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発作
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ほっさ
ふりがな文庫
“
発作
(
ほっさ
)” の例文
旧字:
發作
猛獣の
発作
(
ほっさ
)
のごとく至って単純なのである。欲望を達した後は、ひそかに気の小さい良心にさえ
咎
(
とが
)
められているふうさえ見える。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼はその
手段
(
てだて
)
として一種の方法を案出した。ある
晩餐
(
ばんさん
)
の席へ招待された好機を利用して、彼は急に
劇
(
はげ
)
しい
発作
(
ほっさ
)
に
襲
(
おそ
)
われたふりをし始めた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
旗と、人と、
体臭
(
たいしゅう
)
と、
汗
(
あせ
)
に、
揉
(
もま
)
れ揉れているうち、ふと、ぼくは狂的な笑いの
発作
(
ほっさ
)
を、
我慢
(
がまん
)
している自分に気づきました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
私は、その瞬間、ぞっとして、背筋を冷たいものが走った様に感じたのでございます——
瘧
(
おこり
)
の
発作
(
ほっさ
)
にでもとらわれたような
慄
(
ふる
)
えを感じて参りました。
両面競牡丹
(新字新仮名)
/
酒井嘉七
(著)
ところで、いったいこの婚約は単なる囈語のために破られたのでしょうか、それとも
癲癇
(
てんかん
)
的
発作
(
ほっさ
)
のためでしょうか。
世界怪談名作集:12 幻の人力車
(新字新仮名)
/
ラデャード・キプリング
(著)
▼ もっと見る
節々
(
ふしぶし
)
はひどく痛みを覚えながら、
発作
(
ほっさ
)
の過ぎ去った葉子は、ふだんどおりになって起き上がる事もできるのだった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
宇左衛門は、修理の
発作
(
ほっさ
)
が、夏が来ると共に、漸く
怠
(
おこた
)
り出したのを喜んだ。彼も万一修理が殿中で無礼を働きはしないかと云う事を、
惧
(
おそ
)
れない訳ではない。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
幾回となく
発作
(
ほっさ
)
が起って、あたしは
獣
(
けもの
)
のように叫びながら、灰色に汚れた壁に、われとわが身体をうちつけた。
俘囚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
これで又四五日の間は、
烈
(
はげ
)
しい
発作
(
ほっさ
)
の
御守
(
おもり
)
をしなければなるまいと、私はいっそ覚悟を極めて了った程でした。
モノグラム
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
肺炎
(
はいえん
)
のふつうの
経過
(
けいか
)
として、かれはまもなくせきをし始めた、この
発作
(
ほっさ
)
のたびごとに小さなからだがはげくふるえるので、かれはひどくこれを苦しがった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
九月七日の正午十二時に、ヴィール夫人は持病の
発作
(
ほっさ
)
のために死んだ。その死ぬ前の四時間以上はほとんど意識がなかった。
臨床塗油式
(
サクラメント
)
はその間におこなわれた。
世界怪談名作集:07 ヴィール夫人の亡霊
(新字新仮名)
/
ダニエル・デフォー
(著)
ただ狂乱と
憤懣
(
ふんまん
)
との中で、たえず
発作
(
ほっさ
)
的に死への誘惑を感じたにもかかわらず、一方彼の気持を自殺のほうへ向けさせたがらないものがあるのを
漠然
(
ばくぜん
)
と感じていた。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「父さん」と、にんじんは、こみあげてくる感情の
発作
(
ほっさ
)
のなかで、締めつけられるような声を出した。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
さっきのありさまから想像すると、女はあくまでも自分を置き去りにしたように男を怨んで、ヒステリー的の激しい
発作
(
ほっさ
)
から突然に男の喉を絞めたのではあるまいか。
探偵夜話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
道理
(
もっとも
)
です。これは少し気をつけて貰わなければならないと思って、家へ帰って、妻に話すと、妻は忽ち
発作
(
ほっさ
)
を起しました。私が
婉曲
(
えんきょく
)
に離縁話を持ち出したと言うんです。
秀才養子鑑
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
源氏は寺へ帰って仏前の勤めをしながら昼になるともう
発作
(
ほっさ
)
が起こるころであるがと不安だった。
源氏物語:05 若紫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
汽車のなかは案じたる
眩暈
(
めまい
)
の
発作
(
ほっさ
)
も起こらず安らかに下関に着きました。その夜は貧しき従姉の家に一泊し、翌朝門司よる筑紫路となり二時間を経て別府に着きました。
青春の息の痕
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
