衝突しょうとつ)” の例文
魯侯は女楽にふけってもはやちょうに出なくなった。季桓子きかんし以下の大官連もこれにならい出す。子路は真先に憤慨ふんがいして衝突しょうとつし、官を辞した。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
そのへんは、単線たんせんで、一筋ひとすじ線路せんろきりありませんでした。両方りょうほうから汽車が走ってくれば、ましょうめんから衝突しょうとつするばかりです。
ばかな汽車 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
うみいろつめていた船長せんちょうが、突然とつぜん危険きけん警告けいこくはっしましたが、もうまにあわなかった。ふねは、ひどいおとをたて、暗礁あんしょう衝突しょうとつしたのです。
船の破片に残る話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
されば鳥羽とば伏見ふしみの戦争、ついで官軍の東下のごとき、あたかも攘夷藩じょういはんと攘夷藩との衝突しょうとつにして、たとい徳川がたおれて薩長がこれに代わるも
一同のおそるるところは、自分等の危険よりも、宗時と父時政とが、正面を切って衝突しょうとつとなった場合にあったが、宗時の口からそう聞くと
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自動車が衝突しょうとつするなんて、一年に一度あるかないかの事件じゃありませんか。そんなことを恐れて、自動車に乗らないなんて。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「それはきっと、大きな宇宙塵が本艇の中部倉庫の付近へ衝突しょうとつして、中部倉庫にしまってあった燃料が発火したのでしょう」
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かれはバウンドした球をつかもうとしてグローブの上ではね返した、ふたたび拾おうとしたとき二塁手と衝突しょうとつして倒れた。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
前方から静かに静かにと声をらして来た体操教師に何ですと聞くと、曲り角で中学校と師範しはん学校が衝突しょうとつしたんだと云う。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
めいめいが正直に、生き生きと自分の全能力を発揮はっきしつつ、矛盾むじゅん衝突しょうとつ克服こくふくし、それを全体として総合し、統一して行く、そういう過程が何よりもたいせつなのである。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
又異教派の方にも大分諸方から鉄道などでおでになった方もあるようでありますが鉄道で一番自然なこと則ちなるべく人力を加えないようにしまするならば衝突しょうとつや脱線や人を
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
しゅうとめさんとの衝突しょうとつもやっぱりそれから起るのが多いようです。娘の理想にかなった良人さえすくな世中よのなかですもの、娘の理想に適うようなお姑さんが滅多にある気支きづかいもありません。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
定州ていしゅう騎兵きへい衝突しょうとつ、軍事公債応募者の好況、わが艦隊の浦塩うらじお攻撃、旅順口外こうがいの激戦、臨時議会の開院、第二回閉塞運動、広瀬中佐の壮烈なる戦死、第一軍の出発につれて第二軍の編制
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
元来がんらい、義務と義務との衝突しょうとつは根底においてあり得べきものでない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「どうして、衝突しょうとつをしたのだ?」といって、警官けいかんがききますと、自動車じどうしゃ運転手うんてんしゅは、そのときのことをおもかべるようなつきをして
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ある日、四月二十五日の午後、少年連盟の上にとりかえしのつかぬ不詳ふしょうの事件がおこった。それはほんのささいな投げの遊戯からの衝突しょうとつである。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
と、俄然がぜん、前方の者から声があがった。四、五けんばかりの小石こいし河原、そこではしなくも、徳川家とくがわけ先鋒せんぽう内藤清成ないとうきよなりの別隊、四、五十人と衝突しょうとつしたのである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
両方りょうほうともたいへん早く走っていますので、みるみるうちに近よってきました。もし衝突しょうとつでもすれば、どんなことになるかわかりません。いくたりの人がぬかわかりません。
ばかな汽車 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
確かに自分と衝突しょうとつしているものがあると覚悟する必要がある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
が、衝突しょうとつの責任は、無論此方こっちにあった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
あるのこと、沖合おきあいで、汽船きせん衝突しょうとつして、一そうはしずみ、ついに行方不明ゆくえふめいのものが、八にんあったそうだ。あのひとは、うみへくぐる名人めいじんだってな。
海が呼んだ話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かいて、汽車にばけるとはなんということだ。もし衝突しょうとつでもしたら、お前はこなみじんになってしまうぞ。これから、もっと気のきいたものに、あぶなくない者にばけるようにしろよ
ばかな汽車 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
このふたりの論争ろんそうも、綿密めんみつ築城法ちくじょうほうのことから意見いけん衝突しょうとつし、しろ間道埋設かんどうまいせつ要点ようてんで、かなり論争ろんそうに火花をちらし合ったが、ついに八しゃりゅう敗北はいぼくとなって、月花流げっかりゅう熊本方くまもとがたでは
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これまで富士男と衝突しょうとつしたのは、一、二度でなかった、そのたびごとにドノバンのしりおしをするのは、イルコック、ウエップのふたりのドイツ少年と、米国少年グロースであった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
そのまえまで、そんな老人ろうじんあるいていることにづかなかったのです。わたしはひくまいとおもって、全速力ぜんそくりょくわきほうへそれますと、そのとたんにやってきた電車でんしゃ衝突しょうとつしたのでした。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ここへきて貴殿きでんに顔をあわすのも面目めんぼくないが、じつは、しずたけの一戦に、このほう佐久間盛政さくまもりまさとの意見が衝突しょうとついたし、そのためにいろいろな手ちがいを生んだので、いまさら越前えちぜんへももどれず……
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ドノバンと富士男はまたしても衝突しょうとつした。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
ブルジョアに隷属れいぞくするかれらが、よどんだぬまなかにつながれた材木ざいもくであり、しばったなわもろとも、いつかくさ運命うんめいにあるなら、かれは、さながら激流げきりゅう彼方かなたきし此方こなた岩角いわかど衝突しょうとつしながら
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
柴田勝家とはよほどなにか感情的に衝突しょうとつをして来たらしい。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あるまちかどのところで、電車でんしゃ自動車じどうしゃとが衝突しょうとつしました。自動車じどうしゃはもはや使用しようされないまでにこわされ、電車でんしゃもまた脱線だっせんして、しばらくは、そのあたりは雑踏ざっとうをきわめたのであります。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
追手討、又は上杉勢などと、衝突しょうとつのある折に処する態度。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)