斬殺きりころ)” の例文
奥様が亡くなった所から手がついて妾と成ったが今のお國で、源次郎と不義をはたらき、恩ある主人の飯島を斬殺きりころし、有金ありがね二百六十両に
ある夜、この小夜の中山にて山賊でて恋慕し、したがはざるによりて斬殺きりころし、衣裳をはぎ取り行方ゆくえ無し。
小夜の中山夜啼石 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
斬殺きりころし後日に知ざる樣くびを切落し取かくし置たる由有體ありていに白状せよと云ければ九助は首を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
バルタ いや、ぼくきませぬ。主人しゅじんわたくしをばはやんだとのみおもうてをられます。しも此處こゝとゞまって樣子やうすなどうかゞはうならば、斬殺きりころしてのけうと、おそろしい見脈けんみゃくおどされました。
それめたといふのであつたらう、忽ちに手対てむかふ者を討殺うちころし、七八さうの船に積載した財貨三千余端を掠奪し、かよわい妻子を無漸むざんにも斬殺きりころしてしまつたのが、同月十九日の事であつた。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
事件の性質がどうあろうと、お三根はむごたらしく斬殺きりころされて冷たいむくろとなって隣室によこたわっているんだし、部下の川内警部は足を斬られて、げんに足をひいてうしろからついてくる。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
或時あるときにね、カンタイといふ人が、孔子様を憎んで、をの斬殺きりころさうとしたのさ。所が孔子様は、(天、徳をわれせり、カンタイわれ奈何いかん。)とおつしやつて、泰然自若としてすわつていらしたんだ。
愚助大和尚 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
山「さア/\今度は私に遣らしてくれ、可愛かあいい忰が不便ふびんの死を遂げたも此奴こいつの為、また娘を斬殺きりころしたのも此奴のわざ、此奴め/\」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
土の下から発見されたのは若い女房の死骸であつた。女はむごたらしく斬殺きりころされてゐたが、その死骸のそばには生れたばかりの男のが泣いてゐた。その赤児の口には飴をふくませてあつた。
小夜の中山夜啼石 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
致さぬもの今犬めが餘り吼付ほえつきし故つひ拔討ぬきうち斬殺きりころしけるが其血汐の付たる者ならんと云ひて周章あわたゞしく其まゝに別れ候ひし由尤も病氣にて弟の見送みおくりもいたさぬ長庵が然樣さやう始末しまつ甚だ以てあやしく存じ候まゝ何卒なにとぞ忠兵衞へ御尋ねの上長庵を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
と云われて、そんならばと庚申塚に身を潜め、多助の帰りを待受けて斬殺きりころす了簡になりましたが、誠に不届な奴でございます。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
橋場の別荘へ置きました処が、盗賊が這入りまして斬殺きりころされ、いまだに死骸が知れませんので、尤も其の筋へお届けには成って居りますが
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
巡「大方妾のおりゅうとお駒と申す少女むすめを辱かしめたる上に斬殺きりころし、死骸は河の中へほうり込んで、舟で逃げたものだろう」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それから君はおかみさんが邪魔になるものだから殺して置いて、盗賊どろぼう斬殺きりころしたというのだろう、そうでしょう/\
貴方にお恵みを受けました親父ちゝ庄左衞門は桜の馬場で何者とも知れず斬殺きりころされましたことは御存じございますまい
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
其奴そいつひどい奴で、重役の渡邊織江様を斬殺きりころしたんで、其の子が跡を追掛おっかけて行くと、旨く言いくろめて、だまして到頭連出して、何とかいう所だっけ、然う/\
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
老「で、そのお瀧と申すものは慥に賊に斬殺きりころされ川の中へはまりまして、いまだに死骸も知れませんか」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
若侍はすぐと立派にとゞめを刺して、血刀ちがたなふるいながら藤新の店頭みせさき立帰たちかえりましたが、もとより斬殺きりころす料簡でございましたから、ちっとも動ずる気色もなく、我が下郎に向い
又因縁でしょうを引きますというは仏説でございますが、深見新左衞門が斬殺きりころした宗悦の娘お園に、新左衞門のせがれ新五郎が惚れると云うはどういう訳でございましょうか
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
誠にうなれア浮びます助かりますとよろこんだじゃアなえか、それに又旦那様ア斬殺きりころされたというのも、はええ話が一角という奴がおめえに惚れていたのを此方こっち嫁付かたづいたから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
親の慈悲だからまだしも此の畳の上で、お父さまの形見の脇差で斬殺きりころして遣るから、有難ありがてえと思っておっんでしまえ……ヤア、おっ死んでしまえ……ヤア、おっ死んでしまえ
翌朝になると髪結の長次が斬殺きりころされて居るというので、女房が紀伊國屋へ泣声で参り
といううち勇助は遂に船まで泳ぎ附けこべりへ手を掛けて船をあがろうとしましたが、上ってまいればたちまちに勇助のために斬殺きりころされますので、丈助がさびた一刀を引抜き、勇助の頭脳あたま割附わりつける。
狗畜生いぬちくしょう、やい手前はな父を討ったに相違ない、手前は召使めしつかいの菊を殺し、又家来林藏も斬殺きりころし、其の上ならず不義密通だと云って宿やどへ死骸を下げたが、其の前々まえ/\菊が悪事の段々を細かに書いて
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
成程己はわずかなお給金を戴いて飯炊をしてえるからッて、飯せえ焦がさねえようにしていればえというもんじゃアあんめえ、当家うちへ泥坊が這入へいってお内儀様かみさん斬殺きりころしても、己が飯炊だからって
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私はちいさし姉さんも年がきませんし、ほか致方いたしかたがございませんで、伯父さんが此方こっちへ引取ろうと云って、信州白島の伯父さんの厄介に成って居りまするうちに、姉さんが又市の為に斬殺きりころされました
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
三年あとに信州の葉広山とか村とかいう処で悪い事をして斬殺きりころされたと聞きましたが、それとは知らず一旦亭主にしましたから、わたしは馬鹿が夫を待つというたとえの通り、もう帰るかと待って居りましたが
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
其のいえに泊ったのが運の尽き、道連れの小平という悪者が丹治を斬殺きりころしました、尤も丹治もおかく婆と同類の仁助とを殺しましたから、其のひまに私は死物狂い、どうかして落延びようと思いましたが
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
母親は親父が斬殺きりころしたと聞きまして少しのぼせたものか
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)