トップ
>
片田舎
>
かたいなか
ふりがな文庫
“
片田舎
(
かたいなか
)” の例文
旧字:
片田舍
ロシアの
片田舎
(
かたいなか
)
のムジークの鈍重で
執拗
(
しつよう
)
な心持ちがわれわれ観客の心の中にしみじみとしみ込んで来るような気がしないことはない。
映画雑感(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
片田舎
(
かたいなか
)
の荒れ地へ追いやられ、ただ口先の
弁巧
(
べんこう
)
で、ぬらりくらり身を這い上げた
諂
(
へつら
)
い者が、
廟
(
びょう
)
に立ち、政治を私しているのではないか。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それに僕もお情けながら大学を卒業して文学士とか何とか肩書の付いてみれば国元のような
片田舎
(
かたいなか
)
では鬼の首を取ったように思うのです。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
もちろん、この
片田舎
(
かたいなか
)
の
草叢
(
くさむら
)
の中にまで風の
便
(
たよ
)
りに伝わって来るような流言にろくなことはない。しかし彼はそういう社会の空気を悲しんだ。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ジャン・ヴァルジャンは
片田舎
(
かたいなか
)
の
愚昧
(
ぐまい
)
なる一青年であった。彼は一片のパンを盗んだために、ついに十九年間の牢獄生活を送らねばならなかった。
レ・ミゼラブル:01 序
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
▼ もっと見る
水が生きている、という言葉は面白い言葉です、私が発明したのではありません、ある
片田舎
(
かたいなか
)
の子供が発明したのです。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
おなじ水で医者の内も
死絶
(
しにた
)
えた、さればかような美女が
片田舎
(
かたいなか
)
に生れたのも国が世がわり、
代
(
だい
)
がわりの前兆であろうと、土地のものは言い伝えた。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
または
片田舎
(
かたいなか
)
の伝承の一致は、ちっとも不思議でないばかりか、我々にとっては
譬
(
たと
)
えようもないなつかしさである。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
むかし
越後国
(
えちごのくに
)
松
(
まつ
)
の
山家
(
やまが
)
の
片田舎
(
かたいなか
)
に、おとうさんとおかあさんと
娘
(
むすめ
)
と、おやこ三
人
(
にん
)
住
(
す
)
んでいるうちがありました。
松山鏡
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
おばあさんのお
父
(
とう
)
さんという
人
(
ひと
)
は、こんなさびしい
片田舎
(
かたいなか
)
に
産
(
う
)
まれた
人
(
ひと
)
に
似
(
に
)
ず、
研究心
(
けんきゅうしん
)
の
深
(
ふか
)
い
人
(
ひと
)
でありました。
青いランプ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
……あたしの生活の
退屈
(
たいくつ
)
さ加減はお話にも何にもならないくらいよ。何しろ九州の
片田舎
(
かたいなか
)
でしょう。
文放古
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この広い家に年のいかないもの二人
限
(
きり
)
であるが、そこは
巡査
(
おまわり
)
さんも月に何度かしか回って来ないほどの
山間
(
やまあい
)
の
片田舎
(
かたいなか
)
だけに
長閑
(
のんき
)
なもので、二人は何の気も無く遊んでいるのである。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
或
(
あ
)
る
片田舎
(
かたいなか
)
に定住している老詩人が、
所謂
(
いわゆる
)
日本ルネサンスのとき到って脚光を浴び、その地方の教育会の
招聘
(
しょうへい
)
を受け、男女同権と題して試みたところの不思議な講演の速記録である。
男女同権
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「ここに、カリフォルニアの
片田舎
(
かたいなか
)
に、ひとりの少年がありました。その名を……」
街の子
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
その昔、
周防
(
すおう
)
の
片田舎
(
かたいなか
)
で医業を営み、一向に門前の繁昌しなかった田舎医者は、維新の風雲に乗じて、めきめきと頭角を現わし、このとき事実上の軍権をにぎっている
兵部大輔
(
ひょうぶたゆう
)
だった。
流行暗殺節
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
ぼくがこの
片田舎
(
かたいなか
)
のアイピング村へやってきたのは、だれにもじゃまされないで、思うように
研究
(
けんきゅう
)
をやりたいからなんだよ。
実験
(
じっけん
)
をやってる
最中
(
さいちゅう
)
にさまたげられると、たまらないからね。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
僅
(
わずか
)
の間に二人の父を失った彼女は、草深い
片田舎
(
かたいなか
)
に埋もれている気はなかった。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
嘗
(
かつ
)
て墨汁一滴か何かの中に、
独乙
(
ドイツ
)
では姉崎や、藤代が独乙語で演説をして
大喝采
(
だいかっさい
)
を博しているのに漱石は
倫敦
(
ロンドン
)
の
片田舎
(
かたいなか
)
の下宿に
燻
(
くすぶ
)
って、婆さんからいじめられていると云う様な事をかいた。
『吾輩は猫である』中篇自序
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただに
医者
(
いしゃ
)
として、
辺鄙
(
へんぴ
)
なる、
蒙昧
(
もうまい
)
なる
片田舎
(
かたいなか
)
に一
生
(
しょう
)
、
壜
(
びん
)
や、
蛭
(
ひる
)
や、
芥子粉
(
からしこ
)
だのを
弄
(
いじ
)
っているより
外
(
ほか
)
に、
何
(
なん
)
の
為
(
な
)
すことも
無
(
な
)
いのでしょうか、
詐欺
(
さぎ
)
、
愚鈍
(
ぐどん
)
、
卑劣漢
(
ひれつかん
)
、と一
所
(
しょ
)
になって、いやもう!
