一帶いつたい)” の例文
新字:一帯
ふるい/\むかしは、この一帶いつたい暖帶林だんたいりん上部じようぶから温帶林おんたいりん下部かぶぞくする樹木じゆもく、すなはち常緑じようりよく濶葉樹かつようじゆ落葉樹らくようじゆでおほはれてゐたのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
ひがし西にしみなみ三方さんぽうこのしま全面ぜんめんで、見渡みわたかぎ青々あを/\としたもりつゞき、處々ところ/″\やまもある、たにえる、またはるか/\の先方むかう銀色ぎんしよく一帶いつたい隱見いんけんしてるのは、其邊そのへん一流いちりうかはのあることわかる。
てんいまだくらし。東方とうはう臥龍山ぐわりうざんいたゞきすこしくしらみて、旭日きよくじつ一帶いつたいこうてうせり。昧爽まいさうきよく、しんみて、街衢がいく縱横じうわう地平線ちへいせんみな眼眸がんぼううちにあり。しかして國主こくしゆ掌中しやうちうたみ十萬じふまんいまはたなにをなしつゝあるか。
鉄槌の音 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
更に黄金こがね一帶いつたい
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
斯程かほどしまだから、なに食物しよくもつこともあるまいと四方よも見渡みわたすと、はたして二三ちやうへだゝつた小高こだかをか中腹なかばに、一帶いつたい椰子やし、バナヽのはやしがあつて、甘美うるはしき果實くわじつえだ垂折しをれんばかりに成熟せいじゆくしてる。
東京とうきやう四萬よまんかずおほいやうだけれども、ころにしろ府下ふか一帶いつたい人口じんこうくらべては、辻駕籠つじかごほどにも行渡ゆきわたるまい、しかいつげつ税銀ぜいぎん八匁はちもんめ人力車じんりきしやである。なか/\もつ平民へいみんにはれさうにおもはれぬ。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
このいへこと數町すうちやう彼方かなたに、一帶いつたいわんがある、逆浪げきらうしろいわげきしてるが、その灣中わんちういわいわとが丁度ちやうど屏風びやうぶのやうに立廻たてまわして、自然しぜん坩※るつぼかたちをなしてところ其處そこ大佐たいさ後姿うしろすがたがチラリとえた。