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自然
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おのず
ふりがな文庫
“
自然
(
おのず
)” の例文
其の代りに、つい二三十年前のような詩的の旅行は
自然
(
おのず
)
と無くなったと申して宜しい、イヤ仕様といっても出来なくなったのであります。
旅行の今昔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
手ぶらでも帰られまい。五助さん、ともかくも貰って
行
(
ゆ
)
くよ。途中で
自然
(
おのず
)
からこの
蓋
(
ふた
)
が取れて手が切れるなんざ、おっと禁句
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私の脳髄の全部が忽ち
煽風機
(
せんぷうき
)
のような廻転を初めた。
身体
(
からだ
)
が
自然
(
おのず
)
と傾いて一方に倒れそうになったのを、
辛
(
かろ
)
うじて椅子の肘掛けで支え止めた。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
昇の無駄を聞ては
可笑
(
おか
)
しがッて絶えず笑うが、それもそうで、
強
(
あなが
)
ち昇の
言事
(
いうこと
)
が可笑しいからではなく、黙ッていても
自然
(
おのず
)
と可笑しいからそれで笑うようで。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
車の通れぬ急な坂をば鮫ヶ橋
谷町
(
たにまち
)
へ
下
(
お
)
り貧家の間を貫く一本道をば足の行くがままに
自然
(
おのず
)
とかの火避地に出で、ここに若葉と雑草と
夕栄
(
ゆうばえ
)
とを眺めるのである。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
藤枝の声を聞いて集まって来た人びとは、藤枝といっしょになって利根川
縁
(
べり
)
の方へ追って往ったが、女の影はもう見えなかった。一行の足は
自然
(
おのず
)
と止ってしまった。
女賊記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そして、深い
溜息
(
ためいき
)
を吐いた。常識と同情とに富んだこの青年の
柔嫩
(
やわらか
)
な眼は
自然
(
おのず
)
と涙を
湛
(
たた
)
えた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
いつの間にか群衆に捲き込まれ、人の渦から遁がれようとしながら、容易に遁がれることが出来ず、押され
揉
(
も
)
まれ追い立てられ、群衆の潮の流れる方へ、
自然
(
おのず
)
と流れて行くのであった。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
手の汗を、ずぼんの横へ
擦
(
こす
)
りつけて、清めた気で、くの字
形
(
なり
)
に腕を出したは、短兵急に握手の
積
(
つもり
)
か、と見ると、
揺
(
ゆる
)
がぬ黒髪に
自然
(
おのず
)
と
四辺
(
あたり
)
を
払
(
はらわ
)
れて
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自然
(
おのず
)
とどこかに
稜角
(
かど
)
あるは問わずと知れし胸の
中
(
うち
)
、もしや源太が清吉に内々含めてさせしかと疑い居るに極まったり。
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
こう思いながら二階に上って、昨夜の吸いさしの葉巻に火を
点
(
つ
)
けたまま、暖かい蒲団にもぐり込むと、エタイの知れない薄笑いが
自然
(
おのず
)
と唇にニジミ出した。
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そこで
自然
(
おのず
)
と、物には
専門家
(
くろうと
)
と
素人
(
しろうと
)
の差別が生ずるのだと、珍々先生は自己の廃頽趣味に絶対の芸術的価値と威信とを附与して、
聊
(
いささ
)
か得意の感をなし、
荒
(
すさ
)
みきった生涯の
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
深張
(
ふかばり
)
の
涼傘
(
ひがさ
)
の影ながら、なお面影は透き、色香は
仄
(
ほの
)
めく……心地すれば、
誰
(
たれ
)
憚
(
はばか
)
るともなく
自然
(
おのず
)
から
俯目
(
ふしめ
)
に
俯向
(
うつむ
)
く。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
阿利吒は大きに驚きながらその像の
頭
(
こうべ
)
を
截
(
き
)
り取りしに、頭はまた
新
(
あらた
)
に
自然
(
おのず
)
と生じ、また截り取ればまた生じぬ。
印度の古話
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
……眼の中が
自然
(
おのず
)
と熱くなって、そのままベッドの上に突伏したいほどの思いに
充
(
みた
)
されつつ、かなしく
両掌
(
りょうて
)
を顔に当てて、眼がしらをソッと押え付けたのであった。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
深張
(
ふかばり
)
の
涼傘
(
ひがさ
)
の影ながら、
尚
(
な
)
ほ
面影
(
おもかげ
)
は透き、
色香
(
いろか
)
は
仄
(
ほの
)
めく……
心地
(
ここち
)
すれば、
誰
(
たれ
)
憚
(
はばか
)
るともなく
自然
(
おのず
)
から
俯目
