獅子しゝ)” の例文
はなさないでもおまへ大抵たいていつてるだらうけれどいま傘屋かさや奉公ほうこうするまへ矢張やつぱりれは角兵衞かくべゑ獅子しゝかぶつてあるいたのだからとうちしをれて
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たちま山岳さんがく鳴動めいどうし、黒烟こくゑん朦朧もうろう立昇たちのぼる、その黒烟こくゑん絶間たえまながめると、猛狒ゴリラ三頭さんとうとも微塵みじんになつてくだんだ、獅子しゝ大半たいはん打斃うちたをれた、途端とたん水兵すいへい
この靜かな聲は起ち上らうとする獅子しゝあへぎだつたから——「ジエィン、あなたはこの世で一方の途を行き、私には別の途を行かせようといふ積りなの?」
まがかたなく其處そこには、普通あたりまへはなよりも獅子しゝぱな酷似そつくりの、ひどくそッくりかへつたはながありました、また其眼そのめ赤子あかごにしては非常ひじようちひさすぎました、まつたあいちやんは
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
おとなしくそこに寐よ。「アヱ、マリア」を唱ふることを忘るな。人の眠る時は鬼の醒めたる時なり。十字をりて寐よ。この鐵壁をばたけ獅子しゝも越えずといふ。
僕は毎日の一瞬間、一瞬間が大切でたまらないのだ。この大陸の平原で太陽を浴びる火喰鳥、羚羊かもしかを追ひかける獅子しゝ、みんな出来合ひの日程で生きてゐるのではないんだ。
亜剌比亜人エルアフイ (新字旧仮名) / 犬養健(著)
この帶止おびどめはほそのような金絲きんしきんつぶでもつて獅子しゝかたちをつくり、それに寶石ほうせきをちりばめたこまかい細工さいくは、今日こんにちでもたやすく出來できないとおもはれるほどすぐれたものであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
老爺ぢいさけぶ、……それなるは、黄金こがねしやちかしらた、一個いつこ青面せいめん獅子しゝかしらけるがごと木彫きぼり名作めいさくやぐらあつして、のつしとあり。つのも、きばも、双六谷すごろくだに黒雲くろくもなかた、それであつた。……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
獅子しゝむなしきほらをいで
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
つゞいて飛込とびこまんとする獅子しゝ目掛めがけて、わたくし一發いつぱつドガン、水兵すいへい手鎗てやり突飛つきとばす、日出雄少年ひでをせうねん素早すばやをどらして、入口いりくちとびらをピシヤン。
何故つてあなたと云つたらまるで獅子しゝか、さもなければそんな風なものに變形してらつしやるのですもの。あなたはこのまはりの畑地の中のネブカドネザァルにまがひさうですわ。まつたくよ。
獅子しゝかしら
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたくし斷言だんげんする、わしごとたけく、獅子しゝごといさましき列國れつこく艦隊かんたい百千舳艫ひやくせんじくろならべてきたるとも、日章旗につしようきむかところおそらくば風靡ふうびせざるところはあるまいと。