戸障子としやうじ)” の例文
がう/\と戸障子としやうじをゆするかぜがざツとむねはらつて、やゝかるくなるやうにおもはれて、したものも、わづかかほげると……うだらう
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その風雪ふうせつの一にぎりのつぶては、時々とき/″\のやうな欄間らんますき戸障子としやうじなかぬすつて、えぬつめたいものをハラ/\とわたし寢顏ねがほにふりかけてゆく。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
私が八歳の幼時、春風が戸障子としやうじをゆすぶる日の黄昏たそがれ近くであつたが、戸口の障子を開けると、赤いひも甲掛草履かふがけざうり穿いたお河童かつぱの雪子が立つてゐた。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
百樹曰、越遊ゑついうして大家のつくりやうを見るに、はしらふときこと江戸の土蔵のごとし。天井てんじやう高く欄間らんま大なり、これ雪の時あかりをとるためなり。戸障子としやうじ骨太ほねふとくして手丈夫ぢやうぶなるゆゑ、しきゐ鴨柄かもゑひろあつし。
天滿與力てんまよりき何某なにがしが、門前もんぜん旅籠屋はたごやとまり、大醉たいすゐして亂暴らんばうし、拔刀ばつたう戸障子としやうじやぶつたが、多田院ただのゐん寺武士てらざむらひ劍術けんじゆつらないので、おさへにくことも出來できなかつたといふはなし
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
しまひには猫又ねこまたけた、めかけのやうに、いとうて、よるひるも、戸障子としやうじ雨戸あまどめたうへを、二ぢうぢう屏風びやうぶかこうて、一室ひとまどころに閉籠とぢこもつたきり、とひます……
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
冬春にかぎらず雪の気物きものにふれてしものおきたるやうになる、是を里言りげんにシガといふ。戸障子としやうじすきよりも雪の気入りて坐敷ざしきにシガをなす時あり、此シガ朝噋あさひ温気あたゝまりをうくる処のはとけておつる。
留守るすにはかぜ吹募ふきつのる。戸障子としやうじががた/\る。引窓ひきまどがばた/\とくらくちく。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
百樹曰、越遊ゑついうして大家のつくりやうを見るに、はしらふときこと江戸の土蔵のごとし。天井てんじやう高く欄間らんま大なり、これ雪の時あかりをとるためなり。戸障子としやうじ骨太ほねふとくして手丈夫ぢやうぶなるゆゑ、しきゐ鴨柄かもゑひろあつし。
冬春にかぎらず雪の気物きものにふれてしものおきたるやうになる、是を里言りげんにシガといふ。戸障子としやうじすきよりも雪の気入りて坐敷ざしきにシガをなす時あり、此シガ朝噋あさひ温気あたゝまりをうくる処のはとけておつる。
けん山家やまがまへたのには、まで難儀なんぎかんじなかつた、なつのことで戸障子としやうじしまりもせず、ことに一軒家けんや、あけひらいたなりもんといふでもない、突然いきなり破椽やぶれえんになつてをとこ一人ひとりわしはもうなん見境みさかひもなく
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)