“ちょうちょう”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
喋々49.6%
蝶々22.6%
丁々13.0%
胡蝶2.6%
蝴蝶2.6%
重々1.7%
丁丁1.7%
打々0.9%
暢々0.9%
沾沾0.9%
澄々0.9%
蝶〻0.9%
蝶蝶0.9%
迢々0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
無線電信というものは一体どうして出来るものかという事は今ここで喋々ちょうちょうせずともの事であるが、順序として一応簡単に云ってみれば
無線電信の近状 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
これは後で見ると、悉く下の大広間の格天井ごうてんじょうに描かれた、天人てんにんの眼や、蝶々ちょうちょうの羽の紋や、牡丹ぼたんしべなどであったということです。
「そうだ、なるほど」おのをひっさげた二人の者が、根方へ寄って、がつんとやいばを入れた。斧の光が丁々ちょうちょうと大樹の白い肉片を削って飛ばした。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小松原には、昼顔の花が一面に咲いて、なぎさの浪の千種ちぐさの貝にひるがえるのが、彩色した胡蝶ちょうちょうの群がる風情。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
貸小袖に魂が入って立ったとも見えるし、行燈のともしおおうた裲襠かけたもとに、蝴蝶ちょうちょうが宿って、夢が徜徉さまようとも見える。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あの樹は、霊木れいぼくじゃ。この家から必ず貴人が生れる。重々ちょうちょう車蓋しゃがいのような枝が皆、そういってわしへ囁いた。……遠くない、この春。桑の葉が青々とつく頃になると、いい友達が訪ねてくるよ。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼とクロイゲルとのこの家での漫然とした微笑は、ヨーロッパのある両極が丁丁ちょうちょう火華ひばなを散らせた厳格な場であった。恐らくそれは常人と変らぬ義理人情のさ中で行われたことだろう。
厨房日記 (新字新仮名) / 横光利一(著)
打々ちょうちょうと、母が打つたびに、母の大きな愛が、骨身にしみ、さんさんと涙がとまらなかった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私ひとりでこの深山しんざんを占有しているような気持がし、私の心は暢々ちょうちょうとしていた。
しからザレバ鳥啼ちょうてい虫吟ちゅうぎん沾沾ちょうちょうトシテみずかラ喜ビ佳処かしょアリトイヘドモ辺幅へんぷく固已もとヨリ狭シ。人ニ郷党自好じこうノ士アリ。詩ニモマタ郷党自好ノ詩アリ。桓寛かんかんガ『塩鉄論えんてつろん』ニ曰ク鄙儒ひじゅ都士としカズト。信ズベシ矣。
小説作法 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
澄々ちょうちょうたる碁石いしの音を楽しんでいるようにも見える。こうして何か考え事があるとき、盤に向って碁をもてあそびながら、その間に策を講ずるのが、この大岡越前守忠相のやり方だった。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
懸茶屋かけぢゃやには絹被きぬかつぎの芋慈姑くわい串団子くしだんごつら栄螺さざえの壼焼などをもひさぐ。百眼売ひゃくまなこうりつけひげ蝶〻ちょうちょう花簪はなかんざし売風船売などあるいは屋台を据ゑあるいは立ちながらに売る。花見の客の雑沓狼藉ざっとうろうぜきは筆にも記しがたし。
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
母は満足らしくも見えたが、そう蝶蝶ちょうちょうしくは饒舌しゃべり得なかった。髪結はより効目ききめのある相手として、すぐ年の若い千代子を選んだ。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
里川さとがわの流れ迢々ちょうちょうたるも目に浮び、何処いずこよりか風のもて来る余韻悲しき、村少女むらおとめの恋の小唄も耳にる。