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方便
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ほうべん
ふりがな文庫
“
方便
(
ほうべん
)” の例文
頼光
(
らいこう
)
はさっそく
綱
(
つな
)
にいいつけて、さっき
神様
(
かみさま
)
から
頂
(
いただ
)
いた「
神
(
かみ
)
の
方便
(
ほうべん
)
鬼
(
おに
)
の
毒酒
(
どくざけ
)
」を
出
(
だ
)
して、
酒呑童子
(
しゅてんどうじ
)
の
大杯
(
おおさかずき
)
になみなみとつぎました。
大江山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
こう思うと、われわれの
平生
(
へいぜい
)
は、ただ
方便
(
ほうべん
)
を
主
(
しゅ
)
とすることばかりおおくて、かえってこの花前に
気恥
(
きは
)
ずかしいような感じもする。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
が、この
娘
(
こ
)
としてはそうした
方便
(
ほうべん
)
の
必要
(
ひつよう
)
は
毛頭
(
もうとう
)
なく、もともと
純潔
(
じゅんけつ
)
な
小供
(
こども
)
の
修行
(
しゅぎょう
)
には、
最初
(
さいしょ
)
から
幽界
(
ゆうかい
)
の
現実
(
げんじつ
)
に
目覚
(
めざ
)
めさせるに
限
(
かぎ
)
るのじゃ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
かれをやぶってかれの
毒手
(
どくしゅ
)
に
同志
(
どうし
)
のひとりを
渡
(
わた
)
さなければ、それでいい。つまりここで
徳川家
(
とくがわけ
)
の
代表者
(
だいひょうしゃ
)
とあらそうのはその
方便
(
ほうべん
)
でしかないわけだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
教育と
名
(
なづ
)
くる汽車がかかって、理性の
楷段
(
かいだん
)
を自由に上下する
方便
(
ほうべん
)
が開けないと、御互の
考
(
かんがえ
)
は御互に分らない。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
そ、その
料簡
(
りょうけん
)
がいけねえんだ。
腹
(
はら
)
にあろうがなかろうが、
武士
(
ぶし
)
は
戦略
(
せんりゃく
)
、
坊主
(
ぼうず
)
は
方便
(
ほうべん
)
、
時
(
とき
)
と
場合
(
ばあい
)
じゃ、
人
(
ひと
)
の
寝首
(
ねくび
)
をかくことさえあろうじゃねえか。——さ、ここに
筆
(
ふで
)
と
紙
(
かみ
)
がある。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
偶
(
たまた
)
ま
以
(
もっ
)
て一旧臣の
為
(
た
)
めに富貴を得せしむるの
方便
(
ほうべん
)
となりたる
姿
(
すがた
)
にては、たといその
富貴
(
ふうき
)
は
自
(
みず
)
から求めずして天外より
授
(
さず
)
けられたるにもせよ、
三河武士
(
みかわぶし
)
の末流たる徳川一類の身として考うれば
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
見れば世の中には不可思議無量の事なしと言い
難
(
がた
)
し
殊
(
こと
)
に
仏家
(
ぶっか
)
の書には奇異の事を
出
(
いだ
)
し
之
(
これ
)
を
方便
(
ほうべん
)
となし
神通
(
じんつう
)
となして
衆生
(
しゅじょう
)
を
済度
(
さいど
)
の
法
(
のり
)
とせり
是
(
こ
)
の篇に説く所の怪事も
亦
(
また
)
凡夫
(
ぼんぷ
)
の迷いを示して凡夫の迷いを
怪談牡丹灯籠:02 序
(新字新仮名)
/
総生寛
(著)
その
科人
(
とがにん
)
と知りながら、こうまでつくしてくれるであろう? いまの言葉によれば、自分を思っていてくれる——とのことだが、もしそれが父の十手の
鋭鋒
(
えいほう
)
を
鈍
(
にぶ
)
らすための、単なる一時の
方便
(
ほうべん
)
でなく
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
これも人を救う
方便
(
ほうべん
)
じゃから
明日
(
あす
)
国王に対し偽りをいうてはどうか
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
先刻
(
せんこく
)
そなたは三
途
(
ず
)
の
川
(
かわ
)
や、
閻魔様
(
えんまさま
)
の
事
(
こと
)
を
考
(
かんが
)
えていたらしいが、あれは
仏者
(
ぶっしゃ
)
の
方便
(
ほうべん
)
である。
嘘
(
うそ
)
でもないが
又
(
また
)
