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蝶々
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ちょうちょう
ふりがな文庫
“
蝶々
(
ちょうちょう
)” の例文
白熱した
日盛
(
ひざかり
)
に、よくも羽が焦げないと思ふ、白い
蝶々
(
ちょうちょう
)
の、不意にスツと来て、
飜々
(
ひらひら
)
と
擦違
(
すれちが
)
ふのを、
吃驚
(
びっくり
)
した顔をして見送つて
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
これは後で見ると、悉く下の大広間の
格天井
(
ごうてんじょう
)
に描かれた、
天人
(
てんにん
)
の眼や、
蝶々
(
ちょうちょう
)
の羽の紋や、
牡丹
(
ぼたん
)
の
蕊
(
しべ
)
などであったということです。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
然し耗っても
錆
(
さ
)
びても、心棒は心棒だ。心棒が廻わらぬと家が廻わらぬ。
折角
(
せっかく
)
苅
(
か
)
り入れた麦も早く
扱
(
こ
)
いて
撲
(
ぶ
)
って俵にしなければ
蝶々
(
ちょうちょう
)
になる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
薔薇色
(
ばらいろ
)
の服を着け、黒い髪の上には薔薇の冠を載せ、まるで薔薇色の
蝶々
(
ちょうちょう
)
のように、新しい舞蹈の練習をしていたのでした。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
こうさけんだ
蚕婆
(
かいこばばあ
)
、
妖霊星
(
ようれいせい
)
をグッとにらんで、しばらく首をかしげていたが、まもなく、黒い
蝶々
(
ちょうちょう
)
が飛ぶように、そこからヒラヒラと走りだした。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
そしてその訪問者は
蝶々
(
ちょうちょう
)
である。花の上を飛び
回
(
まわ
)
っている蝶々は、ときどき花に止まって
仲人
(
なこうど
)
となっているのである。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
寂然
(
じゃくねん
)
と
倚
(
よ
)
る
亜字欄
(
あじらん
)
の下から、
蝶々
(
ちょうちょう
)
が二羽寄りつ離れつ舞い上がる。
途端
(
とたん
)
にわが部屋の
襖
(
ふすま
)
はあいたのである。襖の音に、女は卒然と蝶から眼を余の
方
(
かた
)
に転じた。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
雀
(
すずめ
)
の
雌雄
(
しゆう
)
を知らず
不如帰
(
ほととぎす
)
の無慈悲を悟らずして、新しき神学説を
蝶々
(
ちょうちょう
)
するも何ぞ。魚類の如き一として面白からぬはなく、
鰻
(
うなぎ
)
の如き最も不可解なる生物である。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
そう
注意
(
ちゅうい
)
されている
中
(
うち
)
に、もう
私
(
わたくし
)
の
眼
(
め
)
には
蝶々
(
ちょうちょう
)
のような
羽翼
(
はね
)
をつけた、
大
(
おおき
)
さはやっと二三
寸
(
ずん
)
から三四
寸位
(
すんくらい
)
の、
可愛
(
かわい
)
らしい
小人
(
こびと
)
の
群
(
むれ
)
がちらちら
映
(
うつ
)
って
来
(
き
)
たのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
その種類は
蜂
(
はち
)
、
蝉
(
せみ
)
、
鈴虫
(
すずむし
)
、きりぎりす、
赤蜻蛉
(
あかとんぼ
)
、
蝶々
(
ちょうちょう
)
、バッタなどですが、ちょっと見ると、今にも
這
(
は
)
い出したり、羽根をひろげて飛び出そうというように見えます。
幕末維新懐古談:41 蘆の葉のおもちゃのはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
ふたりは
蝶々
(
ちょうちょう
)
のように飛びだした。そしてまっさきに家具屋へゆき、大きな
坐机
(
すわりづくえ
)
を買った。十七円のところを、隅の方にひび割れがあるからとて十三円にしてくれた。
風
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
そして
一雨
(
ひとあめ
)
降ればすぐに雑草が芽を吹きやがて花を咲かせ、忽ちにして
蝶々
(
ちょうちょう
)
蜻蛉
(
とんぼ
)
やきりぎりすの飛んだり
躍
(
は
)
ねたりする野原になってしまうと、
外囲
(
そとがこい
)
はあってもないと同然
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
わたしのそばには、
埃
(
ほこり
)
をかぶったイラクサの上を、ものうげに白い
蝶々
(
ちょうちょう
)
が飛びかわしていた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
人間というものは悪い
奴
(
やつ
)
だ、見っともない奴だ。
蝶々
(
ちょうちょう
)
が勝ちで、人間が負けだ。神はこの動物をつくりそこなった。一群の人間を取ってみるとまったく醜悪の選り抜きとなる。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
一歩を蹈み出す
度毎
(
たびごと
)
に、着物の上ん前の
裾
(
すそ
)
が、
蝶々
(
ちょうちょう
)
のようにハタハタと跳ね上ります。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
イヤ出たぞ出たぞ、束髪も出た島田も出た、
銀杏返
(
いちょうがえ
)
しも出た
丸髷
(
まるまげ
)
も出た、
蝶々
(
ちょうちょう
)
髷も出たおケシも出た。
○○
(
なになに
)
会幹事、実は古猫の怪という、
鍋島
