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落胆
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がっかり
ふりがな文庫
“
落胆
(
がっかり
)” の例文
旧字:
落膽
お銀は畳の上へ転がりだして、もがきつかれて
急
(
せわ
)
しい息遣いをしながら眠っている子供の顔を眺めて、
落胆
(
がっかり
)
したように言い出した。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
旗太郎にも、同様
落胆
(
がっかり
)
したらしい素振が現われたけれども、さすがに年少の彼は、すぐに両手を大きく拡げて喜悦の色を燃やせた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
と、さも
落胆
(
がっかり
)
したように、杖にしている野槍をもって、しきりと腹の虫を
悶
(
もだ
)
えさせる甘酒の釜の前に、どっかり腰をおろしました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は
狂人
(
きちがい
)
に共鳴したのかと思ったら
落胆
(
がっかり
)
してしまって、昨日一日心持が悪かった上に、今日はもう朝起をする気になれなかった。
朝起の人達
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
このまま東京へ帰ったら、いつまた来れるか見当も付かないのです。やっぱりみんな東京へいってしまったのか知ら? と
落胆
(
がっかり
)
しました。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
▼ もっと見る
きん「へえお十五まで、それは
嘸
(
さぞ
)
まア
落胆
(
がっかり
)
遊ばしたでございましょう、お力落しでございましょう御丹誠甲斐もない事でねえ」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あの、それですけれど……安心をしましたせいですか、
落胆
(
がっかり
)
して、力が抜けて。何ですか、余り
身体
(
からだ
)
にたわいがなくって、心細くなりました。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
津村は
落胆
(
がっかり
)
した。やはり真弓は頭がどうかしているんだ。村井はどうだと云わんばかりに、冷然と津村の顔を眺めながら
殺人迷路:10 (連作探偵小説第十回)
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「ひどく
落胆
(
がっかり
)
するじゃないか、——だがな八、聟にもよりけりだが命を狙われる聟なんてものは、あまり有難くないぜ」
銭形平次捕物控:100 ガラッ八祝言
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
『
私
(
わたくし
)
はもう
落胆
(
がっかり
)
してしまいましたよ、
君
(
きみ
)
。』と、
彼
(
かれ
)
は
顫声
(
ふるえごえ
)
して、
冷汗
(
ひやあせ
)
を
拭
(
ふ
)
きながら。『
全
(
まった
)
く
落胆
(
がっかり
)
してしまいました。』
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
強
(
し
)
いて自分にさえ隠そうとする事を言いあてられると、言いあてられるほど、明白な事実であったかと
落胆
(
がっかり
)
する。言いあてられた高柳君は暗い穴の中へ落ちた。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし私は
落胆
(
がっかり
)
した。——とうとう本物の鼓打ちになるのか。一生涯
下手糞
(
へたくそ
)
の御機嫌を取って暮さなければならないのか。——と思うとソレだけでもウンザリした。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
大隅は
落胆
(
がっかり
)
した。
折角
(
せっかく
)
聞けると思ったことが、今や余命いくばくもないこの重傷者の唇から聞けないと分ると、彼は掌中の
珠
(
たま
)
を奪われたように、残念に感じたのだった。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
今日
(
こんにち
)
では、もっと治療の方法もあったことかと思いますが、尽くせるだけは手を尽くしたけれども、とうとう
奪
(
と
)
られてしまったのは、いかにも残念で、私は一時
落胆
(
がっかり
)
して
幕末維新懐古談:72 総領の娘を亡くした頃のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
楽しみにしてお出でなさるとこだから、
今度
(
こんだ
)
御免にお成りだとお聞きなすったらさぞマア
落胆
(
がっかり
)
なさる事だろうが、年を
寄
(
と
)
ッて御苦労なさるのを見ると
真個
(
ほんと
)
にお
痛
(
いたわ
)
しいようだ
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
今ごろ顔を見せたら、あの女がどんなに
落胆
(
がっかり
)
して、どんなに泣くことであろう! 事によったら、自分を軽蔑するあまり、物をも言わずに突き出してしまうかもしれない。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
より改進的な日本人達は、この悲劇によって、まったく
落胆
(
がっかり
)
して了った。何故かといえば、このような椿事が起るのを常とした、封建時代に帰ったように思われるからである。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
一つはお杉、一つは鬼小僧……どこへ行ったとも
解
(
わか
)
らなかった。江戸の人達は
落胆
(
がっかり
)
した。
柳営秘録かつえ蔵
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お蔦 可哀そうだって、あたしあ又、一文なしと聞いて、
落胆
(
がっかり
)
したというかと思った。
一本刀土俵入 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
彼は今や読書していなかった、
落胆
(
がっかり
)
したように往ったり来たりしていた。スクルージは幽霊の方を見遣った。そして、悲しげに頭を振りながら、心配そうに戸口の方をじろりと見遣った。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
という細君の言葉は差当って理の当然なので、主人は
落胆
(
がっかり
)
したという調子で
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
お嬢さまは
落胆
(
がっかり
)
なすって、半年の余も病気におなんなすったんだ、——誰が知らなくとも、おまえさんを慕っていなさるお嬢さまの気持は、この佐兵衛がようく知っているんだ、……そんな
初午試合討ち
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
お君が入って来た軽業の一座は、あれから
散々
(
ちりぢり
)
になってしまって、またも旅廻りをしているか、江戸へ帰ったか、それさえ
消息
(
たより
)
がないということで、お君は
落胆
(
がっかり
)
しました。兵馬も困りました。
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「男が死んだときお園はどうしていました。ひどく
落胆
(
がっかり
)
していましたか」
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
