ろく)” の例文
「慌てまい。六ちゃん、いや、ちゃんと云う柄じゃねえ。六公ろくこうろくでなし、六印ろくじるし月六斎つきろくさいでいやあがら。はははは。」
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
たゞ櫻島さくらじまはかういふ大噴火だいふんか百年ひやくねんあるひ二三百年にさんびやくねん間隔かんかくもつ繰返くりかへすので、したがつて鎔岩ようがん流出量りゆうしゆつりようおほく、前回ぜんかい場合ばあひいちろく立方粁りつぽうきろめーとる計算けいさんせられてゐるが
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
近所のろくっていうやつに口を吸われたことがあるの、そのときあたしは自分の躯がすっかりけがれちゃって、一生きれいにはなれないと思って泣いたわ
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ろく」「六? ろくさんというのかね。」と問いますと、子供はうなずいたまま例の怪しい笑いをもらして、口を少しあけたまま私の顔を気味の悪いほど見つめているのです。
春の鳥 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
お辰の代りに、花嫁に仕立てられたのは、どこから来たともなく、二三年この方、神田あたりを彷徨さまよい歩く女乞食のおろく、これは、何を訊いても一向取り止めのない始末です。
娘のまきと、さだに守りをされながら、ろくの小さい裸足の足音は湿りけのある地面に吸いつくような調子で、今来て肩につかまったかと思うと、もうあっちへヨチヨチとかけて行く。
禰宜様宮田 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
あなたは『ろくみやの姫君』って短篇を読んではいらっしゃらなくって? 
文放古 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ナニ、これはね、のうお高、ろくめの仕業だよ。ホラお前も知っている通り、家には可哀想な一人前でない連中を養ってあるが、その内に六という気違いがいるのだよ。その六が、何の為だか庭を
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
あきれた人間にんげんどもだ、其樣そん臆病をくびやう船長せんちやうなんかは、げたとてどうせろくことはあるまい、なみでもくらつて斃死へたばつてしまつたらうが、※一まんいちきてゞもやうものなら、この武村新八たけむらしんぱち承知しやうちしねえ、世間せけん見懲みせしめ
うつと、取つてろくになりますか」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
げんだの、ろくだの、腕白わんぱくどもの多い中に、ぼうちやん/\と別ものにして可愛かわいがるから、姉はなし、此方こなたからもなついて、ちよこ/\と入つては、縫物ぬいもの交返まぜかえす、物差ものさしで刀の真似
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
お辰の代りに、花嫁に仕立てられたのは、どこから来たともなく、二三年この方、神田あたりを彷徨さまよい歩く女乞食のおろく、これは、何を訊いても一向取り止めのない始末です。
とき神學しんがく議論ぎろんまであらはれて一しきりはシガーのけむ熢々濛々ぼう/\もう/\たるなかろくしち人面じんめん隱見いんけん出沒しゆつぼつして、甲走かんばしつた肉聲にくせい幾種いくしゆ一高一低いつかういつてい縱横じゆうわうみだれ、これにともな音樂おんがくはドスンとたくおと
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
このろくでなしの六蔵は、元来腕利きの仕立屋で、女房と世帯しょたいを持ち、弟子小僧も使った奴。
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
が、筋は、——女の名はおろく——武家の娘で本当はろくと書くのだが——、少女時代にさらわれて道中胡麻の蠅の手先になり、ついうかうかと娘盛りの二十歳はたちを越してしまったというのです。
天明てんめいろく丙午年ひのえうまどしは、不思議ふしぎ元日ぐわんじつ丙午ひのえうまとし皆虧かいきしよくがあつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いちき、ろくで、さんかはり、かへり、ならぶ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いちろくか、くさなかに、ぽつりと蟋蟀こほろぎとまんぬ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)