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ちょうちょう
ふりがな文庫
“
喋々
(
ちょうちょう
)” の例文
然
(
しか
)
もこの教えは、世間道徳の門においても常に
喋々
(
ちょうちょう
)
して人心に浸潤したるものなれば、これを一般の国教というも妨げあることなし。
教育の事
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
無線電信というものは一体どうして出来るものかという事は今ここで
喋々
(
ちょうちょう
)
せずともの事であるが、順序として一応簡単に云ってみれば
無線電信の近状
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
多少の学術を愛し、書を読み——多くは経済法律の初歩を学びて、しかして
喋々
(
ちょうちょう
)
大問題を論ず。その眼界は法律政治の外に
出
(
い
)
でず。
武士道の山
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
敏捷
(
びんしょう
)
なお延は、相手を
見縊
(
みくび
)
り
過
(
す
)
ぎていた事に気がつくや否や、すぐ取って返した。するとお秀の方で、今度は岡本の事を
喋々
(
ちょうちょう
)
し始めた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
酒がさせる業か、今の身で行先の旅の楽しさに
喋々
(
ちょうちょう
)
と浮れ出す女の話を聞いていると、お雪ちゃんのことが、竜之助の眼に浮んで来ました。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
道徳を
喋々
(
ちょうちょう
)
するのは、神経衰弱者ばかりだ。そして道徳のあらゆる条件中第一のものは、神経衰弱でないということだ。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
その王子が八将神であるというがごときは、だれありて信ずるものはなかろう。この八神のうち、世間にて最も
喋々
(
ちょうちょう
)
するのは大将軍の方位である。
迷信解
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
玄洋社が腕力に堂々と相並んで如何に
眼醒
(
めざま
)
しい反抗を試みたかは天下周知の事実だからここには
喋々
(
ちょうちょう
)
しない事にする。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「ははあ……」といったまま、
呂宋兵衛
(
るそんべえ
)
も
蚕婆
(
かいこばばあ
)
も、すっかり
毒気
(
どっけ
)
をぬかれたていで、いままで
喋々
(
ちょうちょう
)
とならべたてた
吹聴
(
ふいちょう
)
が、いっそう
器量
(
きりょう
)
を悪くした。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
嗚呼
(
ああ
)
、先生は我国の
聖人
(
せいじん
)
なり。その
碩徳
(
せきとく
)
偉業
(
いぎょう
)
、宇宙に
炳琅
(
へいろう
)
として内外幾多の新聞
皆
(
みな
)
口を
極
(
きわ
)
めて
讃称
(
さんしょう
)
し、天下の人の
熟知
(
じゅくち
)
するところ、予が
喋々
(
ちょうちょう
)
を要せず。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
私なんぞにはよくは分りませんが、あんなに
喋々
(
ちょうちょう
)
しい人というものは、しんには実が少ないだろうかと思いますよ。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
懺悔
(
ざんげ
)
や告白はひそかに自分の神の前においてのみ神妙になすべきことであって、人前で、ことに孫四郎ごとき者の前で軽々しく
喋々
(
ちょうちょう
)
すべき事柄ではない。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
五十三年前すでにかくのごとし。今日においてそのいかほど隆盛なるかを
喋々
(
ちょうちょう
)
するはほとんど無益の言ならん。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
テンバは熱心に「いやそんな事はない。ありゃ
天和堂
(
テンホータン
)
の主人と
懇意
(
こんい
)
な人でやはりシナの人なんだ」と天和堂の主人から聞いた事を
喋々
(
ちょうちょう
)
述べ立てて居りました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
その
根
(
こん
)
を
創口
(
きずぐち
)
に比して男子に説く趣向を妙案らしく
喋々
(
ちょうちょう
)
し居るが、その実東洋人にはすこぶる陳腐で、仏教の律蔵には産門を多くは
瘡門
(
そうもん
)
(すなわち創口)と書きあり
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
八重多年
教坊
(
きょうぼう
)
にあり都下の酒楼旗亭にして知らざるものなし。
加
(
くわう
)
るに
骨董
(
こっとう
)
の鑑識浅しとせず。わが晩餐の膳をして常に詩趣俳味に富ましめたる敢て
喋々
(
ちょうちょう
)
の弁を要せず。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
彼が僕に対して個人的
復讐
(
ふくしゅう
)
を企てたのだということは、今さら特に