後から見ると
頭髪
(
あたま
)
ばかりが若いので、貞之進はいよ/\
落胆
(
がっかり
)
して、すぐに出るも変なものとちょっと坐りは坐ったが、高座で何事を云うか耳には
這入
(
はいら
)
ない、
他
(
ひと
)
の笑ったのに誘われて顔を挙げると
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
お石は、腹のしんが皆抜けてしまったように、
落胆
(
がっかり
)
した。
禰宜様宮田
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
二人ながら
落胆
(
がっかり
)
して、とある木蔭に腰を
卸
(
おろ
)
して
月世界競争探検
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
さも
落胆
(
がっかり
)
したように言うのであった。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
落胆
(
がっかり
)
してしまふのであつた。
黒谷村
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
雨滴
(
あまだれ
)
の音が聞える。昨夜はあんなに晴れていたにと思って耳を澄したが、確に降っている。僕は
落胆
(
がっかり
)
してしまった。そうして
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
頭領
(
かしら
)
、そう
落胆
(
がっかり
)
するにもあたりませんぜ。こんな時にゃいつでも用の弁じる
金箱
(
かねばこ
)
を頭領は持っているはずじゃありませんか」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
弟は助からないって事になる……その時は
落胆
(
がっかり
)
して、
苔
(
こけ
)
の生えた
石燈籠
(
いしどうろう
)
につかまって、しばらく泣きましたって、姉さんがね、……それでも
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その一行の目的もあらゆるものが一切私の想像に単なるヒントを与えるだけの役にしか立たず、なんとも言えぬ
落胆
(
がっかり
)
さを覚えてくるのであった。
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
山「うん、船は着いたが
最
(
も
)
ういゝと思うと
落胆
(
がっかり
)
して死ぬものだから、何処の島へ着いても気をしっかり持っていねえよ」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
急に
落胆
(
がっかり
)
して毎日の病院通いも張合いが脱け、
背
(
せなか
)
や腕にぴったり板を結び着けられた自由の利かぬ体を、二階の空間に蒲団を
被
(
かぶ
)
って寝てばかりいた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
以前
(
さっき
)
の樫の森から東側へかけて、夕方まで探していたが、
最早
(
もはや
)
日が暮れかかってもそれらしい影は愚か、
小雀
(
ことり
)
一羽眼に這入らぬから、皆
落胆
(
がっかり
)
して疲れ切ってしまって
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
私は
予
(
か
)
ねてから木村清と云う私立探偵の事を聞いていたから、彼の所へ行った。所が
生憎
(
あいにく
)
彼は不在だった。私は
落胆
(
がっかり
)
して外へ出ると、運の好い事にはバッタリ彼の帰って来るのに出会った。
急行十三時間
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「まだ来ない!」と、ボブは今まで元気であったのが急に
落胆
(
がっかり
)
して云った。実際、彼は教会から帰る途すがら、ずっとティムの種馬になって、ぴょんぴょん跳ねながら帰って来たのであった。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
半紙に認ためられたものは
悉
(
ことごと
)
く鉛筆の走り書なので、光線の暗い所では字画さえ
判然
(
はんぜん
)
しないのが多かった。乱暴で読めないのも時々出て来た。疲れた眼を上げて、積み重ねた束を見る健三は
落胆
(
がっかり
)
した。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そいつで
俺
(
おい
)
らも
落胆
(
がっかり
)
したやつさ。あたりめえの人間じゃねえか。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
兵馬は
落胆
(
がっかり
)
するほどに呆れが止まりませんでした。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「大層嫌いやがったな、お勘っ子が
落胆
(
がっかり
)
するぜ」
銭形平次捕物控:086 縁結び
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
聞き終った文彦は
落胆
(
がっかり
)
したように
月世界競争探検
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
検事は
落胆
(
がっかり
)
した態で呟いたが
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「これが自分の編輯した新聞かと思うと、もう
落胆
(
がっかり
)
してしまって、一日碌々口がきけません。実は今日は少しいけないんです」
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
討ち
損
(
そこ
)
ねてから、ひどう
落胆
(
がっかり
)
してのう、あの晩、沢庵坊めにおさえられたこの腕の根が、いまだに痛んでならぬのじゃ
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして小浜は、
遥
(
はる
)
か左手の
霞
(
かす
)
んだ、海岸線の北の方! この疲れと
饑
(
う
)
えの足で、まだ六里では私は
落胆
(
がっかり
)
しました。もう足が意地にも、進まないのです。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
顔を見れば違っているから、実は
落胆
(
がっかり
)
しましたが、娘を持つ親の心持は同じ事で、
嘸
(
さぞ
)
お前さんの親御も案じてお
在
(
い
)
でだろうから、何事も打明けて仰しゃいまし
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
二人は取附く島も無く、
落胆
(
がっかり
)
して、「ああ
情
(
なさけ
)
ない、
我
(
おら
)
あ素手では
帰
(
けえ
)
られましねえ。」「
私
(
わし
)
もさ今日を
的
(
あて
)
にして
昨夕
(
ゆうべ
)
から何も食わねえ。」と声を放ちて泣き
出
(
いだ
)
せば
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「でもメキメキ仕揚げるじゃありませんか。前に伺った時と店の様子がすっかり変ったわ。小野なんざアヤフヤで駄目です。」と言って、女は
落胆
(
がっかり
)
したように口を
噤
(
つぐ
)
んだ。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
“落胆”の意味
《名詞》
落胆(らくたん)
がっかりすること。力を落とすこと。
(出典:Wiktionary)
落
常用漢字
小3
部首:⾋
12画
胆
常用漢字
中学
部首:⾁
9画
“落”で始まる語句
落
落着
落魄
落葉松
落人
落葉
落籍
落付
落語家
落莫