)” の例文
旧字:
いづれの家も寝静まつた深夜の、寂寞せきばくの月をんで来るのが、小米である、ハタと行き当つたので、兼吉の方から名を呼びかけると
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
孝廉は約束をんで喬に連城をめあわそうと思って、先ずそのことを王の方に知らした。王は怒って官に訟えようとした。孝廉は当惑した。
連城 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
木人はそれを刈ってんで、たちまちに七、八升の蕎麦粉を製した。彼女はさらに小さいうすを持ち出すと、木人はそれをいて麺を作った。
かりに持明院統の量仁かずひとを皇太子とはなされていても、もうそんな歴代のおろかなてつは、御自身ふたたびもうなどとは思ってもおられない。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
田舎いなかの書生、国をずるときは、難苦をめて三年のうちに成業とみずから期したる者、よくその心の約束をみたるや。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
そして心をつくしてその祈りをみ行なおうと心がけよ。できるだけ——あとは仏さまが助けてくださるだろう。
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
心を二六時にゆだねて、隻手せきしゅを動かす事をあえてせざるものは、おのずから約束をまねばならぬ運命をつ。安からぬ胸を秒ごとに重ねて、じりじりとこわい所へ行く。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
蔬をまず、山に小草木あれば、必ず環りて行き、以てその植を遂ぐ、猴はことごとくこれに反す〉。
一寸ちょっと時計を見ると九時二十分になる。改札口を出るまでは躊躇ちゅうちょせず急いで出たが、夜は意外に暗い。パッタリと闇夜に突当って予は直ぐには行くべき道にみ出しかねた。
浜菊 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
……高ぶる者を見てこれをことごとかがませ、また悪人を立所たちどころみつけ、これをちりの中に埋めこれがかおを隠れたる処に閉じこめよ、さらば我も汝をめて汝の右の手汝を救い得るとせん。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
エルベがは上流の雪消ゆきげにはちす葉の如き氷塊、みどりの波にただよふとき、王宮の新年はなばなしく、足もとあやう蝋磨ろうみがきの寄木よせぎみ、国王のおん前近う進みて、正服うるはしき立姿を拝し
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
是非なく山川も一度ひとたびお帰りになりまして、美作守さまの御前において、自分が実地をんで、何処どこに何ういう事があり、此処こゝに斯ういう事があったとお物語を致し、の權六の事に及びますと
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
処々にいんんであったり、熟字の使い方や何かが日本人離れをしているところなぞを見ると、やっぱりその名付親の勃海使が芬夫人のものがたりに感激して、船中の徒然つれづれに文案を作ってやったのを
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しかし、他の人は決して悪口したり蹴ったりしなかったが、ただ崑は少年の気ままから、喜べば忘れ、怒ればみ殺して、大事にしてやらなかった。十娘はすなおであったが、ただよく怒った。
青蛙神 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
まる/\とした月をかたどるを作って、大勢の若い男女が、白い地をみ、黒い影を落して、歌いつおどりつ夜を深して、かたぶく月に一人ひとり二人ふたり寝に行き、到頭とうとう「四五人に月落ちかゝる踊かな」のおもむき
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
帝王のただにまししぎよくきだ我ぞ踏みのぼる松風をあはれ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
同志それ吾に代ってこの言をまば幸甚なり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
朕祖宗ちんそそう遺列いれつ万世一系ばんせいいっけい帝位ていいちんカ親愛スル所ノ臣民しんみんすなわチ朕カ祖宗ノ恵撫慈養けいぶじようシタマヒシ所ノ臣民ナルヲおも康福こうふくヲ増進シ其ノ懿徳良能いとくりょうのうヲ発達セシメムコトヲ願ヒ又其ノ翼賛よくさんともともニ国家ノ進運しんうん扶持ふじセムコトヲ望ミすなわチ明治十四年十月十二日ノ詔命しょうめい履践りせんここ大憲たいけんヲ制定シ朕カ率由そつゆうスル所ヲ
大日本帝国憲法 (旧字旧仮名) / 日本国(著)
時により、所に応じ、適当に速やかに事をむのが慣例だった。それかあらぬか、今年は大晦日と元旦とが一しょになった。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たとえば、遠方より望み見れば円き山にても、その山に登れば円き処を見ず、はるかに眺むれば曲りたる野路も、親しくそのみちめば曲るところを覚えざるが如し。
学者安心論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
溶けた雪路の、風のピウ/\吹く中をザブ/\とんで先に立つて歩かれた。病人があるとでも聞けば、むさい小屋の下へ、臭いと云ふ顔もせずに入り込んで、親切に力を付けてやつた。
大野人 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
『独異志』に劉牧南山野中に果蔬かそを植えると人多く樹をそのむ、にわかに二虎来り近づき居り牧を見て尾をゆるがす、我を護るつもりかと問うと首をせてさようと言うていだった
しかも仏王ルイ九世の正胤せいいんにして王位をむべき充分の権利と資格とを有せり、しかれども彼プロテスタント教徒たるが故にこの栄誉に達するを得ず、わずかに微弱なる反対党の将となり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
その出来て来たのを見れば、数人がんでのぼることを得る程堅牢であつた。此雛段は久しく伊沢の家にあつて、茶番などの催さるゝ毎に、これに布を貼つて石段として用ゐられたさうである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
陶は起って寝に帰ったが、門を出て菊畦をんでゆくうちに、酔い倒れてきものを側にほうりだしたが、そのまま菊になってしまった。その高さは人位で十あまりの花が咲いたが、皆拳よりも大きかった。
黄英 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
けれど、私がここに語りたいのは、この当為にはけっして抵触せずに、いなむしろこの当為をみ行なわんために、愛より必然に分泌せらるる二つの機能についてである。それは祈祷と闘いとである。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
持明院統と、大覚寺統と、相互から出て交代に御位みくらいく——という、あの皇室の御法則を正しくむべきだと思うのです。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
豊麻呂は、楠木正季らと共に、同志的な誓いをみ、親の義辰にもそむいて、はやくから千早城の内にはいっている。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
の古語をんで、一玄蕃を粉砕ふんさいするにも、美濃から引ッさげて来た全軍をそそいだのである。——が、彼はその量をもって妄信もうしんしている愚者ではない。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
父は、若年まで、禅寺にはいって、つぶさに苦行もめ、数度の合戦もみ、たとえ今はかくあろうとも、なおなお、大志を抱いて中原を望んでおる。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
西行法師のことは、西行自身が書いた「撰集抄」とか「山家集」などの紀行や歌文があるので、ほとんど、それの史実をみ、無用な脚色はしていない。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
体験を持たない仕事へみ出す恐さと、さまざまな空想とで、その間じゅう胸がどきどきしていた。
「さりとは似あわしからぬことば、それは世のつねの敗軍の将のことで、羽将軍のごときは、名分ある降服というべきではずるどころではない。堂々臣道しんどうまことまれておる」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平和の真価は、戦争の悲惨を書くとにじてくる。今日の皇室の姿は、かつての天皇や皇子がまれたいばらを振りむいてみることで、そのご幸福さも一ばい切実に思われずにいられない。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しては二夫にまみえずとか、夫婦は二世とか、近ごろの庭訓ていきんは婦女子にきびしゅう教えているが、そのままを和御前わごぜめとはいられぬ。——まこと、この高氏の前途は安穏でない気がするのだ。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そなたは正成のようなおろかしい道をむな
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)