(
なべしま
)
騒動を
生
(
しょう
)
で見るような「マダム」
某
(
なにがし
)
も出た。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
伸子のところへ、電報をよこした磯崎の妻の須美子の言葉かずのすくない美しい様子と、ひよわい白い
蝶々
(
ちょうちょう
)
のような子供の姿を思うと、伸子は、とても、そのままあしたの朝まで待てなかった。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「金銀にて
蝶々
(
ちょうちょう
)
を
縫
(
ぬ
)
ひし野暮なる
半襟
(
はんえり
)
をかけ」と『春告鳥』にもある。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
ほかに「
蝶々
(
ちょうちょう
)
」と呼ばれる二十一番目の練習曲、「
木枯
(
こがらし
)
」と呼ばれる二十三番の練習曲、ことごとくコルトー以上のがない。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
茶縞
(
ちゃじま
)
の
布子
(
ぬのこ
)
と来て、
菫
(
すみれ
)
、げんげにも恥かしい。……第一そこらにひらひらしている
蝶々
(
ちょうちょう
)
の
袖
(
そで
)
に対しても、果報ものの
狩衣
(
かりぎぬ
)
ではない、
衣装持
(
いしょうもち
)
の
後見
(
こうけん
)
は、いきすぎよう。
若菜のうち
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……
檜
(
ひのき
)
の上や
笹
(
ささ
)
むらのなかから、ひらひら、ひらひら、まるで
蝶々
(
ちょうちょう
)
のようなやつ、三、四十人の女です
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
相手の女の子の年は、六つばかりに見えた。赤い幅のあるリボンを
蝶々
(
ちょうちょう
)
のように頭の上にくっつけて、主人に負けないほどの勢で、小さな手を握り固めてさっと前へ出した。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
三つの
雄蕊
(
ゆうずい
)
は幅広き
花柱枝
(
かちゅうし
)
の下に隠れて、その
葯
(
やく
)
は黄色を
呈
(
てい
)
しており、中央の一
花柱
(
かちゅう
)
は大きな三
枝
(
し
)
に
岐
(
わ
)
かれて開き、その
末端
(
まったん
)
に
柱頭
(
ちゅうとう
)
があり、
虫媒花
(
ちゅうばいか
)
であるこの花に来る
蝶々
(
ちょうちょう
)
が
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
綴
(
つづ
)
り方を教えてやろう。草の中に
蝶々
(
ちょうちょう
)
を追っかけることだろう。私はその姿を見てやるわ。それからまた、初めての
聖体拝受
(
コンムユニオン
)
もさしてやろう。ああ、いつそれをするようになるかしら?
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
人は宇宙の創造に参与せずして少しもこの事を知らない。そして今いたずらにその貧弱なる
智嚢
(
ちのう
)
を絞りつくして宇宙と造化の秘義について知らんとし、
少
(
すこし
)
ばかりの推測の上に
蝶々
(
ちょうちょう
)
し
喃々
(
なんなん
)
する。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
「
蝶々
(
ちょうちょう
)
さんがいいじゃないか、僕はあれが一番好きだよ」
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「親分、男なんざ入った様子はありませんね。それにこの塀ときた日にゃ、まさか人間は潜られないが、バッタ、カマキリ、
蝶々
(
ちょうちょう
)
、
蜻蛉
(
とんぼ
)
は潜り放題だ」
銭形平次捕物控:030 くるい咲き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、
焚火
(
たきび
)
のそばに腰を下ろして、彼は二、三度読み返しておりましたが、それを焔の舌先へ持って行って、赤くなって舞いあがる灰の
蝶々
(
ちょうちょう
)
へひとみを吊り上げました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夢になら恋人に逢えると
極
(
きま
)
れば、こりゃ
一層
(
いっそ
)
夢にしてしまって、世間で、
誰某
(
たれそれ
)
は? と尋ねた時、はい、とか何んとか言って、
蝶々
(
ちょうちょう
)
二つで、ひらひらなんぞは悟ったものだ。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ユリの花は
著
(
いちじる
)
しい
虫媒花
(
ちゅうばいか
)
で、主として
蝶々
(
ちょうちょう
)
が花を
目当
(
めあ
)
てに
頻々
(
ひんぴん
)
と訪問する
常得意
(
じょうとくい
)
である。それで
美麗
(
びれい
)
な
花色
(
かしょく
)
が虫を呼ぶ
看板
(
かんばん
)
となっており、その
花香
(
かこう
)
もまた虫を
誘
(
さそ
)
う一つの
手引
(
てび
)
きを
務
(
つと
)
めている。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
見た
処
(
ところ
)
でも、しょんぼりした
脚
(
あし
)
にも気が入っているようですけれど、今しがたは、すっかり
魂
(
たましい
)
を抜き取られて、ふわふわ浮き上って、あのまま、鳥か、
蝶々
(
ちょうちょう
)
にでもなりそうですね。心細いようですね。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小牧
(
こまき
)
の
蝶々
(
ちょうちょう
)
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蝶
漢検準1級
部首:⾍
15画
々
3画
“蝶々”で始まる語句
蝶々髷
蝶々牡丹
蝶々の精
蝶々深山