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薫陶
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くんとう
ふりがな文庫
“
薫陶
(
くんとう
)” の例文
この叔母たちの
薫陶
(
くんとう
)
をうけて、彼女の才芸はおどろくばかりのものになった。十八歳になるころには見事に
刺繍
(
ししゅう
)
することができた。
幽霊花婿:ある旅人の話
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
弱くも強くも、
猛
(
たけ
)
くも優しくも、平家の人たちは、みなそれぞれに高い
薫陶
(
くんとう
)
をうけていた。自然、人がらの良さがあったと思う。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
因
(
よ
)
って
来
(
きた
)
るところはかくのごとく深いのだから、決して教育や
薫陶
(
くんとう
)
で
癒
(
なお
)
せる者ではないと、早くあきらめてしまうのがいい。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
堂上家
(
どうじょうけ
)
の娘を母に持つ都育ちの夫人が、
萬
(
よろず
)
風流の道にかしこく、和歌に堪能であることは云う迄もないが、彼女の
薫陶
(
くんとう
)
よろしきを得たのか
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
既にただいままで福沢〔諭吉〕先生に対する種々の御話は、先生の
薫陶
(
くんとう
)
を受けられた尾崎君に依て、ほとんど
遺憾
(
いかん
)
なく説明されたのであります。
明治文明史上に於ける福沢翁
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
▼ もっと見る
もしそれ家族親睦して和気、室に満ち、教へず叱らずして、子弟自然に
薫陶
(
くんとう
)
せらるる者は、最も幸福なる家庭にして且つ徳育に最も適当せる家庭なり。
病牀譫語
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
今
(
いま
)
彼
(
かれ
)
が
當世
(
たうせい
)
に
隱
(
かく
)
れも
無
(
な
)
き、
櫻木海軍大佐
(
さくらぎかいぐんたいさ
)
から、
斯
(
か
)
くも
懇篤
(
こんとく
)
なる
薫陶
(
くんとう
)
を
受
(
う
)
けて
生長
(
せいちやう
)
した
事
(
こと
)
は、
世界
(
せかい
)
第一
(
だいいち
)
の
學校
(
がくかう
)
を
卒業
(
そつげふ
)
したよりも、
私
(
わたくし
)
の
爲
(
ため
)
には
憘
(
うれ
)
しいです。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
一
百
(
そく
)
仕方
(
しあ
)
げたに教育せられ
薫陶
(
くんとう
)
せられた中から
良妻賢母
(
れうさいけんぼ
)
も
大袈裟
(
おほげさ
)
だが
並
(
なみ
)
一人前の
日本
(
にほん
)
婦人が出て来る
訳
(
わけ
)
なら
芥箱
(
ごみばこ
)
の玉子の
殻
(
から
)
もオヤ/\
鶏
(
とり
)
に
化
(
くわ
)
さねばならない
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
父と母とは自分たちのつくったものが、望むようなものに成らなければ、これを憎むと共に、また自分たちの
薫陶
(
くんとう
)
の力の足りなかったことを悲しむであろう。
西瓜
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
少年の心を
薫陶
(
くんとう
)
するこそ、徳育の本意なるべきに、全編の文面を概すれば、むしろ心理学の解釈とも名づくべきものにして、読者をしておよそ人心の働を知り
読倫理教科書
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
何の事ぞ、酒井先生の
薫陶
(
くんとう
)
で、少くとも外国語をもって家を
為
(
な
)
し、自腹で朝酒を
呷
(
あお
)
る者が、今更いかなる必要があって、前世の
鸚鵡
(
おうむ
)
たり、
猩々
(
しょうじょう
)
たるを懸念する?
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「何年も
薫陶
(
くんとう
)
して幾度も職業を紹介した上に、調子が好ければ好いで又心配になって
講義
(
レクチュアー
)
をなさいます」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
で、止むを得ないから、われ等は多くの中で、一番ましな人物を選び、これに不断の
薫陶
(
くんとう
)
を加えつつ、曲りなりにも所期の仕事を遂行せんと覚悟するに至ったのである。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
これというのも学校の力が女の品性を
薫陶
(
くんとう
)
するに足りないで注入された智識はかえって自分の
我儘
(
わがまま
)
を弁護する材料になるのだ。といって学校教育を受けるなとは言わない。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
伊兵衛は少年時代に、宗観寺の玄和という禅僧から、心身両面の
薫陶
(
くんとう
)
を受けた。そのなかで
雪の上の霜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
まこと早乙女主水之介
薫陶
(
くんとう
)
の揚心流当身のものすさまじさ! 夜目にも玉をあざむく二人の若人の腕ののびるところ、鬼をもひしぎそうな大男の浪人姿がつぎつぎとたおれて
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
世間においては外来のクリスト教の宣教師およびクリスト教信者の教師ならびにこれらの
薫陶
(
くんとう
)
を受けたる内地の牧師らの刺戟もまた哲学思想発生に無関係でなかったように思う。
明治哲学界の回顧:01 序論
(新字新仮名)
/
井上哲次郎
(著)
かくて三ヵ年、ジェンナーはハンターの
薫陶
(
くんとう
)
を受け、いよいよ
郷里
(
きょうり
)
へ帰って開業することになりましたが、わかれるときにも、ハンター先生は、例の
激励
(
げきれい
)
の言葉をあたえました。
ジェンナー伝
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
なお他の多くの人よりも比較的親しく厚い
交誼
(
こうぎ
)
を受け
薫陶
(
くんとう
)
