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魁偉
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かいい
ふりがな文庫
“
魁偉
(
かいい
)” の例文
蝦夷のシャグシャインやツキノイ、南の小島では
赤蜂本瓦
(
あかぶさほんがわら
)
や
与那国
(
よなくに
)
の
鬼虎
(
おにとら
)
のごとき、容貌
魁偉
(
かいい
)
なる者は多くは終りを
全
(
まっと
)
うしなかった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
が、妙覚尼も云う通り
図抜
(
ずぬ
)
けて大きい彼の
魁偉
(
かいい
)
な容貌が、その身長との不釣り合いのために一層人を威壓したことは、想像に難くない。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
が、方頷粗髯の山本権兵衛然たる
魁偉
(
かいい
)
の状貌は文人を
青瓢箪
(
あおびょうたん
)
の
生白
(
なまっちら
)
けた
柔弱男
(
にやけおとこ
)
のシノニムのように思う人たちをして意外の感あらしめた。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
人々の
首
(
こうべ
)
は、一斉にそのほうへ振向いた。見ればその人は、
貌相
(
ぼうそう
)
魁偉
(
かいい
)
胸ひろく
双肩
(
そうけん
)
威風をたたえ、武芸抜群の勇将とは見られた。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
亡父の事を人はよく容貌
魁偉
(
かいい
)
というが、どちらかというと派手で、大きくて、厚肉で、俗な分子が相当あり、なかなか扱いにくい首である。
自作肖像漫談
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
▼ もっと見る
笑み崩れたその
魁偉
(
かいい
)
な顔をつくづくと眺め、十吉はふとさう思つた。そして差し出された巨きな手の平を、心から握り返した。
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
ここにつどえる将校百三十余人のうちにて、騎兵の服着たる老将官の
貌
(
かたち
)
きわめて
魁偉
(
かいい
)
なるは、国務大臣ファブリイス伯なりき。
文づかい
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
身の丈五尺九寸もある
大入道
(
おおにゅうどう
)
の
大眼玉
(
おおめだま
)
。容貌いたって
魁偉
(
かいい
)
で、ちょうど
水滸伝
(
すいこでん
)
の
揷絵
(
さしえ
)
にある
花和尚魯智深
(
かおしょうろちしん
)
のような面がまえ。
顎十郎捕物帳:17 初春狸合戦
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
或る箱の
葭簀
(
よしず
)
の下では支那らんちゅうの目の醒めるようなのが
魁偉
(
かいい
)
な尾鰭を重々しく動かしていた。葭簀を洩れた日光が余り深くない水にさす。
高台寺
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
くまのように
魁偉
(
かいい
)
な男ではあるが、どことなくものやさしい、目は
正直
(
しょうじき
)
そうな光をおびている、一同はかれの
態度
(
たいど
)
になにかしら心強さを感じた。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
体も大きいし容貌も
魁偉
(
かいい
)
で声音も多いという人が、別に大きな声も出さず、僅に微笑をしたところに、かえって偉大な感じを起すのと同様である。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
とシャアは
魁偉
(
かいい
)
な容貌を落涙せんばかりに歪めて、とある
曲り角
(
カーブ
)
へ来た時に後方から続いて来るカ氏やジャヴェリらの乗っている車を指し示した。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
そうしてその容貌の
魁偉
(
かいい
)
にしていかにも筋骨の
逞
(
たくま
)
しきところは、ただその
禅定
(
ぜんじょう
)
だけやって坐って居るような人と見えないほどの骨格の逞しい人で
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
余好意を謝してその容貌を見るに、
魁偉
(
かいい
)
にして筋骨
逞
(
たくま
)
しく、
磊落
(
らいらく
)
にして豪傑肌なる快男児也。いよいよ心強く覚ゆ。
層雲峡より大雪山へ
(新字新仮名)
/
大町桂月
(著)
容貌
魁偉
(
かいい
)
なる田山白雲の姿の見えない代りに、短身長剣の男が一人
舳先
(
へさき
)
に突立って、ものを言いかけましたから
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
校長は、五分刈で、顎骨の四角な、眼玉の大きい、見るからに
魁偉
(
かいい
)
な感じのする、五十四五歳の人だった。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
魁偉
(
かいい
