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戸障子
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としやうじ
がう/\と
戸障子をゆする
風がざツと
屋の
棟を
拂つて、やゝ
輕くなるやうに
思はれて、
突つ
伏したものも、
僅に
顏を
上げると……
何うだらう
その
風雪の一
握りのつぶては、
時々毛のやうな
欄間の
隙や
戸障子の
仲を
盜み
入つて、
目に
見えぬ
冷たいものをハラ/\と
私の
寢顏にふりかけてゆく。
私が八歳の幼時、春風が
戸障子をゆすぶる日の
黄昏近くであつたが、戸口の障子を開けると、赤い
紐の
甲掛草履を
穿いたお
河童の雪子が立つてゐた。
百樹曰、
余越遊して大家の
造りやうを見るに、
楹の
太こと江戸の土蔵のごとし。
天井高く
欄間大なり、これ雪の時
明をとるためなり。
戸障子骨太くして手
丈夫なるゆゑ、
閾鴨柄も
広く
厚し。
終には
猫又が
化けた、
妾のやうに、
日の
目を
厭うて、
夜も
晝も、
戸障子雨戸を
閉めた
上を、二
重三
重に
屏風で
圍うて、
一室どころに
閉籠つた
切、と
言ひます……
冬春にかぎらず雪の
気物にふれて
霜のおきたるやうになる、是を
里言にシガといふ。
戸障子の
隙よりも雪の気入りて
坐敷にシガをなす時あり、此シガ
朝噋の
温気をうくる処のは
解ておつる。
留守には
風が
吹募る。
戸障子ががた/\
鳴る。
引窓がばた/\と
暗い
口を
開く。
百樹曰、
余越遊して大家の
造りやうを見るに、
楹の
太こと江戸の土蔵のごとし。
天井高く
欄間大なり、これ雪の時
明をとるためなり。
戸障子骨太くして手
丈夫なるゆゑ、
閾鴨柄も
広く
厚し。
冬春にかぎらず雪の
気物にふれて
霜のおきたるやうになる、是を
里言にシガといふ。
戸障子の
隙よりも雪の気入りて
坐敷にシガをなす時あり、此シガ
朝噋の
温気をうくる処のは
解ておつる。
一
軒の
山家の
前へ
来たのには、
然まで
難儀は
感じなかつた、
夏のことで
戸障子の
締もせず、
殊に一
軒家、あけ
開いたなり
門といふでもない、
突然破椽になつて
男が
一人、
私はもう
何の
見境もなく