは立腹致して、不埓至極なばゞあだ、仮令たとい浪人しても武士だ、一人の娘を見苦しい目掛手掛に遣れるものか、なんと心得て居る
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
番「是は大屋さん入らっしゃいまし、相手は帰りましたが、本郷町の桂庵ばゞあのお虎てえいけない奴で」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ばゞあは少し借財の有る処で身請というから、先ず是でいと喜んだ甲斐もなく、打って違って奧州屋新助は腹を切って死んだと云うので、ぱったり目的が外れました。
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私が元三の倉に居た時分、御領主小栗上野さまのお妾腹てかけばらのお嬢さまと分ったので、私も旧弊なア人間だから、まアい塩梅に助かったって、ばゞあとも相談のうって
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
色気も恋もめてしまった、あんま実地過じっちすぎるが、それじゃアばゞあう五円くすねたな、ふてえ奴だなア、それはいゝが、その大事な観音様と云うのはどんな観音様だえ、お見せ
又「なに、いゝや、旦那の御退屈しのぎだ、じゞいばゞあの昔話だからいやらしい事も何もねえじゃねえか」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此のばゞあは元は深川の泥水育ちのあばれもので、頭の真中まんなかが河童の皿のように禿げて、附けまげをして居ますから、お辞儀をすると時々髷が落ちまする、頑丈がんじょうな婆さんですから
と云われ、清次は煙草盆を手にげ二階へ上るのを見て、ばゞあは土間へり、上総戸かずさどを明け。
でもお互に昔は……旦那わたくしはねえ、ちょっと気がさすので、ういう事を云いますが、このばゞあを連れて私が逃げまする時にゃア、この婆が若い時分だのにくり/\坊主に致しましてねえ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
又「旦那此のばゞあはもと根津の増田屋で小澤こさわと云った女郎じょうろでございます」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
手前てめえうちに置かれないからと栄町へ裏店うらだな同様なとこ世帯しょたいを持たして、何だか雇いばゞあとも妾ともつかぬ様な仕合しあわせで、私も詰らねえから、何しろ身を固めるには夫を持たなければ心細いからと思いまして
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おしのばゞあたった一人の忰がような悪人に生れ附いたのも前世の約束事だろうと思い諦め、所持の田畠を残らず人に譲り、恭太郎を連れて向島へ参りまして、白髭の蟠竜軒の美惠比丘尼の弟子になり
ばゞあは金を受取り珠数を渡します。馬作は珠数を首に掛け