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疾風
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しっぷう
ふりがな文庫
“
疾風
(
しっぷう
)” の例文
その藤吉郎が、室町幕府最後の始末がすむかすまないうちに、
疾風
(
しっぷう
)
のごとく
畿内
(
きない
)
の戦場からひっ返し、また直ちに、岐阜へむかって
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
疾風
(
しっぷう
)
のごとく飛んで行く八五郎、その忠実な後ろ姿を見送ってどうして今まで手を抜いていたか、平次は自分ながら
歯痒
(
はがゆ
)
い心持でした。
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そのときわが
鎌田聯隊長殿
(
かまだれんたいちょうどの
)
は、馬の上で剣を高くふって
突貫
(
とっかん
)
! と号令をかけた。そこで
大沢
(
おおさわ
)
一等卒はまっさきかけて
疾風
(
しっぷう
)
のごとく突貫した。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
黒い
疾風
(
しっぷう
)
が何かにぶつかりながら、
室
(
へや
)
を飛出し、闇の廊下をめくら
滅法
(
めっぽう
)
に走った。そのあとを追って、「逃げた、逃げた」という狼狽の叫声。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
蝦夷松
(
えぞまつ
)
、
椴松
(
とどまつ
)
、
白樺
(
しらかんば
)
の原生林を技けて、怪獣のごとくまた
疾風
(
しっぷう
)
のごとく自動車で横断することは、少くともこの旅行中の一大壮挙にはちがいない。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
▼ もっと見る
思わずそこに打ちたおれ、手足を地面に伏せたとたん、飛行機の黒い大きい影が
疾風
(
しっぷう
)
のように地面をかすめ去った。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
その時は、北方から
剽悍
(
ひょうかん
)
な遊牧民ウグリ族の一隊が、馬上に
偃月刀
(
えんげつとう
)
を
振
(
ふ
)
りかざして
疾風
(
しっぷう
)
のごとくにこの部落を
襲
(
おそ
)
うて来た。湖上の民は必死になって
禦
(
ふせ
)
いだ。
狐憑
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
そのときの
傷痕
(
きずあと
)
も
古
(
ふる
)
びてしまって、
幹
(
みき
)
には、
雅致
(
がち
)
が
加
(
くわ
)
わり、
細
(
こま
)
かにしげった
緑色
(
みどりいろ
)
の
葉
(
は
)
は、ますます
金色
(
きんいろ
)
を
帯
(
お
)
び、
朝夕
(
あさゆう
)
、
霧
(
きり
)
にぬれて、
疾風
(
しっぷう
)
に
身
(
み
)
を
揺
(
ゆ
)
すりながら
しんぱくの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
疾風
(
しっぷう
)
のごとくに城内へ連れ去ってしまったので、Z伯爵をはじめ、途中から出て来た妹のガブリエルも、その恋人のエドヴィナ伯爵も、あまりの驚異に身の毛をよだてた。
世界怪談名作集:10 廃宅
(新字新仮名)
/
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン
(著)
「今晩は陰暦十一月十六日、夜の十時には月高くお裏山の
公孫樹
(
こうそんじゅ
)
にかかって、
老梟寒飢
(
ろうきょうかんき
)
に鳴く。一
陣
(
じん
)
の
疾風
(
しっぷう
)
雑木林をわたって、
颯々
(
さつさつ
)
の声あり。ちょうど手頃でございますぞ」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
口小言
(
くちこごと
)
を云いながら、七兵衛は進んでお葉を抱え
起
(
おこ
)
そうとすると、
彼女
(
かれ
)
は
其
(
その
)
手を跳ね
退
(
の
)
けて
衝
(
つ
)
と
起
(
た
)
った。例えば
疾風
(
しっぷう
)
落葉
(
らくよう
)
を巻くが如き勢いで、さッと飛んで来て冬子に
獅噛付
(
しがみつ
)
いた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それでいて
疾風
(
しっぷう
)
が渡ると、魔術の
杖
(
つえ
)
を加えたように濃霧が部分的にサッとふき消されるその瞬間に、脚下の
薊
(
あざみ
)
谷や、
鬼神
(
きじん
)
谷の大渓谷が、神秘の
帷
(
とばり
)
を引いたように、鮮明に一部分をあらわすのだ。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
然し女は
吠
(
ほ
)
えるように泣きじゃくっているので、スタンドの卓を飛び降りた
疾風
(
しっぷう
)
のような鋭さも竜頭蛇尾であった。刑事はいくらか
呆気
(
あっけ
)
にとられたが女の泣き方がだらしがないので、ひるまなかった。
いずこへ
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
それが
疾風
(
しっぷう
)
のごとく私を通過したあとで、私はまたああ
失策
(
しま
)
ったと思いました。もう取り返しが付かないという黒い光が、私の未来を貫いて、一瞬間に私の前に横たわる全生涯を
物凄
(
ものすご
)
く照らしました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ア——と
