トップ
>
妓楼
>
ぎろう
ふりがな文庫
“
妓楼
(
ぎろう
)” の例文
旧字:
妓樓
友達とのつきあいで、前の晩おそく京町の
妓楼
(
ぎろう
)
にあがり、友達は居続けときめたが、彼は親方の気を兼ねて、一人だけさきに帰った。
赤ひげ診療譚:03 むじな長屋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
一夜を
妓楼
(
ぎろう
)
に明かした彼は
伯母
(
おば
)
への手前、そういう場合にすぐそれと
気取
(
けど
)
られるような
憔悴
(
しょうすい
)
した後ろ暗いさまを見せまいとして
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
野菜市場の混雑を過ぎ、大橋を渡って真直に行けば南組の
妓楼
(
ぎろう
)
の辺になりますが、横へ曲って、天王様のお
社
(
やしろ
)
の辺を行きます。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
浪の音などの聞える船着きの町の遊郭には、入口の薄暗い土間に水浅黄色の
暖簾
(
のれん
)
のかかった、古びた大きい
妓楼
(
ぎろう
)
が、幾十軒となく立ちならんでいた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
妓楼
(
ぎろう
)
酒店の帰りにいささかの土産を携えて子供を
悦
(
よろこ
)
ばしめんとするも、子供はその至情に感ずるよりも、かえって土産の出処を内心に
穿鑿
(
せんさく
)
することあるべし。
教育の事
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
▼ もっと見る
あたしは震災の幾年か前、ある怪談会が吉原水道
尻
(
じり
)
の
引手茶屋
(
ひきてぢゃや
)
で催された時にいって、裏の方から
妓楼
(
ぎろう
)
の窓を見たことがある。そこにも金網が張ってあった。
旧聞日本橋:05 大丸呉服店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
その
須賀口
(
すがぐち
)
には、
妓楼
(
ぎろう
)
や茶屋が軒をならべていて、昼間は、
禿
(
かむろ
)
たちが
鞠
(
まり
)
をつきながら、往来で唄っていた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やがて愚僧二十歳に相なり候頃より、ふと同寮の学僧に誘はれ、
品川宿
(
しながわじゅく
)
の
妓楼
(
ぎろう
)
に遊び
仏戒
(
ぶっかい
)
を破り候てより、とかく邪念に妨げられ、
経文
(
きょうもん
)
修業も追々おろそかに相なり
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
上州
(
じょうしゅう
)
一円に廃娼を実行したのは明治二十三年の春で、その当時妙義の町には八戸の
妓楼
(
ぎろう
)
と四十七人の娼妓があった。妓楼の多くは取り毀されて桑畑となってしまった。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
西郷隆盛
(
さいごうたかもり
)
などが維新の志士として
東三本樹
(
ひがしさんぼんぎ
)
あたりの
妓楼
(
ぎろう
)
で盛んに遊んでいたころ
舞妓
(
まいこ
)
に出ていて、隆盛が碁盤の上に立たして、片手でぐっと差し上げたことなどあった。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
渋江氏では、優善が
悶
(
もん
)
を排せんがために酒色の境に
遁
(
のが
)
れたのだろうと思って、
手分
(
てわけ
)
をして料理屋と
妓楼
(
ぎろう
)
とを捜索させた。しかし優善のありかはどうしても知れなかった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
茶屋と
妓楼
(
ぎろう
)
の軒下を例の通り忍びやかに歩いて、
巴屋
(
ともえや
)
の前へ来ると立ち止まりました。そこで、彼が巴屋の
暖簾
(
のれん
)
を押分けて入ってしまったきり、出て来ないのは不思議です。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
仏蘭西
(
フランス
)
語に
妓楼
(
ぎろう
)
を la maison verte と云ふは、ゴンクウルが造語なりとぞ。
蓋
(
けだ
)
し青楼美人合せの名を翻訳せしに出づるなるべし。ゴンクウルが日記に云ふ。