喋々
(
ちょうちょう
)
する必要はありますまい。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
そうして京都言葉で
喋々
(
ちょうちょう
)
と喋り立てる老若男女に伍して一服の抹茶をすするのであった。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
タウンゼンド氏は頭の
禿
(
は
)
げた、日本語の旨い
好々爺
(
こうこうや
)
だった。由来西洋人の
教師
(
きょうし
)
と云うものはいかなる俗物にも
関
(
かかわ
)
らずシェクスピイアとかゲエテとかを
喋々
(
ちょうちょう
)
してやまないものである。
保吉の手帳から
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
毎夕
納涼台
(
すずみだい
)
に集る
輩
(
やから
)
は、
喋々
(
ちょうちょう
)
しく蝦蟇法師の
噂
(
うわさ
)
をなして、何者にまれ乞食僧の昼間の住家を探り出だして、その来歴を
発出
(
みいだ
)
さむ者には、
賭物
(
かけもの
)
として
金
(
きん
)
一円を
抛
(
なげう
)
たむと言いあえりき
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すなわち神隠しの青年は口が
喋々
(
ちょうちょう
)
と
奇瑞
(
きずい
)
を説かなかったかわりに、我々の説明しえないいろいろの不思議が現われ、それを見たほどの者は一人として疑い怪しむことができなかった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
呉
(
くれ
)
あたりに帰るらしい軍人の佐官もあった。大阪言葉を露骨に、
喋々
(
ちょうちょう
)
と雑話に
耽
(
ふ
)
ける女連もあった。父親は白い毛布を長く敷いて、傍に小さい鞄を置いて、芳子と相並んで腰を掛けた。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
お帰り遊ばせお帰り遊ばせ、と口々に
喋々
(
ちょうちょう
)
しく言う声が玄関でした。奥様——も何だか変だ、雪江さんの
阿母
(
かあ
)
さんの声で何か言うと、ふう、そうか、ふうふう、という声は主人に違いない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
われわれと天の星とのあいだに何の隔てるものもなくすごすとしたら善いだろうに——もし詩人が屋根の下でそんなに
喋々
(
ちょうちょう
)
し、聖者がそんなにいつまでもそこに住みつかなかったら善かろうに。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
ひとつ教えていただきたい、——あれほどやかましく
喋々
(
ちょうちょう
)
されている託児所は、一体どこにあるんです? 読書の家は、どこにあります? それは小説に出てくるだけで、実際は全然ありゃしない。
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
産婆は
喋々
(
ちょうちょう
)
と自分の腕前を
矜
(
ほこ
)
った。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
試みることによって連句の芸術的価値に
寸毫
(
すんごう
)
も損失をきたすような恐れのないことは別に
喋々
(
ちょうちょう
)
する必要はないであろうと思われる。
連句雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
事緒
(
じしょ
)
紛紜
(
ふんぬん
)
、
物論
(
ぶつろん
)
喋々
(
ちょうちょう
)
、また文事をかえりみるに
遑
(
いとま
)
あらず。ああ、これ、革命の世に
遁
(
のが
)
るべからざるの事変なるべきのみ。
中元祝酒の記
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
私は書き上げた自分の論文に対して充分の自信と満足をもっていた。私は先生の前で、しきりにその内容を
喋々
(
ちょうちょう
)
した。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そんなことを
喋々
(
ちょうちょう
)
する人間にかぎって強かった
例
(
ためし
)
がない。又八は、いよいよ、こう
見縊
(
みくび
)
ったり、図に乗って
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日本兵士の勇気は欧米の兵士に勝って居る事等を
喋々
(
ちょうちょう
)
と述べ立てて、日本に大いに同情を表して居られた。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
その今日まで、地方の書信の机上に
堆積
(
たいせき
)
せるもの幾百通なるを知らずといえども、そのうち昨今、
都鄙
(
とひ
)
の別なく、上下ともに
喋々
(
ちょうちょう
)
するものは
狐狗狸
(
こっくり
)
の一怪事なり。
妖怪玄談
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
道庵が
喋々
(
ちょうちょう
)
として米友のために風物を説明している前面から、砂煙をまいて
走
(
は
)
せ来る一隊がありました。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
あるいはその地方の重なる権者となりたることは吾人が
喋々
(
ちょうちょう
