じん)” の例文
與へしかば藤八は押戴おしいたゞ重々ぢう/\有難き仕合なりとて宿役人倶々とも/″\介抱かいはうなせしに漸々やう/\氣の付ければしゆく役人同道にてすぐに吉原じゆく伊豆いづじん助方へいたり本陣の御沙汰を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つき下坐敷したざしきへは何處どこやらの工塲こうばの一れ、どんぶりたゝいてじん九かつぽれの大騷おほさはぎに大方おほかた女子おなご寄集よりあつまつて、れいの二かい小坐敷こざしきには結城ゆふきとおりき二人限ふたりぎりなり
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
けた、敗けた。どうも、今日は調子が悪い。じん公から、二枚落しで、四番も立ち投げを食うた」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
村の鎮守の、大樟おおくすのき頂辺てっぺんに、大きな国旗が、掲げられた。村の「木昇りのじんさん」が決死の覚悟で、危ないところの頂辺まであがって、その大旗おおはたを結びつけたのであった。
戦争雑記 (新字新仮名) / 徳永直(著)
「深川の顔役さんで、木場きばじんとおっしゃる人が、すっかりめんどうをみてくださいましたよ」
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ふみ投出なげだして嘆息たんそくしけるが、じんすけむかひてはなほさらかなしげに、姉樣ねえさまはあくまで吾助ごすけくみて、あれほど御覽ごらんれしうたに一たびのお返歌へんかもなく、あまつさへ貴君あなたにまで
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
て駿州木綿島村もめんじまむらへ十月十五日に着たりける然るにじん太夫は平常へいぜい痰持たんもちにて急にせりつめけるが三四日の内に思ひの外全快ぜんくわいし先常體つねていなれば夫婦は早速さつそく對面なせしに甚太夫は兩人が遠方ゑんぱうの所を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そのお方は、ふか川で名の売れた木場きばじんとおっしゃる顔役でございます
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
さりとて無情つれなくなげかへしもせねど、らきてみしやいなじんすけこたへぶりの果敢はかなさに、此度このたびこそとかきたるは、ながひろにあまりおもふでにあふれて、れながらくまでもまよものかと
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
半四郎と云此兄の半作は至つて穩當をんたう生質おひたちなれば是所謂惣領そうりやうの甚六とか云が如し然れども惣領のじん々々/\と世間にては馬鹿者ばかものの樣に云ども勿々なか/\にあらず既に諸侯にては御嫡子と稱し町人ならば家の跡取あととりまたざい家農家などにては遺跡ゐせき樣といふ惣領そうりやう遺跡ゐせきいふ道理もつともなりこれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
じんすけもとより吾助ごすけ贔負びいきにて、此男このをとこのこと一も十も成就じやうじゆさせたく、よろこかほたさの一しんに、これまでのふみ幾通いくつう人目ひとめれぬやうとヾこほりとヾけ、令孃ひめこヽろらず返事へんじをとめしが
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)