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
◎
浅草
(
あさくさ
)
の或る寺の
住持
(
じゅうじ
)
まだ坊主にならぬ壮年の頃
過
(
あやま
)
つ事あって生家を追われ、
下総
(
しもうさ
)
の
東金
(
とうかね
)
に親類が有るので、当分厄介になる
心算
(
つもり
)
で
出立
(
しゅったつ
)
した途中、
船橋
(
ふなばし
)
と云う所で
某
(
ある
)
妓楼
(
ぎろう
)
へ
上
(
あが
)
り
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
何軒となく立ちならんでいる
妓楼
(
ぎろう
)
は、ただ真黒なものの
高低
(
たかひく
)
の連なりにすぎないけれども、そのどの家からも、女のはしゃぎきった、すさんだ声が手に取るように聞こえていた。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
遊ぼうと言うので、宿屋を出て、駅の裏手にあるという
妓楼
(
ぎろう
)
に出掛けて行った。宿の
婢
(
おんな
)
に教えられた家は、暗い路の、
生籬
(
いけがき
)
に囲まれた、妓楼らしくもないうらぶれた一軒屋である。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
彼女ガモシ昔ノ
島原
(
しまばら
)
ノヨウナ
妓楼
(
ぎろう
)
ニ売ラレテイタトシタラ、必ズヤ世間ノ評判ニナリ、無数ノ
嫖客
(
ひょうかく
)
ガ競ッテ彼女ノ周囲ニ集マリ、天下ノ男子ハ
悉
(
ことごと
)
ク彼女ニ悩殺サレタカモ知レナイ。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
此地
(
こゝ
)
には
妓楼
(
ぎろう
)
がありますでな、
酉
(
とり
)
の無いのも
異
(
い
)
なものぢやといふ事でと、
神酒
(
みき
)
の
番
(
ばん
)
するらしきが
何
(
なに
)
ゆゑかあまたゝび
顔撫
(
かほな
)
でながら、
今日限
(
こんにちかぎ
)
り
此祠
(
このほこら
)
を
借
(
か
)
りましたぢや。これも六七年前。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
窃
(
ひそ
)
かに近づいてみると、
件
(
くだん
)
の女性は、遠い処の
妓楼
(
ぎろう
)
から脱け出して来た
妓女
(
おんな
)
らしく
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
子規を
顧
(
かえり
)
みて何だと聞くと
妓楼
(
ぎろう
)
だと答えた。余は夏蜜柑を食いながら、
目分量
(
めぶんりょう
)
で一間幅の道路を中央から等分して、その等分した線の上を、綱渡りをする気分で、
不偏不党
(
ふへんふとう
)
に
練
(
ね
)
って行った。
京に着ける夕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
裸で道中なるものかという鉄則を破って目出たく
妓楼
(
ぎろう
)
へ押しこむことができたが、三軒ぐらい門前払いをくわされるうちに、ようやく中也もいくらか正気づいて、泊めてもらうことができた。
二十七歳
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
それから古洲と二人で春まだ寒き夜風に吹かれながら田圃路をたどつて品川に出た。品川は過日の火災で町は大半焼かれ、
殊
(
こと
)
に
仮宅
(
かりたく
)
を構へて
妓楼
(
ぎろう
)
が商売して居る有様は珍しき見ものであつた。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
これをもって毎歳必ず五十日あり。この日や、
縉紳
(
しんしん
)
先生より開化処士、青年書生に至るまで、柳を
訪
(
とぶら
)
い、花を
尋
(
たずぬ
)
るの期となせり。ゆえに
妓楼
(
ぎろう
)
、
酒店
(
しゅてん
)
にありては、
古
(
いにしえ
)
のいわゆる
門日
(
もんび
)
、
物日
(
ものび
)
に比す。
日曜日之説
(新字新仮名)
/
柏原孝章
(著)
そしてその
妓楼
(
いえ
)
を見届けると、
自家
(
うち
)
へ帰って
午
(
ひる
)
まで寝た。彼が
妓楼
(
ぎろう
)
というものに始めて上がったのはその夕であった。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
「そら、もう
癇癪
(
