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處處
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ところどころ
その
空の
明るみを
映す
田の
水や、
處處の
雜木林の
影が
蒼黒い
夜の
闇の
中に
浮き
上つて
見え
出した。
私はそれをぢつと
見詰めてゐる
内に、
何となく
感傷的な
氣分に
落ちて
來た。
重い
背嚢に
締め
著けられる
肩、
銃を
支へた
右手の
指、
足の
踵——その
處處にヅキヅキするやうな
痛みを
感じながら、それを
自分の
體の
痛みとはつきり
意識する
力さへもなかつた。