うづま)” の例文
やかた屋根やねうづまいてかゝりますと、晝間ひるま寢床ねどこ——仙人せんにんよるはいつでも一睡いつすゐもしないのです、夜分やぶんたふうへあがつて、つきひざまづき、ほしをがんで
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼怒りをふくみてかく我にいへるをきける時我は今もわが記憶にうづまくばかりの恥をおぼえて彼の方にむかへり 一三三—一三五
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
やがてBはすさまじい蒙古風が屋根に当り四辻に吼えヹランダにうづまくのを見た。街路樹の楊柳が枝も幹も地につくまでにたわわに振り動かされてゐるのを見た。
(新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
肩にうづまくかち色の
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
すさまじいあられおと八方はつぱうから亂打みだれうつや、大屋根おほやねいしもから/\ところげさうで、くもうづまかげはひつて、洋燈ランプかさくらつた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
中央ちうあう木目もくめからうづまいてるのが、いけ小波さゝなみのひた/\とするおとなかに、となり納屋なやいしひゞきまじつて、しげつた擦合すれあふやうで、たとへば時雨しぐれるやうで
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これから推上おしあがらうとふのに一呼吸ひといきつくらしく、フトまると、なかでも不精ぶせうらしいみのすそながいのが、くものやうにうづまいただんしたの、大木たいぼくえんじゆみき恁懸よりかゝつて、ごそりと身動みうごきをしたとおもへ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あらうことか、奧方おくがたうづまきかゝる湯氣ゆげなかで、芝居しばゐ繪比羅ゑびらほゝをつけた。
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一団のけぶりが急にうづまいて出るのを、つかんで投げんと欲するごとく、婆さんは手をった。風があたって、ぱっとする下火の影に、その髪は白く、顔は赤い。黄昏たそがれの色は一面に裏山をめて庭にかかれり。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うづまいて寄する風の音、遠きかたよりうなり来て、どっと満山にうちあたる。
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
が、おなしたさきれた、とおもふとしぼつてづるのやうななみだとゝもに、ほろり、とさいちた。たなごゝろわするゝばかりこゝろめて握占にぎりしめたときはなうづまくやうに製作せいさくきよういた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)