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天晴
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あっぱ
ふりがな文庫
“
天晴
(
あっぱ
)” の例文
「それは殿のお言葉が、恐れながら順当で御座ろう。とやかく申しても当、上様は御名君のう。
天晴
(
あっぱ
)
れな御意……申分御座らぬ……」
名君忠之
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ヘロデ王に
叱
(
しか
)
られるとべそをかく、
褒賞
(
ほうび
)
をもらうと押し戴く、ディヤナには色目を使うという工合で、
天晴
(
あっぱ
)
れ一役をやってのけました。
ノンシャラン道中記:06 乱視の奈翁 ――アルル牛角力の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「さすがは運慶だな。眼中に我々なしだ。天下の英雄はただ仁王と
我
(
わ
)
れとあるのみと云う態度だ。
天晴
(
あっぱ
)
れだ」と云って
賞
(
ほ
)
め出した。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
天晴
(
あっぱ
)
れのあなた様のご決心、同志一同感謝いたすでござろう。では菊女殿明日ともいわず、今夜忽ちに二つの手をもって……」
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そっと手から手へ渡すという仕組みなのさ……実に敵ながら
天晴
(
あっぱ
)
れ、赤外線を使ったのは
間諜
(
スパイ
)
戦はじまって以来是が最初だろうよ
亡霊ホテル
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
「手張りをしちゃいけないと言うのも要するに結果論さ。儲ければ、親父だって、サッと斯う日の丸の扇を開く。
天晴
(
あっぱ
)
れ/\!」
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
さても
出来
(
でか
)
したり黄金丸、また鷲郎も
天晴
(
あっぱ
)
れなるぞ。その父の
讐
(
あだ
)
を
討
(
うち
)
しといはば、事
私
(
わたくし
)
の意恨にして、深く
褒
(
ほ
)
むるに足らざれど。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
すっきり
端然
(
しゃん
)
と構えたる
風姿
(
ようだい
)
といい
面貌
(
きりょう
)
といい水際立ったる男振り、万人が万人とも好かずには居られまじき
天晴
(
あっぱ
)
れ小気味のよき
好漢
(
おとこ
)
なり。
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
或いは刀は良いけれども腕が怪しいと言われてしょげるもあり、刀はさほどでないが腕の冴えが
天晴
(
あっぱ
)
れと言って
賞
(
ほ
)
められるものもありました。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ポートサイドでレモンの皮のはいった塩水で
嗽
(
うがい
)
をしてスエズ運河の両岸の夜景に挟まれて身の丈を長くした妾は
天晴
(
あっぱ
)
れ一人前の女になったのです。
孟買挿話
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
歩いても近き場所なるを贈物が大切とて車を雇い、心には
天晴
(
あっぱ
)
れお登和嬢を悦ばせんと期して急ぎ中川の家へ
赴
(
おもむ
)
きたり。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
繭
(
まゆ
)
を破って出た
蛾
(
が
)
のように、その控え目な、内気な態度を脱却して、
多勢
(
おおぜい
)
の若い書生たちの出入りする家で、
天晴
(
あっぱ
)
れ地歩を占めた夫人になりおおせた。
安井夫人
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「
天晴
(
あっぱ
)
れ武門の
柱石
(
ちゅうせき
)
と任じております。勝とう勝とうは武門の
空念仏
(
からねんぶつ
)
。ひとりぐらいは、負けかたの良し
悪
(
あ
)
しを考える御家臣もあってよろしいでしょう」
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
気の毒だが、敵ながら
天晴
(
あっぱ
)
れとは言えないのだ。私から見ると、この場合、日本のその陶工のほうが一枚も二枚も役者がうえである。一境地に達している。
踊る地平線:02 テムズに聴く
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
それにつけても
肥後守
(
ひごのかみ
)
は、——会津中将は、
葵
(
あおい
)
御一門切っての
天晴
(
あっぱ
)
れな
公達
(
きんだち
)
よ
喃
(
のう
)
! 御三家ですらもが薩長の鼻息
窺
(
うかご
)
うて、江戸追討軍の御先棒となるきのう今日じゃ。
十万石の怪談
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
天晴
(
あっぱ
)
れ衆人の嘲笑と愚弄の的になりながら死ぬまで騎士の夢をすてなかったドンキホーテと、その夢を信じて
案山子
(
かかし
)
の殿様に忠誠を捧げ尽すことの出来たサンチョと
雑記帳より(Ⅱ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
したがって、
天晴
(
あっぱ
)