を受けた事は事実である。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
ゆえにその
耳目
(
じもく
)
の触るるところのもの、善となく悪となく、深く脳に印象して、終身消滅することなし。これもってその性情を
薫陶
(
くんとう
)
し、品行を養成する、このときをもって最上の期とす。
教育談
(新字新仮名)
/
箕作秋坪
(著)
すなわち私がこの世の中に生きているあいだに、事業をなすことができなければ、私は青年を
薫陶
(
くんとう
)
して私の思想を若い人に注いで、そうしてその人をして私の事業をなさしめることができる。
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
於通を岩手へつれて行って、遠いむかしの縁にすがり、松琴尼に
薫陶
(
くんとう
)
を頼んだのはその良人だった。——が、まもなく一昨年、病で亡くなった。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
このわけ校長に聞いて見たらば校長も返答に困るなるべし。学生の道徳を高くするは
薫陶
(
くんとう
)
より外に良法なしと思ふ。
明治卅三年十月十五日記事
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
私自身の言葉を
蛇足
(
だそく
)
ながらつけ加えて、先生の告別の辞が、先生の希望どおり、先生の
薫陶
(
くんとう
)
を受けた多くの人々の目に留まるように取り計らうのである。
ケーベル先生の告別
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
は
此
(
この
)
兒
(
こ
)
將來
(
しやうらい
)
は
非常
(
ひじやう
)
に
有望
(
いうぼう
)
な
撰手
(
せんしゆ
)
であると
語
(
かた
)
つたが
啻
(
たゞ
)
に
野球
(
やきゆう
)
ばかりではなく
彼
(
かれ
)
は
※去
(
くわこ
)
三
年
(
ねん
)
の
間
(
あひだ
)
、
櫻木海軍大佐
(
さくらぎかいぐんたいさ
)
の
嚴肅
(
げんしゆく
)
なる、
且
(
か
)
つ
慈悲
(
じひ
)
深
(
ふか
)
き
手
(
て
)
に
親
(
した
)
しく
薫陶
(
くんとう
)
された
事
(
こと
)
とて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
明治年間の浮世絵は
斯
(
かく
)
の如く北斎国芳国貞ら江戸時代の画工につきて親しくその
薫陶
(
くんとう
)
を受けたる門人の明治に残りしもの相前後して不帰の客となるに従ひ一歩々々滅亡の期を早めたり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そうして僅かに一年足らずの間に私は氏にどれだけ文芸に関する
薫陶
(
くんとう
)
を受けたか知れない。私は昨年の春から、はじめて探偵小説の創作を試みるようになったが、最初のうちは氏に大へん叱られた。
国枝史郎氏の人物と作品
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
太原
(
たいげん
)
雪斎和尚は、今川家にすれば、黒衣の軍師であり、元康にとっては、幼少から
薫陶
(
くんとう
)
をうけた学問兵法の師であった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兄はその大広間に仮の仕切として立ててあった六枚折の
屏風
(
びょうぶ
)
を黙って見ていた。彼はこういうものに対して、父の
薫陶
(
くんとう
)
から来た一種の鑑賞力をもっていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
だが、どっちがほんとの人間を
薫陶
(
くんとう
)
するか、信長のあたまのうちでは、すでに解答はついているらしかった。故に、さして感嘆も驚異もしていない。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかして評家が従来の読書及び先輩の
薫陶
(
くんとう
)
、もしくは自己の
狭隘
(
きょうあい
)
なる経験より出でたる
一縷
(
いちる
)
の細長き趣味中に含まるるもののみを見て真の文学だ、真の文学だと云う。余はこれを不快に思う。
作物の批評
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
官兵衛は、このお坊さんにも、
薫陶
(
くんとう
)
をうけた。父の宗円が、まだ城持ちともならず、浪人の
生業
(
なりわい
)
に目薬など売りひさいだ
貧窮
(
ひんきゅう
)
時代からそう後のことでもない。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幼少から他国の
質子
(
ちし
)
として在る身を、ひともわれも、不遇とはいうが、深く思えば、この太原雪斎の
薫陶
(
くんとう
)
を得られただけでも、不幸はかえって大幸であったかもしれない。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
義元は、弱冠の頃から、この人に
薫陶
(
くんとう
)
され、この人に
鞭打
(
べんだ
)
され、またこの人に護られ、励まされ、すべて雪斎の経世と策謀と雄略によって、今日の大を築いて来たことを知っていた。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さに
非
(
あら
)
ず、不肖はかりそめにも、童学草舎を営み子弟の
薫陶
(
くんとう
)
を任とし、常に聖賢の道を本義とし、国主を尊び、法令を
遵守
(
じゅんしゅ
)
すべきことを、身にも守り、子弟に教えている
雲長関羽
(
うんちょうかんう
)
という者である。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ご郷里において、竹中家のご
薫陶
(
くんとう
)
を得ればあれにも何よりよい修業です。しかし、かかる世の
慣
(
な
)
らい、松千代の身命については、どうか少しもお
庇
(
かば
)
いなく、
唯々
(
ただただ
)
、ご主命のままの者と思召し下さい。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
祖父の銀左衛門仕込みの「さむらいの子は」という
薫陶
(
くんとう
)
を、そのまま無自覚にうけついだ自身を、自身の真骨頂としていたらしく、一徹で、頑固で、明治時代の人間に共通な覇気と、立志の夢に燃え
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
薫
常用漢字
中学
部首:⾋
16画
陶
常用漢字
中学
部首:⾩
11画
“薫”で始まる語句
薫
薫香
薫物
薫風
薫々
薫蒸
薫習
薫育
薫陸
薫染