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抜刀
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ぬきみ
ふりがな文庫
“
抜刀
(
ぬきみ
)” の例文
旧字:
拔刀
と
抜刀
(
ぬきみ
)
の両人、文治の
後
(
うしろ
)
より鋭く切掛けました。其の時早く文治は前に押えた腕を
捩上
(
ねじあ
)
げ、同役
二人
(
ににん
)
が
振下
(
ふりおろ
)
す刀の下へ突付けました。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
他
(
ほか
)
の者も、総て
抜刀
(
ぬきみ
)
を引っ
提
(
さ
)
げているのだ。どの顔も皆、
眦
(
まなじり
)
をつりあげ、
革襷
(
かわだすき
)
をかけ、
股立
(
ももだち
)
を
括
(
くく
)
って、尋常な血相ではなかった。
夕顔の門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
提灯こそ提げているが、手に
抜刀
(
ぬきみ
)
を携えている事の
体
(
てい
)
が尋常でない。そこで
誰何
(
すいか
)
してみたその人は、元の駒井能登守であった。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「いや、此ままでは、大井久我之助様もお気がお済みになるまい、
抜刀
(
ぬきみ
)
で脅かされた私も、町人ながら諦め切れません」
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
傍
(
かたわら
)
とも云ふまい。片あかりして、
冷
(
つめた
)
く薄暗い、其の
襖際
(
ふすまぎわ
)
から、氷のやうな
抜刀
(
ぬきみ
)
を提げて、ぬつと出た、身の
丈
(
たけ
)
抜群な男がある。
唯
(
と
)
、
間
(
なか
)
二三
尺
(
じゃく
)
隔てたばかりで、ハタと藤の局と
面
(
おもて
)
を合せた。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
喬之助は、春の野に蝶を追うような様子で、フラフラと
泳
(
およ
)
ぐように、前へ出て来た。パラリ、結び目の解けた手拭の
端
(
はし
)
を口にくわえて、やはり、
右手
(
めて
)
にはだらりと
抜刀
(
ぬきみ
)
を
提
(
さ
)
げている。
虚
(
うつ
)
ろな
表情
(
かお
)
だ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
胡麻の灰道連の小平と仁助に会って土足に掛けられ、
抜刀
(
ぬきみ
)
を突付けて、さア金を出さなければ殺すぞと云うので、多助は青くなり
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「かなり出来ている男にはちがいない。坂の下で、こう
抜刀
(
ぬきみ
)
を
提
(
さ
)
げて、ぐっと前へ寄って来られた時は、おれですら嫌な気持がしたからな」
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
綱の端は舞台の上を通って楽屋の二階の
梁
(
はり
)
に結ばれたものですが、その梁のところの結び目に、
抜刀
(
ぬきみ
)
の匕首を挟んであったそうで、綱の上に乗って、いろいろの芸をしたお鈴が
銭形平次捕物控:213 一と目千両
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
柄下
(
つかさが
)
りに、
抜刀
(
ぬきみ
)
を
刃尖上
(
はさきあが
)
りに背に隠して、腰をずいと
伸
(
の
)
して、木戸口から格子を透かすと、ちょうど
梯子段
(
はしごだん
)
を錦絵の抜出したように下りて、今、長火鉢の処に
背後
(
うしろ
)
向きに、すっと立った
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
長い
抜刀
(
ぬきみ
)
を片手にかざしながら、橋上にただ一人で突っ立っている光景は、舟の中から見ても穏かなる振舞とは見えません——それで、手を休めて、橋上の人のなさん様を眼も離さず見ていたが
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
札木合
(
ジャムカ
)
の手から、ばたんと
抜刀
(
ぬきみ
)
が落ちる。
若き日の成吉思汗:――市川猿之助氏のために――
(新字新仮名)
/
林不忘
、
牧逸馬
(著)
受人がなければ奉公は出来ず、と云って国へ
帰
(
けえ
)
れば
抜刀
(
ぬきみ
)
で
追掛
(
おっか
)
けられて殺されてしまいやすから、
拠
(
よんどころ
)
なく此処から飛込んで死にやすが
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
又八の提げていた
抜刀
(
ぬきみ
)
には、犬の血が垂れていた。それを見たので、ここへ来た男は、又八の前へ立った途端から、又八をただ者でないように睨まえて
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ツイ今しがた、
抜刀
(
ぬきみ
)
で俺を追っかけた浪人だ。あれは滅多に間違える人相じゃねえ」
