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ふりがな文庫
“
熄
(
や
)” の例文
宗厳も「道」を求めて
熄
(
や
)
まない。人生の道、兵法の道、禅の道、極まりのない道である。——おたがいに迷悟の定まらない者同士が
剣の四君子:02 柳生石舟斎
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
南洲等
力
(
つと
)
めて之を拒ぎ、事終に
熄
(
や
)
む。南洲人に
語
(
かた
)
つて曰ふ、七卿中他日
關白
(
くわんぱく
)
に任ぜらるゝ者は、必三條公ならんと、果して然りき。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
そしてその当座、昨日に変って、たとえ一時ではあったが、さしもの排日行為も、ピタリと
熄
(
や
)
んでしまったのは笑止であった。
私が張作霖を殺した
(新字新仮名)
/
河本大作
(著)
警官隊の激しい銃声もいつの間にか
熄
(
や
)
んでいた。暗黒の室内は、ほんの数秒であったが、一転して墓場のような静寂が訪れた。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
酒井
讃岐守忠勝
(
さぬきのかみただかつ
)
が浪人江戸払のことを発議し、阿部豊後守忠秋の反対論でその詮議は
熄
(
や
)
んだが、その翌日に養子法改正に関する法令を発し
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
▼ もっと見る
その
中
(
うち
)
に戦争は
熄
(
や
)
んだ。読者は最早露西亜や満洲の記事には飽き飽きした。二葉亭の熱心なる東露の産業の調査は益々新聞に向かなくなった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
夜が明けると昨夜の声は
熄
(
や
)
んでいた。あの
腸
(
はらわた
)
を絞る断末魔の声はまだ耳底に残っているようでもあったが、あたりは白々と朝の風が流れていた。
夏の花
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
また我は凡ての望みの
極
(
はて
)
に近づきゐたるがゆゑに、燃ゆる願ひおのづから心の中にて
熄
(
や
)
むをおぼえき 四六—四八
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
戦乱僅に
熄
(
や
)
んで四民多くは平和を望むの時なりければ、無邪気なる滑稽、野卑なる俳諧も当時の
嗜好
(
しこう
)
に合していたく世の持て
囃
(
はや
)
す所となり、
終
(
つい
)
には門末数十人
古池の句の弁
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
もし『孟子』にいうごとく「王者の
迹
(
あと
)
熄
(
や
)
みて詩亡び、詩亡びて
然
(
しか
)
る後に春秋
作
(
おこ
)
れり」(『孟子』離婁下)であるならば、孔子の時には詩は亡んでいたのである。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
然
(
しか
)
れども成すべき手段なし、則ちなしといえども、彼が成さんと欲する心は、
耿々
(
こうこう
)
として
須臾
(
しゅゆ
)
も
熄
(
や
)
まず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
類焼は五軒ばかりで
熄
(
や
)
んだが、風のひどかったせいか、火の燃え拡がる速力は不思議な程早かった。
恐ろしき錯誤
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
戦争中も
熄
(
や
)
まなかったストライキの波は、暴動的大衆行動にまでたかまってきた。「専制主義を倒せ」「戦争をやめろ」というスローガンの下に示威運動が続けられた。
労働者農民の国家とブルジョア地主の国家:ソヴェト同盟の国家体制と日本の国家体制
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
一言物を言ふだけで全ての思ひが足りるやうな、ひろい、さうして
熄
(
や
)
みがたい願ひであつた。
逃げたい心
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「直りますとも。こんなお顔に固定しちゃ大変です。
炎症
(
えんしょう
)
が
熄
(
や
)
めば腫れは直ぐに引きます」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「何をもって
謗
(
そしり
)
を
熄
(
や
)
むる、
曰
(
いわ
)
く
無弁
(
むべん
)
。何をもって
怨
(
うらみ
)
を
止
(
とど
)
むる、
曰
(
いわ
)
く争わず」
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
このとき
崑崙
(
こんろん
)
山上の大火はまだ
熄
(
や
)
んでいず、西の空の
端
(
はずれ
)
は真赤であった。
不周山
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
人心
(
ひとごころ
)
も無き六美女をいたわり慰めつ、笠を傾け、人馬を急がして行く程もなく筑前領に入り、
深江
(
ふかえ
)
といふに一泊し、翌暁まだ
熄
(
や
)
まぬ雪を
履
(
ふ
)
んで東する事又五里、此の姪の浜に来りて足をとゞめぬ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
用ゆる時は
鉄網
(
てつあみ
)
の上へ魚を載せて今のサラダ油とバターとを
更
(
かわ
)
る
更
(
がわ
)
る匙で
滴
(
たら
)
しながら火の
徹
(
とお
)
るように焼きます。もしや魚の
脂
(
あぶら
)
が火へ落ちて燃え上ったらば塩を少し火の中へ入れると燃えが
熄
(
や
)
みます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
即ち自ら郷土の哀歓を諷ひ、たゝへ、惜んで
熄
(
や
)
まざる所以である。
「東京恋慕帖」自序
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
「今さらお前は乞食だと云ったって、三日すれや
熄
(
や
)
められるか。」
旅愁
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
此墓石の処分といふことは、明治以後盛に東京府下に行れ、今に至つて猶
熄
(
や
)
むことなく、金石文字は日々湮滅して行くのである。わたくしに此重大なる事実を知る機会を与へたものは、彼捜索である。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ライナーの爆音が
熄
(
や
)
むと、ハムマーの連中も運転を止めた。
坑夫の子
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
袈裟がけの辻斬りは一向に
熄
(
や
)
まないうちに、年がかわった。
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そは、熱情はひととき持続し、やがて
熄
(
や
)
むなるに
