地主じぬし)” の例文
と、海蔵かいぞうさんがいいました。そばにてみると、それはこの附近ふきん土地とちっている、まちとしとった地主じぬしであることがわかりました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
このとき地主じぬしのついでくれたちゃをすすって、またおしょうさんは、じっとかんがえていました。にわ木立こだちで、あぶらぜみのこえがします。
子供は悲しみを知らず (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、ある日、おとうさんは背中せなかをたたきながら、地主じぬしの長者屋敷やしきへ納める小作米こさくまいたわらを、せっせとくらにつけていました。
たにしの出世 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ラーゲルレーヴさんは、このほかにも、「地主じぬしの家の物語」をはじめ、たくさんの作品を発表しています。
その金はどこから借りるかといえば地主じぬしから借りるほかはない。借りたところで滅多めったに返せるものでない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
四角四面の地主じぬし屋敷にい立って、一人ぼっちの生真面目きまじめな教育を受けてきた少年のわたしは、こうしたらんちき騒ぎや、ほとんど狂暴きょうぼうともいうべき無遠慮ぶえんりょな浮かれ気分や
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
すでに大きな土地とちをもっていましたが、もし湖をうまく干すことができれば、それこそ、その土地が、ばいちかくにもなるのです、そんなわけで、ふたりは、ほかの地主じぬしたちよりも
「あいつは自慢じまんしていたが、こんな大根だいこんがいくらするもんだ。まちへいってったって、れている。」と、地主じぬしはつぶやきました。
大根とダイヤモンドの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
うしをたべてしまった椿つばきにも、はなが三つ四ついたじぶんの海蔵かいぞうさんは半田はんだまちんでいる地主じぬしいえへやっていきました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
「おとうさん、わたいはちいさいから馬をひいて行くことはできないけれど、米俵こめだわらの上にわたいをのせてくれれば地主じぬしさまのお屋敷やしきまで馬をつれてってきてあげるよ」
たにしの出世 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
私は大いに感じまして、どうしてこんなまずしい家で子供に手習をさせるかと思って尋ねますと、この辺は皆農家であって地主じぬしに小作料をおさめます時分に字を知らないというと地主にごまかされる。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
ぜんちゃん、きみなら、とれるよ。地主じぬしさんの屋敷やしきのすぎのに、からすがつくったのだ。したからも、よくえる。いってろうや。」
高い木と子供の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、そんなことぐらいでは、地主じぬしはゆるしてくれませんでした。地主じぬし大人おとな利助りすけさんを、まるで子供こどもしかるように、さんざんしかりとばしました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
ことに、やまなかは、もうさむかったのであります。こんなときも、地主じぬしは、ダイヤモンドのひかりえがいて、苦痛くつうわすれたのであります。
大根とダイヤモンドの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、ごろやかましい、がんこな、地主じぬしのおじいさんが、おこっているので、みんなちいさくなって、いきころして、ながめていました。
高い木と子供の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しょうは、たくさんの大根だいこんなかから、いちばんできのいいのを十ぽんばかりって、それをむら地主じぬしのところへってまいりました。
大根とダイヤモンドの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「なんでもはたらいて、このむら地主じぬしさまのように金持かねもちにならなければだめだ。」と、主人しゅじんあたまりながら、つまをはげますようにいいました。
ちょうと三つの石 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、だれもこの貧乏びんぼう子供こども同情どうじょうをしてくれるものがないとみえました。その子供こども地主じぬしうちでもことわられたとみえます。
金銀小判 (新字新仮名) / 小川未明(著)
地主じぬしは、いきいきとして、あるきながら、自分じぶんのからだに、良心りょうしんがまだのこっていたのが、かぎりなくうれしかったのでした。
子供は悲しみを知らず (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは、ほんとうのははであればこそ、この場合ばあい、だれでもおそろしがる、地主じぬしかって、自分じぶんのためにいいあらそってくれたのだ。
高い木と子供の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
地主じぬしは、縁側えんがわで、にわをながめながら、たばこをすっていました。そのとき、きたないふうをした、旅僧たびそうが、はいってきて
水七景 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「うちのせがれは、んだものと、あきらめています。」と、地主じぬしは、こうこたえて、さすがにさびしそうでありました。
子供は悲しみを知らず (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうして、まんについてはなしをするひとたちは、いずれもむらかねのある地主じぬしとか、物持ものもちとしてられてる人々ひとびとでした。
万の死 (新字新仮名) / 小川未明(著)
となり地主じぬしでありまして、たくさんもちをつきました。幸作こうさくは、そのにぎやかなわらごえきますと、どうかして自分じぶん金持かねもちになりたいものだと空想くうそうしたのであります。
金銀小判 (新字新仮名) / 小川未明(著)
地主じぬしさんのまくらもとへきんほとけさまがおちになって、やまれとおっしゃった……。」とか
「どうぞ、みずを一ぱい、いただきたい。」と、もうしました。すると、地主じぬしは、つれなく
水七景 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しょうは、地主じぬしとはなっても、けっして、たか小作米こさくまいることはなかったのです。
武ちゃんと昔話 (新字新仮名) / 小川未明(著)