“生唾”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
なまつば95.2%
なまつばき4.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
こういって、ジイと、どての上から見おろした。新吉は、何となく身がすくんで、これは、いよいよ容易なことではないと、生唾なまつばをのむ。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして彼らは、生唾なまつばをのむような沈黙にち、この対座の一瞬々々に双方の考えがずんずん遠ざかるような焦燥を感じだした。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
ある時の彼は町で買って来たビスケットの缶をひるになると開いた。そうして湯も水もまずに、硬くてもろいものをぼりぼりくだいては、生唾なまつばきの力で無理にくだした。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それでも胸の下の所には絶えず不安な自覚があった。ある時は変な顔をして苦しそうに生唾なまつばきみ込んだ。ちょうど彼の前に坐っていた「あの女」は、大阪言葉で彼に薬をやろうかと聞いた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)