一種の肉体的だけでないめまいの
発作
(
ほっさ
)
と、かれは戦わねばならなかった。それははげしくこみあげてくる不安の念——逃げ道も見込みもないという感じをともなっていた。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
それに、東京に来てから、墨田川へ身を投げようとしたような、
発作
(
ほっさ
)
を起したこともあった。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
初めて病気の
発作
(
ほっさ
)
が起った時、ヘルンは自己の運命をすっかり自覚し、死後における妻子の保護と財産の管理とを、親友の法学士に一任して、後に心がかりのないようにした。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
それに似た
発作
(
ほっさ
)
が、それから何度か起きた。街歩きしている中に起きると、タクシーで早速帰宅する。タクシーがつかまらない時は、店にでも何でも飛び込んで休ませてもらう。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
が、
不思議
(
ふしぎ
)
なもので、だんだん
修行
(
しゅぎょう
)
が
積
(
つ
)
むにつれて、ドーやら
情念
(
こころ
)
の
発作
(
ほっさ
)
を
打消
(
うちけ
)
して
行
(
ゆ
)
くのが
上手
(
じょうず
)
になるようでございます。それがつまり
向上
(
こうじょう
)
なのでございましょうかしら……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「わしは歩くよ」と、ゲルステッカーはまた同じ言葉をいい、咳の
発作
(
ほっさ
)
を起こした。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
なぜそう
辛
(
つら
)
いのか
合点
(
がてん
)
がゆかぬながらも、それでいて、彼女がにわかに
堪
(
た
)
えがたい悲哀の
発作
(
ほっさ
)
に
襲
(
おそ
)
われて、庭へ出てきて、ばったり地面に
倒
(
たお
)
れた
有様
(
ありさま
)
を、まざまざと心に
描
(
えが
)
いていた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
三日後の七月十一日に、同じ町に住む開業医フレンチ医師の
許
(
もと
)
に、ヘンリイ・ウイリアムズが夫人を
伴
(
ともな
)
って診察を受けに来た。聞いてみると、夫人に軽微な
発作
(
ほっさ
)
が起るというのである。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
こういう
発作
(
ほっさ
)
が非常に猛烈におこって、かの幻影に対する不可抗力的の憧憬がわたしを狂わせるようになったので、私は往来へ飛び出して不思議な家の方へ走ってゆくと、遠方から見た時には
世界怪談名作集:10 廃宅
(新字新仮名)
/
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン
(著)
なよたけ ああ、文麻呂! 文麻呂!……(
発作
(
ほっさ
)
的に
衣裳
(
いしょう
)
の
襟
(
えり
)
に手をやって、苦しそうに)この重っ苦しい着物を
脱
(
ぬ
)
がして!……この着物がいけないんだわ!……苦しい、……息がつまりそう。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
一時
発作
(
ほっさ
)
の病と
視做
(
みな
)
し一時これを慰めて後に大に戒しむるは止むを得ざる処置なれども、其立腹の理非をも問わず唯恐れて順えとは、婦人は唯是れ男子の奴隷たるに過ぎず、感服す可らざるのみか
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
法師丸は全然豫想もしなかった
恍惚郷
(
こうこつきょう
)
に惹き入れられて、暫く我を忘れていた。それがどう云う感情の
発作
(
ほっさ
)
であったかは、後になって理解したことで、当時の少年の頭では何も自覚していなかった。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
僕は
意地張
(
いじばり
)
という点において、どっちかというとむしろ陰性の
癇癪持
(
かんしゃくもち
)
だから、
発作
(
ほっさ
)
に心を
襲
(
おそ
)
われた人が急に理性のために喰い留められて
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
葉子はけさの
発作
(
ほっさ
)
の反動のように、田川夫人の事があってからただ何となく心が浮き浮きしてしようがなかった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ときには、ひどい
発作
(
ほっさ
)
を起して、
流石
(
さすが
)
の百合子も介抱に
困
(
こう
)
じ果ててしまうことさえ
稀
(
まれ
)
ではありませんでした。
赤耀館事件の真相
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
貴顕豪商というと彼女は生れぬまえからの
仇敵
(
きゅうてき
)
のように反抗したくなるのである。——奔馬の前の危険な
強請
(
ゆすり
)
も、
稀〻
(
たまたま
)
興味的にやりたくなる衝動の
発作
(
ほっさ
)
なのであった。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あなたは私が持病の