竹童
(
ちくどう
)
は目をみはっていると、たちまち、
宙天
(
ちゅうてん
)
からすさまじい
疾風
(
しっぷう
)
を起してきた黒い
大鷲
(
おおわし
)
、鶴を目がけてパッと飛びかかる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次は、そっと目配せをすると、ガラッ八は
疾風
(
しっぷう
)
のごとく飛びました。続いて店の方から、
叱咤
(
しった
)
と組付の凄まじい響き。
銭形平次捕物控:086 縁結び
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
一同がそれを読んでるうちに、フハンはふたたび
疾風
(
しっぷう
)
のごとく
岩壁
(
がんぺき
)
をかけのぼって、とうとうすがたが見えなくなった。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
その片足をかけた刹那に、急行電車か何かが
疾風
(
しっぷう
)
の様にやって来てお婆さんから二三間の所まで迫ったと仮定します。
赤い部屋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
弟はすでに、
蒙古
(
もうこ
)
で戦死した。
俄
(
にわ
)
かに荒々しいものが、
疾風
(
しっぷう
)
のように私の心を満たした。此のような犠牲をはらって、日本という国が一体何をなしとげたのだろう。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
やがて
麓
(
ふもと
)
に
近
(
ちかづ
)
いた頃、忠一は
唯
(
と
)
ある
樹根
(
きのね
)
に腰をかけて
草鞋
(
わらじ
)
の
緒
(
お
)
を結び直した。巡査は
之
(
これ
)
を待つ
間
(
あいだ
)
に
不図
(
ふと
)
何を見出したか、
忽
(
たちま
)
ち
疾風
(
しっぷう
)
の如くに駈け出して、あなたの岩蔭へ飛び込んだ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
しんぱくは、またひとしきり、
疾風
(
しっぷう
)
に
顔
(
かお
)
を
動
(
うご
)
かしながら
しんぱくの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と、ジッと
生唾
(
なまつば
)
をのんですくまっていると、境内を斜めに切って、
疾風
(
しっぷう
)
のように自分の方へ駈けてくるふたつの天蓋が闇をかすッて見える。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、反対の方角に、
疾風
(
しっぷう
)
の様な勢で駈け出した。群集は、怪物の水際立った振舞に、行手をさえぎることも忘れて、ボンヤリとその美しい姿を眺めていた。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
イバンスは
疾風
(
しっぷう
)
のごとく走った。海蛇とブランドははや川の岸にあがった。いま一足が舟のなかである。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
八五郎は
疾風
(
しっぷう
)
の如く飛んで行くと、畑を突っきって逃げて行く男の後ろから、
無手
(
むず
)
と組みつきました。
銭形平次捕物控:244 凧の糸目
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
カガヤン
渓谷
(
けいこく
)
を南下して苦難に満ちた
行軍
(
こうぐん
)
を続け、北の入口からサンホセ盆地に入ろうとした時、リンガエン上陸の米軍の一支隊は
疾風
(
しっぷう
)
のような早さでカガヤン渓谷を逆に北上
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
藤蔵が自軍のふじヶ根山へさして
疾風
(
しっぷう
)
のごとく駈け出したとき、初めて、バチバチ撃ち浴びせたが、もう間にあわなかった。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鹿毛
(
しかげ
)
は少ししりごみしたがこのときしゃもじがその
首環
(
くびわ
)
を引いて赤犬の鼻に鼻をつきあてた、こうなると鹿毛もだまっていない、
疾風
(
しっぷう
)
のごとく赤犬にたちかかった
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
函嶺全山を揺るがすほどの声がして、ガラッ八の八五郎、
疾風
(
しっぷう
)
のごとく飛んで来たのです。
銭形平次捕物控:082 お局お六
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
騒ぎずきの東京市民は、ほとんど熱狂して、怪賊の思い切った曲芸を
喝采
(
かっさい
)
した。うわさは
疾風
(
しっぷう
)
の様にちまたに拡がり、続々とかけつける見物人で、両国橋の東西は時ならぬ川開きの人山だ。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
かねて岡崎の奉行とも
聯絡
(
れんらく
)
はあったらしい。又四郎は彼を
引
(
ひ
)
っ
縛
(
くく
)
ると、その体を小脇にかかえて
疾風
(
しっぷう
)
のように駈け出した。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次の
叱咤
(
しった
)
につれて、八五郎の身体は猟犬のように動きます。幸いの月夜、
疾風
(
しっぷう
)
のごとく逃げ廻る曲者は、次第に逃げ路を失って、平次と八五郎の狭めて行く輪の中に入ります。
