“ところどころ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
処々62.6%
所々23.1%
諸所4.4%
所所3.3%
處處1.1%
処〻1.1%
処処1.1%
往往1.1%
所〻1.1%
處々1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
船頭は竿さをを弓のやうに張つて、長い船縁ふなべりを往つたり来たりした。竿さをを当てる襦袢じゆばん処々ところどころ破れて居た。一竿ひとさを毎に船は段々とくだつて行つた。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
門を出て、左へ切れると、すぐ岨道そばみちつづきの、爪上つまあがりになる。うぐいす所々ところどころで鳴く。左り手がなだらかな谷へ落ちて、蜜柑みかんが一面に植えてある。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
道は少しも険阻ではないが、ただ連日の大雨たいうのため諸所ところどころ山崩れがあって、時々頭上の断崖からは、土石がバラバラと一行の前後に落ちてくるには閉口閉口。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
黒ずんだマロニエの木立こだちに白樺がまじつて居て落葉おちばの中に所所ところどころ水溜みづたまりが木の影を映して居る。縦横に交叉して居る大きなみち時時ときどき馬車の地響ぢひゞきを挙げながら、その先は深い自然林の中に消えて仕舞しまふ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
そのそらあかるみをうつみづや、處處ところどころ雜木林ざふきばやしかげ蒼黒あをぐろよるやみなかあがつてした。わたしはそれをぢつと見詰みつめてゐるうちに、なんとなく感傷的かんしやうてき氣分きぶんちてた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
おも背嚢はいなうけられるかたじうささへた右手みぎてゆびあしかかと——その處處ところどころにヅキヅキするやうないたみをかんじながら、それを自分じぶんからだいたみとはつきり意識いしきするちからさへもなかつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
するとこれは古くなって処〻ところどころ汚れたり損じたりしてはいるが、なかなか叮嚀ていねいかれたもので、巧拙は分らぬけれども、かつて仇十州きゅうじっしゅうの画だとか教えられて看たことのあるものにた画風で
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ロダン先生の馬車に乗るのは名誉だと云つて皆の心はおどつた。しかし馬車は随分質素な一頭だてで、張つた羅紗の処処ところどころ擦れ切れたのが目に附く。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
また問ひたまはく、「何とかも」と問ひたまへば、答へたまはく「時時よりより往往ところどころにして、取らむとすれども得ず。ここを以ちて得たまはじと白すなり」
九尾きゅうびの狐をめとったなどという馬鹿気たことも随分古くから語られたことであろうし、周易しゅうえきにも狐はまんざら凡獣でもないように扱われており、後には狐王廟こおうびょうなども所〻ところどころにあり
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
勘次かんじすみのやうにつたせたはしらはり垣根かきねそばんだ。かれあたらしい手桶てをけみづんでまださうはりはしらへばしやりとみづけた。かれはひあつめて處々ところどころ圓錘形ゑんすゐけい小山こやまつくつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)