)
をまたずして識者の知るところならん。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
数年前予が今この文を草し居る書斎に対して住みいた芸妓置屋の女将が愛翫したカジカ蛙が合掌して死んだは信心の厚い至りと
喋々
(
ちょうちょう
)
して、茶碗の水ででも
沾
(
うるお
)
したものか
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
そうして、残酷な世間の迫害に苦しんでいる、私たち夫妻に御同情下さい。私の同僚の一人は
故
(
ことさら
)
に大きな声を出して、新聞に出ている
姦通
(
かんつう
)
事件を、私の前で
喋々
(
ちょうちょう
)
して聞かせました。
二つの手紙
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
昔の作品のことを
喋々
(
ちょうちょう
)
してくれる人々に、彼は好んでこう言いたかった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
暫らく
立在
(
たたずん
)
での
談話
(
はなし
)
、
間
(
あわい
)
が
隔離
(
かけはな
)
れているに
四辺
(
あたり
)
が騒がしいのでその言事は
能
(
よ
)
く解らないが、なにしても昇は絶えず
口角
(
くちもと
)
に微笑を含んで、折節に手真似をしながら何事をか
喋々
(
ちょうちょう
)
と饒舌り立てていた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
面白かった事、愉快であった事は無論、昔の不平をさえ得意に
喋々
(
ちょうちょう
)
して、したり顔である。これはあえて
自
(
みずか
)
ら
欺
(
あざむ
)
くの、人を
偽
(
いつ
)
わるのと云う
了見
(
りょうけん
)
ではない。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自
(
みず
)
から禁ずること
能
(
あた
)
わざる所のものなれば、
所謂
(
いわゆる
)
飼放しはその勉強を促すの方便にして、俗界に
喋々
(
ちょうちょう
)
する規則取締等こそ真に学思を妨るの害物なりと知るべし。
人生の楽事
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
宿の若者はそれとも気づかず、酒の機嫌も手つだってか、
喋々
(
ちょうちょう
)
と“わしが国さ”のお
郷
(
さと
)
自慢だの、また、自分らの上にいただく地頭の“わが殿自慢”を一席ぶった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また、奈良の猿沢池の不思議もあまり
喋々
(
ちょうちょう
)
する人もないが、大和の大峰山上には今もって迷信談が伝えられている。この山に登る途中の急坂の上に平坦の場所がある。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
誠に日本人という者は義気に富んで居るということを、
喋々
(
ちょうちょう
)
とツァ・ルンバに話したそうです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
しかりしこうして露国のごときはさらにはなはだしきものあり。露国の惨状はいやしくも眼あるものはこれを観、耳あるものはこれを聞くべし。ゆえに吾人はこれを
喋々
(
ちょうちょう
)
するを要せず。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
しかし今ここで方則の定義や法律と方則との区別などを
喋々
(
ちょうちょう
)
しようとは思わぬ。ただかくのごとき方則というものが如何にして可能であるかという事に関して浅薄ながら半面観を試みたい。
方則について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
またはお
得意
(
はこ
)
の課長の生計の大した事を
喋々
(
ちょうちょう
)
と話す。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
己
(
おの
)
が意に適せずして局部に不便利なるを発見し、その罪をひとり学校の教育に
帰
(
き
)
して
喋々
(
ちょうちょう
)
するは、はたしてその教育をもって世態を挽回するに足るべしと信ずるか。
徳育如何
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
さも怪奇きわまる事のように
喋々
(
ちょうちょう
)
と皆に話しているのを、ひとり注意深く聞いていました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
であるから近頃に至って
漸々
(
ようよう
)
運動の功能を
吹聴
(
ふいちょう
)
したり、海水浴の利益を
喋々
(
ちょうちょう
)
して大発明のように考えるのである。吾輩などは生れない前からそのくらいな事はちゃんと心得ている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
唯物論者はいうまでもなく、仏教家の一部の人は自らこの輪廻説を疑い、世間に対して
喋々
(
ちょうちょう
)
することをはばかるものがありますが、因果説を推し立てて行けば、必ず輪廻を説かねばなりませぬ。
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
喋
漢検準1級
部首:⼝
12画
々
3画
“喋々”で始まる語句
喋々喃々
喋々語