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煽
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おだ
ふりがな文庫
“
煽
(
おだ
)” の例文
お前は男だろうとか宗教家だろうとか
煽
(
おだ
)
て上げ、自分達を助けると思って白状して呉れと哀れみを乞うように云ったかも知れない。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
煽
(
おだ
)
て、ただ淡々として子供同志の間に、どんな騒動が持ち上がってもそれを風のように裁き、何事も尋常茶飯の間に扱っている。
盗難
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
それに、
義弟
(
おとうと
)
の菊次郎を始め、巴屋七平、江崎屋清五郎などは、滅茶滅茶に
煽
(
おだ
)
てて
費
(
つか
)
わせて、そのかすりを取ることばかり考えているんだ
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そいつを
煽
(
おだ
)
ててうまく入場券を寄附させたから、どうだドン・ホルヘ、一つ日曜日の大闘牛へ行ってみないか、というのである。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
壮漢は
斯様
(
このよう
)
におどかしといてさて言葉を幾分柔らげて、その大野貝は今うまいから沢山拾って行くがよいと
煽
(
おだ
)
てて行って了った。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
「そう、まア、恋人ね。御免なさい。ちょっと今夜はいたずらがしたくって、あなたを
煽
(
おだ
)
ててみたかったの。もう直き来てよ。」
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「
冗談
(
じょうだん
)
じゃねえ、
煽
(
おだ
)
てに乗るも大概がいい、その高札へお前、指でも差そうものなら、大変なことになるぜ、引込んでいなせえ、いなせえ」
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その癖、出会えば女乞食は今は全く態度を
革
(
あらた
)
めて、わたくしに
阿
(
おも
)
ねるような媚びるような、また
煽
(
おだ
)
て上げるような所作をして
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
わたくしを
煽
(
おだ
)
てないでください、
剣呑
(
けんのん
)
でございますよ……あけっぱなしというところまでは、ちょっと当人のわたくしも、行き着きかねますて。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
幸子と違って現代式にチャッカリしている妙子は、こう云う場合にちょっとぐらい
煽
(
おだ
)
てられてもそうやすやすと財布の
紐
(
ひも
)
を緩めない方であった。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
妻はわたしの感じを見抜いてしまっていて、わたしを例によって調子にのって
煽
(
おだ
)
てられたのだと
甚
(
はなだ
)
だ不きげんなのです。
オカアサン
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
「案外好人物ですよ。金持のお坊っちゃんですから、皆に
煽
(
おだ
)
てられて威張るんです。谷君は佐伯君の
腰巾着
(
こしぎんちゃく
)
です」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
煽
(
おだ
)
てに乗って張魯はたちまち力を得、かねての野望を達せんと、漢中軍をもって
葭萌関
(
かぼうかん
)
へ攻めかかりました
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「阿古十郎さん、
煽
(
おだ
)
てるわけじゃありませんよ、決して、煽てるわけじゃありませんが、あなたは凄い」
顎十郎捕物帳:03 都鳥
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「このあいだの仕事はありゃすこし器用すぎる。自分が
煽
(
おだ
)
てておいてまた説諭して帰したじゃないか」
渡良瀬川
(新字新仮名)
/
大鹿卓
(著)
そんなことがちらちらと
噂
(
うわさ
)
に立つと、綾之助の高座へ
悪戯
(
いたずら
)
をするものが出来た。石井氏の名を知って
害
(
あや
)
めようとする者などもあった。養母の鶴勝を
煽
(
おだ
)
てるものもあった。
竹本綾之助
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
たとい悪意からでないにしろ、一種の好奇心から彼等が
煽
(
おだ
)
ててることを、周平はよく見て取っていた。そして、その底にはまだ他に何かあることも、よく感づいていた。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
せば
猾智
(
かつち
)
狡才
(
かうさい
)
賄賂を取るにあらねば其の周旋人を
煽
(
おだ
)
てる
公事師
(
くじし
)
とならずば小股をすくふ
才取
(
さいとり
)
。
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
と
煽
(
おだ
)
ててやった。「都に行くとお前は宝石店の飾り窓に
七宝
(
しっぽう
)
の
翅
(
はね
)
をもった黄金の玉虫を見出すであろう。マーメイドの恋人の愛をつなぎたかったら宝石店の玉虫を送り給え。」
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
「とにかく、その深井とかいう俳優がその場合にせっかく持った真人間らしい考えを、劇評家の
煽
(
おだ
)
てでなくさせてしまい、うかうかとまた調子づいて行っちゃア困ります、な」
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
一座は
固唾
(
かたず
)
をのんでしまった。それはいままでのような
煽
(
おだ
)
て半分の感嘆ではなかった。それは、料理といったような、人間として武士としての末技に対する感嘆ではなかった。
仇討三態
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
若い連中は
煽
(
おだ
)
てた。煽てる内心には、兵をひどい目に合わせて嘲笑してやるつもりである。
あまり者
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
「よし、よし」見ている人達は、仲裁するのか、ほめるのか、それとも
煽
(
おだ
)
てるのかしらん。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
彼らは何日間も男や女の
後
(
あと
)
をつけてみたり、町角や木戸口に寒い雨の降る晩数時間立番をしてみたり、小僧に金を握らしたり、辻馬車屋や徒僕を
煽
(
おだ
)
てたり、女中を買収したり
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
貴君
(
あなた
)
は少し何だが、御子息はどうして中々のものだ、末恐しい俊童だ、精一杯念入にお育てなさるがいゝ、などと口を極めて
煽
(
おだ
)
てるので、人の好い父は全くその氣になつてしまひ
古い村
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