)
というと少し
大袈裟
(
おおげさ
)
で悪いが、いずれかというと、それに近い方で、とうてい細い筆などを握って、机の前で
呻吟
(
しんぎん
)
していそうもないから実は驚いたのである。
長谷川君と余
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その席に今一人、より
魁偉
(
かいい
)
な、極めて彫りの深い容貌の生徒がいる。脚本が朗読されている間、彼は厳然と腕を組み、その態度を崩さない。やはり興味を覚える。
澪標
(新字新仮名)
/
外村繁
(著)
町家の中でこれを見ると、
魁偉
(
かいい
)
であり、異観であったが、然し、
頭抜
(
ずぬ
)
けて美しいことが分るのだった。
日本文化私観
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
容貌は
魁偉
(
かいい
)
でありながら色は生白かったり、新型の洋服を着ていながら猫背で腰を
跼
(
かが
)
めていたり、鼻の下に
髭
(
ひげ
)
をつけながら前垂れをかけていたり、これ等の人々は
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
万人に正確だと認められている無数の史料か、あるいは今見て来た
魁偉
(
かいい
)
な老紳士か。前者を疑うのが自分の頭を疑うのなら、後者を疑うのは自分の眼を疑うのである。
西郷隆盛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
容貌
魁偉
(
かいい
)
の荒武者が大蛇の口へ両手をかけて今や引き裂かんとする凄まじの光景、これが
凧
(
たこ
)
の絵ならすぐ売れるがと思ったくらいで、さすがに不評、まあこんなのもあった
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
そのころどこからともなく江戸に現われた
修験者
(
しゅげんじゃ
)
で、四十五六の
魁偉
(
かいい
)
な男でしたが、不思議な法力を持つと
噂
(
うわさ
)
されて、わずかの間に江戸中の人気を
渫
(
さら
)
い、谷中に建てた堂宇は
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
内
(
なか
)
には
容貌
(
ようぼう
)
魁偉
(
かいい
)
の将軍が乗っていた。日清戦争実記以来写真銅版でお馴染の
痘痕面
(
あばたづら
)
だった。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
実際家の熊城君なんぞは
既
(
とう
)
に気がついているだろうが、その二つの足型を採証的に解釈してみると、大男のレヴェズが履く
套靴
(
オヴァ・シューズ
)
の方には、さらにより以上
魁偉
(
かいい
)
な巨人が想像され、また
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
太田町近在のある寺の住職が、容貌
魁偉
(
かいい
)
にして、大和尚の
風采
(
ふうさい
)
をそなえている。
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
郷長
(
さとおさ
)
嘉門は六十歳ほどで、土着の武士であるだけに、容貌
魁偉
(
かいい
)
風采堂々、まことに立派なものであったが、伊賀袴を穿き陣羽織を着し、自分の屋敷の母屋の縁に、寛々と腰をかけていた。
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
天下無双であり、ちょっと形容しがたいほど
魁偉
(
かいい
)
な大豪傑であった。彼は前田家の勇士と試合を望み、どう断わっても承知しなかった。試合をさせないのなら城を明け渡せ、と云うのであった。
似而非物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
かれが天性の色の白さも
際
(
きわ
)
だつのであるが、こう見くらべたところ、お十夜の
色悪
(
いろあく
)
な、一角の
魁偉
(
かいい
)
な、周馬のにきびだらけの面相などとは
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここにつどへる将校百三十余人の中にて、騎兵の服着たる老将官の
貌
(
かたち
)
きはめて
魁偉
(
かいい
)
なるは、国務大臣ファブリイス伯なりき。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
一口につづめて言へば、
魁偉
(
かいい
)
な風貌にちがひないのだが、しかもその逞ましさは何かもつと別の、いはば涙もろいものを秘かに含んだ逞ましさである。
春泥:『白鳳』第一部
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
「接吻だけは
止
(
よ
)
せというが、こうしずにはいられない」と状貌
魁偉
(
かいい
)
と形容しそうな
相好
(
そうごう
)
を
壊
(
くず
)
して、
頤
(
あご
)
の下に猫を
抱
(
かか
)
え込んでは小娘のように嬉しがって舐めたり
撫
(
さす
)
ったりした。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
と微笑みながら側に立っている容貌
魁偉
(
かいい
)
なシャアに何か
母国
(
カッチ
)