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
その中でのきわめて
辺鄙
(
へんぴ
)
な
片田舎
(
かたいなか
)
の
一隅
(
いちぐう
)
に押しやられて、ほとんど顧みる人もないような種類のものであるが、それだけにまた
自然界の縞模様
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
伊那南条村の
片田舎
(
かたいなか
)
から出て来て見た縫助にこの述懐があるばかりでなく、王政復古を迎えた日は、やがて万国交際の始まった日であったとは
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
玉江嬢はお登和嬢の説明を
頻
(
しきり
)
に感心し「なるほどそういう風にすればどんな
片田舎
(
かたいなか
)
でも山の中でもカステラやビスケット位出来ない事はありませんね」
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「どうして、この
片田舎
(
かたいなか
)
に、御赦免の後まで、お
在
(
い
)
でになろう」彼らは、そう聞くと、日ごとに庵へやって来て
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
むかし、ある
片田舎
(
かたいなか
)
の
村外
(
むらはず
)
れに、
八幡様
(
はちまんさま
)
のお宮がありまして、お宮のまわりは小さな森になっていました。
狸のお祭り
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
義朝
(
よしとも
)
の
奥方
(
おくがた
)
の
常盤御前
(
ときわごぜん
)
は、三
人
(
にん
)
の
子供
(
こども
)
を
連
(
つ
)
れて、
大和
(
やまと
)
の
国
(
くに
)
の
片田舎
(
かたいなか
)
にかくれていました。
牛若と弁慶
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
さびしい
片田舎
(
かたいなか
)
に、おじいさんとおばあさんが
住
(
す
)
んでいました。
片田舎にあった話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
今でも
片田舎
(
かたいなか
)
にはそれが多く見られる。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そうかと思うとどこかまたイギリスのノーザンバーランドへんの
偏僻
(
へんぺき
)
な
片田舎
(
かたいなか
)
の森や沼の間に生まれた夢物語であるような気もするのである。
小泉八雲秘稿画本「妖魔詩話」
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
間もなく岸本は節子からの
便
(
たよ
)
りを受取った。彼女は郡部にある
片田舎
(
かたいなか
)
の方へ行ったことを知らせてよこした。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ある
片田舎
(
かたいなか
)
の村に、ひょっこり一匹の
猿
(
さる
)
がやって来ました。非常に大きな年とった猿で、背中に赤い布をつけ、首に鈴をつけて、手に小さな
風呂敷包
(
ふろしきづつ
)
みを下げていました。
キンショキショキ
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
あんな
片田舎
(
かたいなか
)
で晩年を
埋
(
うず
)
もれてしまうような剣士で終りたくないのだ
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
都を離れし
片田舎
(
かたいなか
)
ながら村中にて指を折らるる大原の実家
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
文明の波が潮のように
片田舎
(
かたいなか
)
にも押し寄せて来て、固有の文化のなごりはたいてい流してしまった。「ナーンモーンデー」の儀式もいつのまにか廃止された。
田園雑感
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
節子はまた、罪過そのものも今はもう
懐
(
なつ
)
かしいという
面持
(
おももち
)
で、しばらく彼女がお産のために行っていたという
片田舎
(
かたいなか
)
の方へ、そこにある産婆の家の二階の方へ岸本の想像を誘うようにした。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ある
片田舎
(
かたいなか
)
の、山の
裾
(
すそ
)
にある小さな村に、右のことがどこからか伝わってきた時、子供達は眼をまんまるくしました。考えれば考えるほど、おもしろくておかしくてしようがありませんでした。
お山の爺さん
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
片田舎
(
かたいなか
)
の中学生で、さきざき高等学校から大学に進もうという志望をいだいているものにとっては、暑中休暇に帰省している先輩の言動はかなり影響のあるものである。
亮の追憶
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
馬籠
(
まごめ
)
のような狭い
片田舎
(
かたいなか
)
では半蔵の江戸行きのうわさが村のすみまでもすぐに知れ渡った。半蔵が幼少な時分からのことを知っていて、遠い旅を案じてくれる
乳母
(
うば
)
のおふきのような
婆
(
ばあ
)
さんもある。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
むかし、ギリシャの
片田舎
(
かたいなか
)
に、ケメトスという人がいました。
彗星の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そして東洋の日本の
片田舎
(
かたいなか
)
に育った子供の自分が、好奇心にみちた
憧憬
(
どうけい
)
の対象として、西洋というものを想像するときにいつも思い浮かべた幻像の一つであったあのヴェスヴィアスが
旅日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
片
常用漢字
小6
部首:⽚
4画
田
常用漢字
小1
部首:⽥
5画
舎
常用漢字
小5
部首:⼈
8画
“片田”で始まる語句
片田舍
片田