生唾なまつばき)” の例文
ある時の彼は町で買って来たビスケットの缶をひるになると開いた。そうして湯も水もまずに、硬くてもろいものをぼりぼりくだいては、生唾なまつばきの力で無理にくだした。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それでも胸の下の所には絶えず不安な自覚があった。ある時は変な顔をして苦しそうに生唾なまつばきみ込んだ。ちょうど彼の前に坐っていた「あの女」は、大阪言葉で彼に薬をやろうかと聞いた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)