山羊の歌
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
この炎は
熄
(
や
)
むことがない
原爆詩集
(新字新仮名)
/
峠三吉
(著)
バチバチと、凄まじい霧の中の音だったが——どうしたのか、その銃声も、一番手の
喊声
(
かんせい
)
も、間もなく、はたと
熄
(
や
)
んでしまったため
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして空になった洋盃を叩きつけるようにがちゃりと、卓上に置いたのである。——二人の私語ははたと
熄
(
や
)
んだ。
不思議なる空間断層
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
けだしこの際南北双方において募集したる兵は無慮百五十万に下らざりしかども、乱
熄
(
や
)
むののち数年を出でずしておのおのその常産に復し、兵丁の数は僅々たる定数に過ぎざるに至れり。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
祟
(
たた
)
りも
熄
(
や
)
むであろうと思うて、一存で
計
(
はか
)
らわれた事ではあるまいか。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「別間に、
膳部
(
ぜんぶ
)
をもうけさせておいた。はや、戦も
熄
(
や
)
んだこと、何しても、めでたいめでたい。ゆるりと、中食を喰べて戻られよ」
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのとき、ちょっと気がついたのは、たいへん冷い雨が顔に振りかかったことだが、大汗かいているときなので気持ちがよかった。この雨はまもなく
熄
(
や
)
んだ。
人間灰
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
とはいえ、もしこの曹操が出なかったら、国々の反乱はなお
熄
(
や
)
まず、かの袁術の如く、帝王を
僭称
(
せんしょう
)
するものが幾人も輩出したろう。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
◯昨日雪が降り出して夕方までに二三寸は積ったが、夜になると
熄
(
や
)
んだ。
海野十三敗戦日記
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
あらゆる方法のもとに、自分を害さずば
熄
(
や
)
まない状態にあることも
頷
(
うなず
)
けたのである。——なんで生きる工夫に
焦
(
あせ
)
ってみる余地があろう。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
非常管制の警報は、いつしか
熄
(
や
)
んでいた。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
喊声
(
かんせい
)
も、どよめきも、しいんと
熄
(
や
)
んでしまった。そして彼方此方の暗がりで、
洟
(
はな
)
をすする声がながれた。手放しで泣いている兵もあった。
日本名婦伝:谷干城夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やがて振動はぴたりと
熄
(
や
)
んだ。
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
昼間ほどではないが、相互の砲声はまだ
熄
(
や
)
まない。市街には数ヵ所から火災が起っている。鎮台側の諸所の防禦陣地にも火の手が望まれる。
日本名婦伝:谷干城夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
上皇の、この御一言に、うるさ
方
(
がた
)
の公卿
沙汰
(
ざた
)
も、一応は、
退
(
ひ
)
きさがったが、しかし陰性は、
即
(
そく
)
公卿性である。決して、
熄
(
や
)
んだわけではない。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
殺し合いと焼打ち騒ぎが
熄
(
や
)
んだのだ。——今日こそは飲むべかりけり、と
酌
(
く
)
みあい、差しあい、
泥鰌
(
どじょう
)
のように、酔いもつれた。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
世は
戦
(
いくさ
)
に次ぐ戦であった。
建武
(
けんむ
)
の平和もつかの間でしかなかった。
楠木正成
(
くすのきまさしげ
)
、弟
正氏
(
まさうじ
)
たち一族の
夥
(
おびただ
)
しい戦死が聞えた後も、乱は
熄
(
や
)
まなかった。
日本名婦伝:大楠公夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
武蔵は、
萌
(
も
)
え
出
(
いず
)
る植物の本能のように、体のうちから外へ向って
象
(
あら
)
われようとして
熄
(
や
)
まないものに、
卒然
(
そつぜん
)
と、筋肉がうずいてくるのを覚えた。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
戦
(
たたか
)
い
熄
(
や
)
んで、一かたまりになった時、雨も
熄
(
や
)
み、陽も照り、
濛々
(
もうもう
)
と、三千の武者いきれから白い湯気が立ちのぼっていた。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今日にかぎらず、この種の
啀
(
いが
)
みあいとなると、いつも血をみるまでは
熄
(
や
)
まなかった。だから近国の地頭や六波羅でさえ
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いま、世はなお戦乱の
熄
(
や
)
む日もないが、一人として、朝廷に対し奉って、大逆的な行為など振舞う
賊子
(
ぞくし
)
はないのである。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ひとしきりグッと前後不覚になったような乱れ寝息、それが
熄
(
や
)
むと
魂魄肉体
(
こんぱくにくたい
)
を抜けうせた如く昏々果てしもない麻酔の沼へ陥ち込んでいった様子。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夜半
(
よわ
)
の海鳴りと共に血の
燥
(
さわ
)
ぎの
熄
(
や
)
まない折はあっても、悲しいとか淋しいとか、今の身を観じたことは一度もなかった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そう努めれば努めるほど、何たる愚痴、心は
綿々
(
めんめん
)
と、声なき独り言を、
腐水
(
ふすい
)
の泡つぶのようにつぶやいて
熄
(
や
)
まない。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あだかも四面
鉄桶
(
てっとう
)
の乱軍を駆けくずし、その悉くを槍にかけて、宙に大地に、突き投げ突き伏せて
熄
(
や
)
まざるかのような大演技を演じて見せたのである。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
熄
漢検1級
部首:⽕
14画
“熄”を含む語句
終熄期
終熄
消熄