期限きげん)” の例文
そこで父と衝突しようとつだ。父はもう期限きげんが來たからと謂ツてやかましく義務の實行を督促とくそくする、周三は其様な義務を擔はせられた覺は無いとかぶり振通ふりとほす。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
しやにお約束やくそく期限きげんはせまるし、……じつ十五夜めいげつまへばんあたり、仕事しごとにかゝらうとおもつたのである。ところが、あさからのりで、れると警報けいはう暴風雨ばうふううである。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いよいよ、約束やくそくした期限きげんがきれて、悪魔あくまがむすめをつれていく日がきました。むすめはからだをきれいにあらって、チョークでじぶんのまわりにひとすじのをかきました。
それを見込みこみて石之助いしのすけ今宵こよひ期限きげん借金しやくきん御座ござる、ひとけにちてはんたるもあれば、花見はなみのむしろに狂風けうふうぢん破落戸仲間ごろつきなかまものらねば此納このおさまりむづかしく
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
証文しょうもん期限きげんが切れたあくる日——この金はこの季節きせつの花の売り上げでしはらわれるはずであったから——全身まっ黒な服装ふくそうをした一人の紳士しんしがうちへ来て、いんをおした紙をわたした。
先刻より五兵衞へ尋問中たづねちうはらの中にて種々いろ/\考へ置し故文右衞門方より五ヶ月限りに受出うけいだすべき對談たいだんゆゑ其意に任せ約定仕つり候事に御座候も是なく候へば御定法通ごぢやうはふどほり八ヶ月の期限きげんに御座候と云ければ越前守殿微笑ほゝゑまれ然らば文右衞門は餘程物好ものずきと見えるしち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ぐわつすゑよりなれば此月このつきうでも約束やくそく期限きげんなれど、此中このなかにてなんとなるべきぞ、ひたいあはせて談合だんがうつま人仕事ひとしごと指先ゆびさきよりいだして拾錢じつせんかせぎもらず、三すけかするとも甲斐かひなし
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その金額きんがくは十五年の年賦ねんぷで、毎年しはらうはずであった。その男はしかもこの植木屋が支払しはらいの期限きげんをおくらせて、おかげで土地も家も材料までも自分の手に取り返す機会きかいばかりをねらっていた。
ときなるかな松澤まつざははさるとし商法上しやうはふじやう都合つがふ新田につたより一時いちじれし二千許にせんばかりかねことしはすで期限きげんながら一兩年いちりやうねんひきつゞきての不景氣ふけいき流石さすが老舖しにせ手元てもとゆたかならずこと織元おりもとそのほかにも仕拂しはらふべきかねいとおほければ新田につた親族しんぞく間柄あひだがらなりかつ是迄これまでかたよりたてかへしぶんすくなからねばよもや事情じじやううちあけて延期えんき
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)