銭形平次捕物控:124 唖娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と球は
伸
(
の
)
びるかと思いのほか、途中で切れてさか落としに落ちた、ハッと思う間もない、光一は
疾風
(
しっぷう
)
のごとく本塁を
襲
(
おそ
)
うた、千三はあわててホームに投げた、球は高くネットを打った。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
はッと見ると、法月弦之丞、浅間、岡村の同心と、周馬、有村の四人を上へ上へとおびきよせて、それを捨てるが早いか、お十夜の方へ
疾風
(
しっぷう
)
に来た。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次と八五郎と勘六は、
疾風
(
しっぷう
)
の如く土手を引返しました。何んにも知らずに、
菰
(
こも
)
の上で
鉦
(
かね
)
を叩いていた乞食坊主の鑑哲は、大骨を折らせ乍らも、三人の手で取って押えられました。
銭形平次捕物控:174 髷切り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
声がおわらぬうちに、フハンはあわただしく洞のなかをかぎまわったが、とつぜん
疾風
(
しっぷう
)
のごとく
洞
(
ほら
)
の外へ走り去った。一日の
労役
(
ろうえき
)
をおわって一同は
晩餐
(
ばんさん
)
のテーブルについたが、フハンは帰ってこない。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
そして
日没
(
にちぼつ
)
から、伊那丸の陣地を見わたしていると、
小勢
(
こぜい
)
ながら、守ること林のごとく、攻むること
疾風
(
しっぷう
)
のようだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
利助の子分は、お品の指図を待つまでもなく、
疾風
(
しっぷう
)
のごとく本堂に乱入します。間もなく、綱吉も役僧も藤次郎も
一網打尽
(
いちもうだじん
)
、検使の役人のために
数珠
(
じゅず
)
つなぎにされてしまいました。
銭形平次捕物控:018 富籤政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
人馬も旗も濡れて、みな
雑巾
(
ぞうきん
)
のような姿となってゆく。雨は折々小やみにもなったが
疾風
(
しっぷう
)
は終日やまない。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ガラッ八は
疾風
(
しっぷう
)
のように飛出しましたが、本当に半刻も経たないうちに帰って来て
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
出来ごとが、あまり瞬間だったので、奥の居間に入った俵一八郎も万吉も、少しもそれを知らず、ただ、屋根を走る
疾風
(
しっぷう
)
の雨の声に、顔を見合せていたのである。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次はお世辞を言い捨てて、
疾風
(
しっぷう
)
のごとく両国の水茶屋に引返しました。
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
小文治
(
こぶんじ
)
がききかえすまに、
駿馬
(
しゅんめ
)
項羽
(
こうう
)
のかげは木隠をのせて、
疾風
(
しっぷう
)
のごとく遠ざかってしまった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
出て行った八五郎、しばらくすると
疾風
(
しっぷう
)
のようにスッ飛んで来ました。
銭形平次捕物控:047 どんど焼き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
初めに構えた一本の
薪
(
まき
)
は、つねに同じところに同じ角度で持たれていた。もちろん動く一瞬は
疾風
(
しっぷう
)
を起し電光を描く。けれどそのあとはすぐ元のすがたに
回
(
かえ
)
っているのだった。
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
翌
(
あく
)
る九月十五日の晩、ガラッ八は
疾風
(
しっぷう
)
のごとく飛込んで来たのです。
銭形平次捕物控:079 十七の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
疾風
(
しっぷう
)
のように、その側へ飛んで来た騎馬の武士も、それを仰ぐと同時に
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たったそれだけの号令で、八五郎は
疾風
(
しっぷう
)
のように駆け出しました。
銭形平次捕物控:141 二枚の小判
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と見て典膳が、
疾風
(
しっぷう
)
のように土間から跳び出すと、一刀斎は
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
路地から二人の子分が
疾風
(
しっぷう
)
のごとく飛込んで来るのでした。
銭形平次捕物控:021 雪の精
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“疾風”の意味
《名詞》
疾 風(はやち、はやちかぜ、はやて、しっぷう)
急に激しく吹く風。
風速毎秒8.0~10.7メートルで、風力階級が5の風。
(出典:Wiktionary)
疾
常用漢字
中学
部首:⽧
10画
風
常用漢字
小2
部首:⾵
9画
“疾風”で始まる語句
疾風迅雷
疾風雲
疾風迅雷的
疾風陣
疾風吹雪
疾風電撃
疾風怒濤時代