事実
(
じじつ
)
でもない。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
朝
(
あした
)
に法を聴き、
夕
(
ゆうべ
)
に道を聴き、
梧前灯下
(
ごぜんとうか
)
に書巻を手にするのは皆この
自証
(
じしょう
)
を
挑撥
(
ちょうはつ
)
するの
方便
(
ほうべん
)
の
具
(
ぐ
)
に過ぎぬ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
要するに、僧正の生活は、
方便
(
ほうべん
)
に従っているものだろう。また、親ゆずりの横着者ともいえなくはない。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それを
見
(
み
)
ると、
酒呑童子
(
しゅてんどうじ
)
も、
手下
(
てした
)
の
鬼
(
おに
)
たちも、おもしろそうに
笑
(
わら
)
いながら、すすめられるままに、「
神
(
かみ
)
の
方便
(
ほうべん
)
鬼
(
おに
)
の
毒酒
(
どくざけ
)
」をぐいぐい
引
(
ひ
)
き
受
(
う
)
けて、いくらでも
飲
(
の
)
みました。
大江山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
... 私は及ばずながら善財童子の跡に
倣
(
なろ
)
うてこの修行に出掛けてかくもお尋ね致した訳でござる」とこういうと「私の
衆生済度
(
しゅじょうさいど
)
の
方便
(
ほうべん
)
は唯一である。その唯一の方法は
大解脱経
(
だいげだつきょう
)
というお経に依ってやって居るのである。」
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
むろん
人間
(
にんげん
)
には、
賢愚
(
けんぐ
)
、
善悪
(
ぜんあく
)
、
大小
(
だいしょう
)
、
高下
(
こうげ
)
、さまざまの
等差
(
とうさ
)
があるので、
仏教
(
ぶっきょう
)
の
方便
(
ほうべん
)
も
穴勝
(
あながち
)
悪
(
わる
)
いものでもなく、
迷
(
まよ
)
いの
深
(
ふか
)
い
者
(
もの
)
、
判
(
わか
)
りのわるい
者
(
もの
)
には
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
俗諺
(
ぞくげん
)
にも——仏者の嘘を
方便
(
ほうべん
)
といい、武門の変を戦略という、とか申します。——変には変をもって応じ、真っ向に乗ってゆくこと、かえすがえす厳禁です。毛利方を
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わたくしどものこのお
酒
(
さけ
)
は、「
神
(
かみ
)
の
方便
(
ほうべん
)
鬼
(
おに
)
の
毒酒
(
どくざけ
)
」という
不思議
(
ふしぎ
)
なお
酒
(
さけ
)
で、
人間
(
にんげん
)
が
飲
(
の
)
めば
体
(
からだ
)
が
軽
(
かる
)
くなって
力
(
ちから
)
がましますが、
鬼
(
おに
)
が
飲
(
の
)
めば
体
(
からだ
)
がしびれて、
通力
(
つうりき
)
がなくなってしまって、
切
(
き
)
られても
大江山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
もし善意をもって
蒟蒻
(
こんにゃく
)
問答的
(
もんどうてき
)
に解釈してやれば主人は
見性自覚
(
けんしょうじかく
)
の
方便
(
ほうべん
)
としてかように鏡を相手にいろいろな
仕草
(
しぐさ
)
を演じているのかも知れない。すべて人間の研究と云うものは自己を研究するのである。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
学ぶ
方便
(
ほうべん
)
をして
戴
(
いただ
)
きたい
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
人が
方便
(
ほうべん
)
に白い歯を見せていれば——。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“方便”の意味
《名詞》
方 便(たずき, たつき, たどき, ほうべん)
(ほうべん)
(たずき, たつき, たどき)生活の手段。
(出典:Wiktionary)
“方便”の解説
方便(ほうべん)には、次の3つの意味がある。
仏教において、衆生を教え導く巧みな手段や、真実の教法に誘い入れるために仮に設けた教えを意味する仏教用語。本記事で詳述。
目的のために利用する便宜の手段。手立て。「嘘も方便」などの用法がある。
都合のよいさま。多くは「御方便」という形で用いられる。
(出典:Wikipedia)
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
便
常用漢字
小4
部首:⼈
9画
“方便”で始まる語句
方便門
方便破壊競生怨