語で言われた。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
やや
魁偉
(
かいい
)
な風貌も限りなく親しめるものであり、楽屋で夫君の演奏の終るのを待ち構えて、抱き付くように迎える夫人の愛情の籠った態度までが、私には昨日のことのように思い出されてならない。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
待つ間もなく、
容貌
(
ようぼう
)
魁偉
(
かいい
)
の中老紳士が入って来て
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と、男が男のすがたに
見恍
(
みと
)
れるほどの者もあった。わけても吉田忠左衛門、背は高く、肩の肉は厚く、容貌は
魁偉
(
かいい
)
である。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
然るにいよいよ新任提調として出頭するや、一同は皆
瀟洒
(
しょうしゃ
)
たる風流才人を見るべく想像していたに反して、意外にも
状貌
(
じょうぼう
)
魁偉
(
かいい
)
なる重厚
沈毅
(
ちんき
)
の二葉亭を迎えて一見忽ち信服してしまった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
長躯
魁偉
(
かいい
)
で、東洋風な風貌をしているということである。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
それほどにその人物は
魁偉
(
かいい
)
な面がまへであつた。
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
髪は
白髪
(
しらが
)
になりきらず
玉蜀黍
(
とうもろこし
)
の毛のようだし、田舎にばかり役勤めをしているせいか、皮膚の黒いことは百姓に劣らない。
容貌
(
ようぼう
)
どことなく
魁偉
(
かいい
)
なのである。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
獅子の如き木獣、虎の如き木獣、
角
(
つの
)
のある
犀
(
さい
)
の如き木獣など、どれもこれも怖ろしく大きくて
魁偉
(
かいい
)
である。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれど村重は、平然と胸を
反
(
そ
)
らしていた。年はわずか二十二歳だというが、体躯は小さく、容貌は
魁偉
(
かいい
)
だ。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だから余り
燈火
(
あかり
)
に近くすわると、そのうすい髪の根までが
透
(
す
)
いて見えて、この体躯
矮短
(
わいたん
)
にして
胆斗
(
たんと
)
のごとき奇男児の風貌、いやが上にも
魁偉
(
かいい
)
に見せ過ぎる嫌いがある。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ぬッとはいってきた
魁偉
(
かいい
)
の
男
(
おとこ
)
、
工匠袴
(
こうしょうばかま
)
をはいた
鼻
(
はな
)
かけ卜斎である。ギョロッとなかを見まわして
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また
碧瞳紅毛
(
へきどうこうもう
)
、
金蜘蛛
(
きんぐも
)
のようなこの
魁偉
(
かいい
)
な
容貌
(
ようぼう
)
にも、呂宋兵衛の名のほうがふさわしかった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
味方であった間は、さまでとも思えなかったが、こうして敵に廻してみると、何さま
魁偉
(
かいい
)
な猛勇に違いない。姜維も並ならぬ大敵と知って、心中に孔明の霊を念じながら叫んだ。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「来訪の一
行脚
(
あんぎゃ
)
は、どう見ても出家とは受けとれません。なんとも
魁偉
(
かいい
)
な人物です」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
女ばかりは
恟
(
おび
)
えがちな寮に、
魁偉
(
かいい
)
な
優婆塞
(
うばそく
)
と美男の浪人が、果し合いの白刃を抜き交わしたので、老女や多くの
侍女
(
こしもと
)
は唯あれあれと、
一所
(
ひとところ
)
に群れ寄って、廊下は時ならぬ
花壇
(
かだん
)
となる。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
脚に車を
穿
(
は
)
き、口から火煙を噴き、異様な咆哮すら発して、前へ進み、横へまわり、縦横
無碍
(
むげ
)
に馳け廻って、生ける虎、豹、狼などをも、その
魁偉
(
かいい
)
な姿に
驚殺
(
きょうさつ
)
を喫せしめたのであった。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
魁偉
(
かいい
)
な容貌に、いやらしい笑みをニタリと見せた。二人の弟子はすぐに
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
魁
漢検準1級
部首:⿁
14画
偉
常用漢字
中学
部首:⼈
12画
“魁”で始まる語句
魁
魁首
魁異
魁車
魁春楼
魁梧
魁然
魁主
魁介
魁傑