かんしゃく
)
が起こった」と七十郎は笑った、「べつになんの用もない、筋をほぐしに
妓楼
(
ぎろう
)
へゆくんだ」
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
お芳のいるのは土地の大きな
妓楼
(
ぎろう
)
で、
金瓶楼
(
きんぺいろう
)
という名を、道太はここへ来てから、たびたび耳にしていた。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
吉原に火災があると、貞固は
妓楼
(
ぎろう
)
佐野槌
(
さのづち
)
へ、百両に
熨斗
(
のし
)
を附けて持たせて遣らなくてはならなかった。また相方
黛
(
まゆずみ
)
のむしんをも、折々は聴いて遣らなくてはならなかった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼等はおそらく
其金
(
そのかね
)
を分配して、新宿の
妓楼
(
ぎろう
)
に足を入れたであらうと鑑定したのである。
赤膏薬
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私が「モシ昔ノ
島原
(
しまばら
)
ノヨウナ
妓楼
(
ぎろう
)
ニ売ラレ」た女であったとしたら、「必ズヤ世間ノ評判ニナリ、無数ノ
嫖客
(
ひょうかく
)
ガ競ッテ」「周囲ニ集マ」ったであろうことを、私は始めて知ったのであった。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
町内の両側に
柳
(
やなぎ
)
が
植
(
うわ
)
って、柳の
枝
(
えだ
)
が
丸
(
ま
)
るい影を往来の中へ
落
(
おと
)
している。少し散歩でもしよう。北へ登って町のはずれへ出ると、左に大きな門があって、門の突き当りがお寺で、左右が
妓楼
(
ぎろう
)
である。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
裕佐がその夜
妓楼
(
ぎろう
)
を出たのは
子
(
ね
)
の刻に近かった。頭はズキズキと痛んでほてり、からだは疲れていた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
仙台の
遊廓
(
ゆうかく
)
で内所の
裕
(
ゆた
)
かなある
妓楼
(
ぎろう
)
の娘と正式に結婚してから、すでに久しい年月を経ていたが、猪野が寿々廼家の分けの芸者であった竹寿々の面倒を見ることになり
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
この人たちは
啻
(
ただ
)
に酒家
妓楼
(
ぎろう
)
に
出入
(
いでいり
)
するのみではなく、常に
無頼
(
ぶらい
)
の徒と会して
袁耽
(
えんたん
)
の技を闘わした。良三の如きは頭を一つ
竈
(
べっつい
)
にしてどてらを
被
(
き
)
て
街上
(
かいじょう
)
を
闊歩
(
かっぽ
)
したことがあるそうである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
江戸の昔には、吉原の
妓楼
(
ぎろう
)
や引手茶屋の主人にもなかなか風流人がございまして、俳諧をやったり書画をいじくったりして、いわゆる
文人墨客
(
ぶんじんぼっかく
)
というような人たちとお附合いをしたものでございます。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼はおれをいちどは福原の
妓楼
(
ぎろう
)
へも伴れていったくらいなんだ。
陽気な客
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
広い通りへ出ると、両側の
妓楼
(
ぎろう
)
の二階や三階に薄暗い
瓦斯燈
(
ガスとう
)
が
点
(
とも
)
れて、人影がちらほら見えた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
然るに竜池は劇場に往き、
妓楼
(
ぎろう
)
に往った。竜池は中村、市村、森田の三座に見物に往く毎に、
名題
(
なだい
)
役者を茶屋に呼んで杯を取らせた。妓楼は深川、吉原を始とし、品川へも内藤新宿へも往った。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
“妓楼”の意味
《名詞》
遊女屋。女郎屋。青楼。
(出典:Wiktionary)
妓
漢検準1級
部首:⼥
7画
楼
常用漢字
中学
部首:⽊
13画
“妓楼”で始まる語句
妓楼一夕