銭形平次捕物控:082 お局お六
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と三人出たから見物は段々
後
(
あと
)
へ
退
(
さが
)
る、
抜刀
(
ぬきみ
)
ではどんな人でも退る、豆蔵が水を
撒
(
ま
)
くのとは違う、
怖
(
おっ
)
かないからはら/\と人が
退
(
の
)
きます。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
膝をついて這って来る男は
抜刀
(
ぬきみ
)
を持ち、一人は素槍を持って、そっと壁を撫でながら蒲団のすそのほうへ廻った。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
抜刀
(
ぬきみ
)
を突付けて脅かした上、いつもに似気なく、たった五両奪って逃出したのです。
銭形平次捕物控:036 八人芸の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
残りし
一人
(
ひとり
)
が又々
抜刀
(
ぬきみ
)
を取直し、「無礼なやつ」と打掛る下を潜って
一当
(
ひとあ
)
て当てますと、
脂
(
やに
)
を
甞
(
な
)
めた蛇のように身体を反らせてしまいました。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「いやご丁寧なる
詫
(
わ
)
びで痛み入る。身共こそ狼藉者の片割れかと存じて、
抜刀
(
ぬきみ
)
を向けた慌てようは面目ござらぬ」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鞘を洗うように、右手にそっと置いた来国俊の
抜刀
(
ぬきみ
)
、そのまま引っ掴んで立上った富山七之助、物も言わさず、障子から顔を出して笑って居る秋山彌十の面上へ存分に喰わせたのです。
銭形平次捕物控:246 万両分限
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
抜刀
(
ぬきみ
)
を
鞘
(
さや
)
に納め、
樫棒
(
かしぼう
)
を持ちまして文治の
脊中
(
せなか
)
を二つ
三
(
み
)
つ打ちましたが、文治は少しも動く
気色
(
けしき
)
もなく、両手を
支
(
つ
)
いたまゝ暫く考えて居りました。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
抜刀
(
ぬきみ
)
のまま
提
(
さ
)
げて来た脇差は、
鞘
(
さや
)
へおさめて、婆の腰へ元のようにもどして与え、そして立ち去ろうとすると
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「その娘の後ろから、覆面の浪人者が、
抜刀
(
ぬきみ
)
を持って飛込んだというのだろう」
銭形平次捕物控:036 八人芸の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
其の勢いに驚き
何
(
ど
)
のくらいの力かと安田は
迚
(
とて
)
も
敵
(
かな
)
わぬと思って
抜刀
(
ぬきみ
)
を持ってばら/\
逃
(
にげ
)
ると、弥次馬に、農業を仕掛けて居た百姓衆が
各々
(
おの/\
)
鋤
(
すき
)
鍬
(
くわ
)
を持って
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お十夜と天堂一角は、
抜刀
(
ぬきみ
)
を
背後
(
うしろ
)
へ廻して膝歩きに、ソッと、穴の両脇から、息を殺して暗い奥を
覗
(
のぞ
)
きこむ。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その後を追って部屋に入り、直八がお駒を抱え込む隙に、そこに置いた
抜刀
(
ぬきみ
)
を取って、後ろから刺し、息の絶えるのを見ると、何とはなしに下手人を誤魔化すつもりで、ふたたび死体に目隠しをさせ
銭形平次捕物控:054 麝香の匂い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
引
(
ひ
)
っ
提
(
さ
)
げ刀で小六が立上がった時、廊下仕切りの
簾
(
すだれ
)
の外を、涼やかな浴衣のかげが、チラと通り過ぎたので、彼は慌てて
抜刀
(
ぬきみ
)
を背中へ廻して坐ってしまった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と云いながら草鞋穿の足を挙げて、多助が
両掌
(
りょうて
)
を合せて拝んでいる手と胸の間へ足を入れて、ドウンと蹴倒しまして、
顛覆
(
ひっくりかえ
)
る所を土足で
蹈
(
ふみ
)
かけ、
一方
(
かた/\
)
の手に
抜刀
(
ぬきみ
)
を持って
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
丹之丞の手には早くも
抜刀
(
ぬきみ
)
が、連ねた灯にギラリと光ります。
銭形平次捕物控:035 傀儡名臣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
平常
(
へいじょう
)
は
錠口
(
じょうぐち
)
より
奥
(
おく
)
、
平家来禁入
(
ひらげらいきんにゅう
)
の
場所
(
ばしょ
)
であるが、いま老臣十兵衛がさきにまわってふれてあったので、一同