れの気性者。その上、身の働きの素早さは、言語に絶し、目から鼻へ抜けるような鋭い機智で、どんな場合にも、
易々
(
やすやす
)
と、危難の
淵
(
ふち
)
を乗り切るのだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
あわれこの人男子と生れて
太棹
(
ふとざお
)
を弾きたらんには
天晴
(
あっぱ
)
れの名人たらんものをと
嘆
(
たん
)
じたという団平の意太棹は三絃芸術の極致にしてしかも男子にあらざればついに
奥義
(
おうぎ
)
を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
秀吉は適当に食慾を制し、落付払ふこと、まことに
天晴
(
あっぱ
)
れな貫禄であつた。天下統一といふ事業のためなら、家康に頭を下げて頼むぐらゐ、お安いことだと考へてゐる。
黒田如水
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
まことに
天晴
(
あっぱ
)
れな進退で、僕らはすっかり気を呑まれて、ただ茫然と見送っているばかりでした。
ボロ家の春秋
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
「何が、間違いです。誰が間違いだと云いました。とんでもない、
天晴
(
あっぱ
)
れじゃありませんか。」
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
百右衛門こそ世にめずらしき悪人、武蔵すでに自決の上は、この私闘おかまいなしと定め、殿もそのまま許認し、女ふたりは、
天晴
(
あっぱ
)
れ父の
仇
(
かたき
)
、
主
(
しゅう
)
の仇を打ったけなげの者と
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
彼は、妻の、その
天晴
(
あっぱ
)
れ美事な心境に、
呆然
(
ぼうぜん
)
としてしまった。彼はもう涙が出なかった。
花園の思想
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
広い邸内を、唯ひとり
血刀
(
ちがたな
)
を下げて相手を求めて歩き廻っていたところは、
天晴
(
あっぱ
)
れな若武者ぶりだったとある。もっとも、がんどう頭巾というやつ、あれをスッポリかぶって眼だけ出していた。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その恩に感じて南蛮キリシタン宗に
帰依
(
きえ
)
し、ハビアンと名を改め、カテキスタ(同宿)として
天晴
(
あっぱ
)
れ才学を
謳
(
うた
)
はれたも束の間、一朝にして己れがインテリゲンシヤに
溺
(
おぼ
)
れ、
増長慢
(
ぞうちょうまん
)
に鼻をふくらし
ハビアン説法
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
天晴
(
あっぱ
)
れ人類に偉大な貢献をすべき人物に見えてくる……偉大なる貢献をね! そうなったらもう、僕独特の堂々たる哲学体系が出現して、君たち仲間はみんな、虫けらか微生物みたいに見えてくる。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
女人と言えども
天晴
(
あっぱ
)
れな御同行の一人じゃぞ
取返し物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「中々、
天晴
(
あっぱ
)
れな者で御座ります——」
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
しかしです、貸すに二週間の時日をもってせられるならばです、質実剛健、思想堅固
天晴
(
あっぱ
)
れ、天下無双の
猛牛
(
トオロオ
)
に仕立てて御覧にいれますヨ
ノンシャラン道中記:06 乱視の奈翁 ――アルル牛角力の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
時に五七の句調など用ひて、趣向も文章も
天晴
(
あっぱ
)
れ時代ぶりたれど、これかへつて少年には、
誦
(
しょう
)
しやすく解しやすからんか。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
敵ながら
天晴
(
あっぱ
)
れと褒めたくなるほどの、真に神妙な早業で、しかも充分のネバリをもって、石火の如くに行なわれては、ほとんど防ぐに術が無い
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
せっかく汝も望みをかけ
天晴
(
あっぱ
)
れ名誉の仕事をして持ったる腕の光をあらわし、欲徳ではない職人の本望を見事に遂げて
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
間
(
あい
)
の
山
(
やま
)
時代のことなんぞは口に出すのもいやがって、
天晴
(
あっぱ
)
れのお部屋様気取りですましていることは、思えば思えば
業腹
(
ごうはら
)
でたまらないのであります。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そうして極めてスペシァルなアカデミックな教育を受けて
天晴
(
あっぱ
)
れ学士となり、そうしてしかも
マーカス・ショーとレビュー式教育
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
何やかや指図して大の男を使ひこなしてゐる様子は
天晴
(
あっぱ
)
れ姐御であつたが、さういふこの人は私の心を動かさなかつた。私は笑ひを追ひつゞけた。それはひどく高潔だつた。
篠笹の陰の顔