(
ふしめ
)
に
俯向
(
うつむ
)
く。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
主人
(
あるじ
)
が浮かねば女房も、何の罪なきやんちゃざかりの
猪之
(
いの
)
まで
自然
(
おのず
)
と浮き立たず、
淋
(
さび
)
しき貧家のいとど淋しく、
希望
(
のぞみ
)
もなければ
快楽
(
たのしみ
)
も一点あらで日を暮らし
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
……今にもこっちを振り向いて、私と顔を合わせそうな気がして……そうしたら、何かしら大変な事が起りそうに思えて……
身体
(
からだ
)
じゅうが
自然
(
おのず
)
と固くなるように感じつつ……。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
枝路のことなれば
闊
(
ひろ
)
からず平かならず、
誰
(
た
)
が造りしともなく
自然
(
おのず
)
と里人が踏みならせしものなるべく、草に埋もれ木の根に荒れて明らかならず、迷わんとすること
数次
(
しばしば
)
なり。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
これが
風説
(
うわさ
)
の心中
仕損
(
しそこない
)
。言訳をして、世間が信ずるくらいなら、黙っていても
自然
(
おのず
)
から明りは立つ。面と向って
汝
(
きさま
)
が、と云うものがないのは、君が何にも言わないと
同一
(
おんなじ
)
なんだ。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私は
身体
(
からだ
)
中の毛穴が
自然
(
おのず
)
と引き
緊
(
し
)
まるように感じた。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
浮きたる方こそ
樹末
(
こずえ
)
なれ、根の方は
木理
(
きのめ
)
つみて
自然
(
おのず
)
と重ければ下に沈むなりと答へけるに、天神はまた同じやうなる
牝馬
(
めうま
)
二匹を
指
(
ゆびさ
)
して、
那箇
(
いずれ
)
が母か那箇が子か、と詰り問ひぬ。
印度の古話
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
自然
(
おのず
)
から気が映ってなったらしく、女の児と
同一
(
おなじ
)
ように目を
瞑
(
ねむ
)
って、男の児に何かものを言いかけるにも、なお深く
差俯向
(
さしうつむ
)
いて、いささかも室の外を
窺
(
うかが
)
う
気色
(
けしき
)
は無かったのである。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
湧
(
わ
)
くや額に玉の汗、去りも
敢
(
あえ
)
ざる不退転、耳に世界の音も
無
(
なく
)
、腹に
饑
(
うえ
)
をも補わず
自然
(
おのず
)
と
不惜身命
(
ふじゃくしんみょう
)
の
大勇猛
(
だいゆうみょう
)
には
無礙
(
むげ
)
無所畏
(
むしょい
)
、
切屑
(
きりくず
)
払う熱き息、吹き掛け
吹込
(
ふっこ
)
む一念の誠を注ぐ眼の光り
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
誰言うとなく
自然
(
おのず
)
と通じて、
投遣
(
なげや
)
りな
投放
(
むすびばな
)
しに、中を結んだ、
紅
(
べに
)
、
浅葱
(
あさぎ
)
の細い色さえ、床の間の
籠
(
かご
)
に投込んだ、白い
常夏
(
とこなつ
)
の花とともに、ものは言わぬが
談話
(
はなし
)
の席へ、
仄
(
ほのか
)
な
俤
(
おもかげ
)
に立っていた。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
此の
世盛
(
よざか
)
りの、思ひ上れる、美しき女優は、樹の緑
蝉
(
せみ
)
の声も
滴
(
したた
)
るが如き影に、
框
(
かまち
)
も
自然
(
おのず
)
から浮いて高い
処
(
ところ
)
に、色も
濡々
(
ぬれぬれ
)
と
水際立
(
みずぎわだ
)
つ、
紫陽花
(
あじさい
)
の花の姿を
撓
(
たわ
)
わに置きつゝ、
翡翠
(
ひすい
)
、
紅玉
(
ルビイ
)
、真珠など
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
長らく先生の教を受けて居る中に
自然
(
おのず
)
と左様いう地位に立たなければならぬように、自然と出来上がった世話役なので、塾は即ち先生と右の好意的世話役の上足弟子とで維持されて居る訳なのです。
学生時代
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
樹の緑蝉の声も
滴
(
したた
)
るがごとき影に、
框
(
かまち
)
も
自然
(
おのず
)
から浮いて高い処に、色も
濡々
(
ぬれぬれ
)
と水際立つ、
紫陽花
(
あじさい
)
の花の姿を
撓
(
たわ
)
わに置きつつ、
翡翠
(
ひすい
)
、
紅玉
(
ルビイ
)
、真珠など、
指環
(
ゆびわ
)
を三つ四つ
嵌
(
は
)
めた白い指をツト挙げて
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“自然”の解説
自然(しぜん、el: φύσις la: natura en: nature)について解説する。
(出典:Wikipedia)
自
常用漢字
小2
部首:⾃
6画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“自然”で始まる語句
自然薯
自然石
自然木
自然生
自然界
自然淘汰
自然物
自然法爾
自然現象
自然霊