表方
(
おもてがた
)
で
血戦
(
けっせん
)
してきたままの
土足
(
どそく
)
抜刀
(
ぬきみ
)
の
狼藉
(
ろうぜき
)
すがたで
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼奴
(
あいつ
)
はいけません、彼奴一体そういう
質
(
たち
)
の奴でげす、
何
(
ど
)
うも怪しからん、
抜刀
(
ぬきみ
)
で口説くなんて、実に詰らん訳でげすなア、だから先生もう彼奴はお止しなすって
家
(
うち
)
に置かぬ方が宜しい
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そいつらは、この先の
斑鳩嶽
(
いかるがだけ
)
に巣を喰っている山賊も同じような悪郷士で、私どもの娘を二人召使に寄こせと、
抜刀
(
ぬきみ
)
で脅して山へ引ッ張って行こうとするのでがす。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
誰方
(
どなた
)
かと思いましたら仙太郎親方でございますか、実に
私
(
わたくし
)
は昨晩とけ/″\寐ませんから、今晩はグッスリ寐ましたところへ、
突然
(
だしぬけ
)
に
抜刀
(
ぬきみ
)
で頬を
打
(
ぶ
)
たれましたから、驚いて目を
覚
(
さま
)
して見ますると
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
みな、一ようの
陣笠
(
じんがさ
)
小具足
(
こぐそく
)
、
手槍
(
てやり
)
抜刀
(
ぬきみ
)
をひっさげて、すでに
戦塵
(
せんじん
)
を
浴
(
あ
)
びてるようなものものしさ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
処が今茂之助の
家
(
うち
)
で女の声で、キイーキイー人殺しイと云うを聞き付け、捨置き難いと存じましたから飛び込んで見ると、茂之助が
抜刀
(
ぬきみ
)
を振廻して居ます。松五郎を目懸けて打って掛るを抱き留め
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
抜刀
(
ぬきみ
)
をしのばせていたらしいのですが、すでに、その刃が私の
頭
(
こうべ
)
に下ろうとした瞬間、アア今思い出しても奇蹟です——いや私にとって、慈父たり、恩師たり、母たり
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で——孫兵衛は
抜刀
(
ぬきみ
)
を後ろ廻しにひそめたまま、
屈身
(
くっしん
)
を伸ばして、ジッと自分の息を殺した。すると、向うの呼吸が感じられた。世阿弥はやはりそこにじっとしていたのだ。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あッと驚いてふりかえると、
抜刀
(
ぬきみ
)
を持った天堂と旅川が、いきなり目前へ
跳
(
と
)
びかかってきた。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と——もう天堂一角の方は、それには一顧のいとまも与えず、
抜刀
(
ぬきみ
)
をあげて
川下
(
かわしも
)
を指し
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
九鬼弥助は、したり顔をして、
要心
(
ようじん
)
深く床下の土にヘバリつきながら、片手に
抜刀
(
ぬきみ
)
をつかんだまま、もういっそう、奥の方へ、ジリジリと身を
退
(
ひ
)
いて、その様子を見届けていた。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここに今しがた、血煙の立った様子を
嗅
(
か
)
ぎ知って、わらわらと集まってきた覆面の原士は——手槍や
抜刀
(
ぬきみ
)
の光を隠して、スススと風のごとく、先へ走った編笠の影をつけて廻る。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこを押すと、壁の一端が袋戸のように開いて、
抜刀
(
ぬきみ
)
を持った三名の武者が
檻
(
おり
)
の
豹
(
ひょう
)
みたいにかがまっているのが見えた。腹心の家来、田子大弥太、早川主膳、民谷玄蕃などだった。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
下
(
さ
)
げた
抜刀
(
ぬきみ
)
もそのままに、時に徳川万太郎は、あとに残って再び
四顧
(
あたり
)
を見渡しますと、雲霧の仁三、四ッ目屋の新助、いずれも素早い上に腕達者な
曲者
(
しれもの
)
、遂に、一方を破って逃げたものでしょうか。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どこかで一度、斬りつけたとみえ、右には
抜刀
(
ぬきみ
)
をさげていた。
下頭橋由来
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
右の手にはその
抜刀
(
ぬきみ
)
を。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
抜
常用漢字
中学
部首:⼿
7画
刀
常用漢字
小2
部首:⼑
2画
“抜刀”で始まる語句
抜刀騒
抜刀一伝