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
どうにも
融通
(
ゆうずう
)
のきかねえ人間だった。——それにひきかえ、この三蔵は、親に
似気
(
にげ
)
なき
天晴
(
あっぱ
)
れ者と、きのうも直々、池田入道勝入さまから、お褒めのことばを頂戴し……さ。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小説家よ!……
天晴
(
あっぱ
)
れ、と一つ
煽
(
あお
)
いでやろうと、扇子を片手に、当時文界の老将軍——
佐久良
(
さくら
)
藩の
碩儒
(
せきじゅ
)
で、むかし江戸のお留守居と聞けば、武辺、文道、両達の
依田
(
よだ
)
学海翁が
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
世の青年子弟が一の学校を卒業すれば
天晴
(
あっぱ
)
れ自ら何の事も
成
(
な
)
し
得
(
う
)
べしと信じ、無経験の身を以て大胆なる事業に
当
(
あた
)
り遂に失敗して世を
怨
(
うら
)
み自ら苦むもの
比々
(
ひひ
)
として
皆
(
み
)
なこれなり。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
式部の秘蔵のひとり息子で
容貌
(
ようぼう
)
華麗、立居振舞い神妙の
天晴
(
あっぱ
)
れ父の名を恥かしめぬ秀才の若武者、いまひとりは式部の同役森岡丹後の三人の男の子の中の末子丹三郎とて十六歳
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
現在
天晴
(
あっぱ
)
れの精神科学者を兼ねた名探偵となって御座るわけだから、その力でこの記録を読んで行かれたならば、徹底的にこの事件の真相を看破して、ギャフンとまいる位の事は
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
同じ場所から攻め入った柳川の立花
飛騨守宗茂
(
ひだのかみむねしげ
)
は七十二歳の
古武者
(
ふるつわもの
)
で、このときの働きぶりを見ていたが、渡辺新弥、
仲光内膳
(
なかみつないぜん
)
と数馬との三人が
天晴
(
あっぱ
)
れであったと言って、三人へ連名の感状をやった。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
昨日
(
きのう
)
まで舞台に躍る
操人形
(
あやつりにんぎょう
)
のように、物云うも
懶
(
ものう
)
きわが小指の先で、意のごとく立たしたり、寝かしたり、
果
(
はて
)
は笑わしたり、
焦
(
じ
)
らしたり、どぎまぎさして、面白く興じていた手柄顔を、母も
天晴
(
あっぱ
)
れと
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
敵ながら
天晴
(
あっぱ
)
れだと思いますよ。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
世にも名高いニースの花合戦に加わり、一等を争って敗れたのでございますもの。
天晴
(
あっぱ
)
れ華々しい最後と申してよろしゅうございましょう。
ノンシャラン道中記:04 南風吹かば ――モンテ・カルロの巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「
天晴
(
あっぱ
)
れ見事なお腕前、それに不思議な構え方、お差し支えなくばご流名を、お明かしなされてはくださるまいか」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
両国の女軽業師の楽屋へ来て、お角を待っている
福兄
(
ふくにい
)
なるものは、御家人崩れの福村のことで、巣鴨の化物屋敷では、
天晴
(
あっぱ
)
れ神尾主膳の片腕でありました。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
次第に成長するにつけ、
骨格
(
ほねぐみ
)
尋常
(
よのつね
)
の犬に
勝
(
すぐ
)
れ、
性質
(
こころばせ
)
も
雄々
(
おお
)
しくて、
天晴
(
あっぱ
)
れ頼もしき犬となりけり。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
天晴
(
あっぱ
)
れ立派に建ったるかな、あら快よき細工振りかな、
希有
(
けう
)
じゃ
未曽有
(
みぞう
)
じゃまたあるまじと為右衛門より門番までも、初手のっそりを
軽
(
かろ
)
しめたることは忘れて讃歎すれば
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
何やかや指図して大の男を使いこなしている様子は
天晴
(
あっぱ
)
れ
姐御
(
あねご
)
であったが、そういうこの人は私の心を動かさなかった。私は笑いを追いつづけた。それはひどく高潔だった。
篠笹の陰の顔
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「いやいや、最前とくとお見受け申すに、法はずれながら
其許
(
そこもと
)
の切尖には、云うに云われぬ天質の閃きがあるやに存ずる。必ずとも一念にご出精あれば、
天晴
(
あっぱ
)
れなお手筋になられましょう」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“天晴”の意味
《名詞》
天晴(テンセイ)
空が晴れわたること。天青。
《形容動詞・感動詞》
天晴(あっぱれ)
「あっぱれ」の漢字表記。
(出典:Wiktionary)
天
常用漢字
小1
部首:⼤
4画
晴
常用漢字
小2
部首:⽇
12画
“天晴”で始まる語句
天晴々々
天晴天晴
天晴武者振