発作
(
ほっさ
)
のために、どんなにひどく体をこわしているかをご存じないでしょう」
世界怪談名作集:07 ヴィール夫人の亡霊
(新字新仮名)
/
ダニエル・デフォー
(著)
敗れた埃及軍を追うて、
古
(
いにしえ
)
の
白壁
(
しらかべ
)
の都メムフィスに入城した時、パリスカスの
沈鬱
(
ちんうつ
)
な興奮は
更
(
さら
)
に著しくなった。
癲癇
(
てんかん
)
病者の
発作
(
ほっさ
)
直前の様子を思わせることもしばしばである。
木乃伊
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
にがい笑いは、何か生理的な
発作
(
ほっさ
)
のように、
止
(
と
)
め
度
(
ど
)
無く湧き上って
止
(
や
)
まなかった。私は立ち上り、訳文を当直士官に差し出した。指揮官卓にいた準士官等の視線が、それに集った。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
ふだん黄いろく肉の落ちた顔が、どこと云う事なく
痙攣
(
けいれん
)
して眼の色まで妙に殺気立って来る。そうして、
発作
(
ほっさ
)
が甚しくなると、必ず左右の
鬢
(
びん
)
の毛を、ふるえる両手で、かきむしり始める。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
心痛の
極
(
きょく
)
一時的狂気の
発作
(
ほっさ
)
を起し、窓から飛降りる様なことになったのです。
五階の窓:01 合作の一(発端)
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「閣下に因果を含められて、軽い
発作
(
ほっさ
)
を起したのかも知れない」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
じっとして見らるるに堪えない心の起こったのは、そのくせ女の腰をおろすやいなやである。三四郎はすぐ口を開いた。ほとんど
発作
(
ほっさ
)
に近い。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかしあの
発作
(
ほっさ
)
以後ますますヒステリックに
根性
(
こんじょう
)
のひねくれてしまった葉子は、手紙を読んだ瞬間にこれは造り事だと思い込まないではいられなかった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
私は時子を砂の上につき
仆
(
たお
)
して逃げたのである。其のとき、時子は
発作
(
ほっさ
)
に襲われて激しく
咳
(
せき
)
こみながら叫んだ言葉がある。それは「デルタ、デルタ」というのだ。
三角形の恐怖
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「いえいえ。一時の、
発作
(
ほっさ
)
とはおもわれますが、苦しげに、口に泡をふき、眼をつりあげ、顔色蒼白となって、転々と、もがき抜いている有様。いつもの、容体ともおもわれません」
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もっとも
発作
(
ほっさ
)
さえすんでしまえば、いつも笑い話になるのですが、………
一夕話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「その後もう
発作
(
ほっさ
)
は起りませんか?」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
御米
(
およね
)
の
発作
(
ほっさ
)
はようやく落ちついた。今では
平日
(
いつも
)
のごとく外へ出ても、
家
(
うち
)
の事がそれほど気にかからないぐらいになった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
突然柿江が
能弁
(
のうべん
)
になった。彼が能弁になるのは一種の
発作
(
ほっさ
)
で、無害な犬が突然恐水病にかかるようなものだ。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「だまれ。上司から来た調書によれば、元来汝には、時折り
狂癲
(
きょうてん
)
の
発作
(
ほっさ
)
があるよしが
認
(
したた
)
めてある。狂気を打ちすえても、御法の殺威棒の主意にかなわん。正気の折に打ってくれよう」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこまで云った政は、
発作
(
ほっさ
)
みたいな様子となり、言葉のあとをブツブツ口の中で
呟
(
つぶや
)
いて、それから急に気がついたかのように、ワナワナ慄える両手を、
周章
(
あわ
)
てて背後に隠したのだった。
夜泣き鉄骨
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
これは結婚前後が最も
甚
(
はなはだ
)
しく、一時は私とさえほとんど
語
(
ことば
)
を交えないほど、憂鬱になった事もございましたが、近年は
発作
(
ほっさ
)
も極めて稀になり、気象も以前に比べれば、余程快活になって参りました。
二つの手紙
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
発
常用漢字
小3
部首:⽨
9画
作
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
“発作”で始まる語句
発作的
発作中
発作前
発作性