などと
煽
(
おだ
)
て上げ、天下の愚夫愚婦から、相当な金額を絞り取り、下らぬ本を作ってはそれをまた高く売付けるという・話にも何にもならない・仕掛にかかったに違いないのである。
狼疾記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
相変わらず
如才
(
じょさい
)
ねえことを云って、ひとを
煽
(
おだ
)
てちゃあいけねえ。堅気になってもう十年、めっきり老い込んでしまった甚右衛門が、売り出しのお前さん達に何の指図が出来るもんか。
半七捕物帳:46 十五夜御用心
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この問題にくらべると、他のことはすべて、どれもこれも、
些々
(
ささ
)
たり
眇
(
びょう
)
たることに過ぎない。阿賀妻などのことは吹けば飛ぶ問題だ。
煽
(
おだ
)
てあげ喜ばせて開拓の方針に沿わすればよい。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
尺八の稽古といえば、そのころ村に
老人
(
としより
)
がいまして、自己流の尺八を吹いていましたのを村の若い者が
煽
(
おだ
)
てて大先生のようにいいふらし、ついに私もその弟子分になったのでございます。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
煽
(
おだ
)
て好きで、理窟屋の象山は、鉄砲打の術も理窟の上ではなかなか
精
(
くは
)
しかつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そして見得を張り又人々から
煽
(
おだ
)
てられたり、せられたいため札ビラを切る。
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
指
(
ゆびさ
)
すところをじっと見守っていると、底の水苔を味噌汁のように
煽
(
おだ
)
てて、幽かな色の、小さな鮒子がむらむらと浮き上る。上へ出てくるにつれて、幻から
現
(
うつつ
)
へ覚めるように、順々に小黒い色になる。
千鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
ゆえに
卑怯
(
ひきょう
)
者もたくさんあったが、何ごとなりとも命令を受くると、人が
居
(
お
)
ろうと居るまいとを問わず、神のためと思ってその任務を果たすことにつとめた。しかるに日本兵は
煽
(
おだ
)
てなければ働かない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「何だらう、山師を
煽
(
おだ
)
てて又一儲けしようてんだらう」
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
その持ち上げ方には
煽
(
おだ
)
てるような趣きがある。
茂吉の一面
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
彼も
煽
(
おだ
)
てられすぎて、
些
(
すこ
)
してれてゐたのだ。
大凶の籤
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
「そんなに
煽
(
おだ
)
てると今度は踊りたくなるぞ」
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「や! こいつ、
煽
(
おだ
)
てやがる。」
口笛を吹く武士
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
えもいへぬ風は折々私を
煽
(
おだ
)
てた。
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
それに、義弟の菊次郎を始め、
巴屋
(
ともゑや
)
七平、江崎屋清五郎などは、滅茶滅茶に
煽
(
おだ
)
てて
費
(
つか
)
はせて、そのかすりを取ることばかり考へて居るんだ
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「それみよ。」と秋三は
煽
(
おだ
)
てて云って、勘次の額に現れ始めた怒りの条を見れば見る程、ますます軽快に皮肉の言葉が流れそうに思われた。
南北
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
さんざん人を
煽
(
おだ
)
てておいて、この
暴風雨
(
あらし
)
になると、みんなわたしにかずけて、
人身御供
(
ひとみごくう
)
に海へ沈んでくれとはよく出来た。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
出世したさに上役へ
賄賂
(
わいろ
)
を贈り
饗応
(
きょうおう
)
をする、しかもそれが他人から借りた金だし、その金のために婚約をしながら、うまくおれを
煽
(
おだ
)
てて娘を押付け
恋の伝七郎
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と例によって寛一君が
傍
(
はた
)
から
煽
(
おだ
)
て上げる。新太郎君にぐらつかれると洋行の方が模様替えになるから一生懸命だ。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「そいつあ、面白えな。色魔だな。うまく
煽
(
おだ
)
てて石膏の一つも売りつけてやれ。売りつけねえと承知しねえぞ」
百喩経
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
……近来、叔父の
煽
(
おだ
)
てもきかなくなって、久しく物のかたちをしたのも咽喉を通さなかった。
顎十郎捕物帳:16 菊香水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
それが仲間内から、若いのに名人だとか、上手だとか、
煽
(
おだ
)
てられておるだけに、こんどのような場合には、いやでも、
人優
(
ひとすぐ
)
れた腕をみせなければ、この村にもいたたまれまい。
銀河まつり
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
取り出さうとするには、自分で自分に
愛相
(
あいさう
)
が尽きて、あとで胸が悪くなる位のことをいはなくつちや、何の
効目
(
ききめ
)
があるものか。むかうから
煽
(
おだ
)
てられて、いゝ気になつてゐるなぞ若い、若い。
茶話:07 大正十四(一九二五)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
然
(
しか
)
しそんなことは、私は何の
気懸
(
きがか
)
りもなかった。級長の上野が、私より学力が劣っていてどうだとか、なんて云って私を
煽
(
おだ
)
てる同級生もいたのだが、私にはそんなことはどうでもよかった。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
下宿の老婆を
煽
(
おだ
)
てて
家
(
うち
)
じゅうから買物の
空箱
(
あきばこ
)
やら、クリイニングから洋服を入れてくるボウル紙の箱や何かをありったけ徴収し、それへ手当り次第に放り込んだのを糸で縛ってタキシへ投げ入れ
踊る地平線:12 海のモザイク
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
煽
漢検準1級
部首:⽕
14画
“煽”を含む語句
煽動
一煽
煽情的
煽立
煽飲
煽動家
煽情
吹煽
煽切
煽起
煽風器
煽動者
煽動的
煽風機
煽付
煽賞
大煽
皷煽
鼓舞煽動