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幇間
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たいこもち
ふりがな文庫
“
幇間
(
たいこもち
)” の例文
この頃
京都
(
みやこ
)
で評判の高い、
多門兵衛
(
たもんひょうえ
)
という弁才坊(今日のいわゆる
幇間
(
たいこもち
)
)と、十八になる娘の
民弥
(
たみや
)
、二人の住んでいる屋敷である。
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
煙草の火に
炭団
(
たどん
)
を埋めた瀬戸の火桶を中に、三吉、伊勢源、それから下っ引彦兵衛と、死んだ栄太と親交のあったという
幇間
(
たいこもち
)
桜井
(
さくらい
)
某
(
なにがし
)
が
釘抜藤吉捕物覚書:01 のの字の刀痕
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
次に呼出されたのは
幇間
(
たいこもち
)
の理八、五十がらみのよく肥った男で、小唄を上手に歌うのと、軽口がうまいので人気のある男芸者です。
銭形平次捕物控:069 金の鯉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
もう
地獄
(
ぢごく
)
へも
汽車
(
きしや
)
が
出来
(
でき
)
たかえ、
驚
(
おどろ
)
いたね。甲「へえゝどうも
旦那
(
だんな
)
、誠に
暫
(
しばら
)
く……。岩「いやア、アハヽヽこれは
吉原
(
よしはら
)
の
幇間
(
たいこもち
)
の
民仲
(
みんちう
)
だね。 ...
明治の地獄
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ござんせん」がイヤに「ござんせん」
摺
(
ず
)
れがして甘ったるい。
寄席
(
よせ
)
芸人か、
幇間
(
たいこもち
)
か、長唄
鼓
(
つづみ
)
の
望月
(
もちづき
)
一派か……といった
塩梅
(
あんばい
)
だ。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
第五番に、
檜扇
(
ひおうぎ
)
取って練る約束の、
我
(
おの
)
がお珊の、市随一の
曠
(
はれ
)
の姿を見ようため、
芸妓
(
げいこ
)
、
幇間
(
たいこもち
)
をずらりと並べて、宵からここに座を構えた。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
落語家
(
はなしか
)
でも、
幇間
(
たいこもち
)
でも、田舍藝者でも、不良少年でも、殿樣でも、何れも小説家のやうにもつともらしく、理窟つぽい心理的開展を示して
貝殻追放:015 「末枯」の作者
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
藤井
六輔
(
ろくすけ
)
とか小堀誠などは自分の家のようにまめに働いていた。芸妓、各遊芸の家元たち、はなしか、
幇間
(
たいこもち
)
、集ればワッワッいう騒ぎだった。
旧聞日本橋:13 お墓のすげかえ
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「榊が居ると思わないで、ここに
幇間
(
たいこもち
)
が一人居ると思ってくれ給え——ねえ、橋本君、まあお互にそんなもんじゃないか」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
清麗な老嬢は、その時、石をぶつけられた
藪鶯
(
やぶうぐいす
)
のように
吃驚
(
びっくり
)
した声をして、
幇間
(
たいこもち
)
の桜川を
措
(
お
)
いて
灸点師
(
きゅうてんし
)
の前へ走っていた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
翌朝、例によって、「
飛鳥
(
あすか
)
」が遅い朝食をしているところへ、
幇間
(
たいこもち
)
の胡蝶屋豆八が、あわただしげに、飛びこんで来た。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
幇間
(
たいこもち
)
では東川喜久八が洗錬されていて、十八番は江戸前の獅子。市川音頭も彼の作詩で例年夏の夜を、江戸川花火、七
彩
(
いろ
)
の光を浴びては妓たちが踊る。
艶色落語講談鑑賞
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
ところがいつか美音会の忘年会のあった時、その番組を見たら、吉原の
幇間
(
たいこもち
)
の茶番だの何だのが
列
(
なら
)
べて書いてあるうちに、私はたった一人の当時の旧友を見出した。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
三年、
幇間
(
たいこもち
)
を三年、モグリ弁護士を三年やって来てからでなくちゃ、本当の仕事師には成れねえ
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
世人
(
せじん
)
の気に入るように文を書くという人もあるが、世人の気に入るのは
幇間
(
たいこもち
)
の仕事と同じ事だ。恋愛小説を書いて青年男女に
媚
(
こ
)
びようとするのは幇間が
旦那
(
だんな
)
を取り巻くと
異
(
ことな
)
る処はない。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
だれでもよいから
幇間
(
たいこもち
)
をひとり呼べというご注文だとか申しましてな、こちらの
四
(
よ
)
ツ
菱屋
(
びしや
)
さまからてまえのところにお座敷をかけてくださいましたんで、なんの気もなく伺いましたら、今
右門捕物帖:15 京人形大尽
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
文士ぢやの詩人ぢやの大家ぢやの云ふが女の生れ損ひぢや、
幇間
(
たいこもち
)
の成り損ひぢや、芸人の出来損ひぢや。苟くも気骨のある
丈夫
(
をとこ
)
の風上に置くもんぢやないぞ。汝も
尚
(
ま
)
だ隠居して腐つて了ふ齢ぢやなし。
貧書生
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
「とんでもない、あつしは
幇間
(
たいこもち
)
ですよ親分。里見屋の若旦那が一番の
施主
(
せしゆ
)
で、あの方が亡くなれば、路頭に迷ふあつしぢやありませんか」
銭形平次捕物控:201 凉み船
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
伊「ハヽア分った、お前は世の中のことを知らない人間だの、それは吉原の
幇間
(
たいこもち
)
の正孝が来たのじゃアねえかえ、
幇間
(
たいこもち
)
の事は
幇間
(
ほうかん
)
というぜ」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
けだし首尾の松の下だけの英雄で、初めから、一人供をした
幇間
(
たいこもち
)
が慌てて留めるのは知れている。なぜにその手を取って引上げて見なかったろう。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
東京では、山谷に一軒借りて、世帯を持ったが、
荻江節
(
おぎえぶし
)
で吉原へ出入りするうちに、金瓶大黒の楼主の大黒屋金兵衛の世話で、
幇間
(
たいこもち
)
の鑑札をうけた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
意外にも下劣卑賤な人間が多く、中には
幇間
(
たいこもち
)
にも劣る連中を發見して忽ち愛想をつかしたのであつた。
貝殻追放:013 先生の忠告
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
放蕩児
(
ほうとうじ
)
が金を散じる時の
所作
(
しょさ
)
はまず大同小異である、
幇間
(
たいこもち
)
にきせる羽織が一枚か百枚の差である。
旧聞日本橋:13 お墓のすげかえ
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
盛んな三味線の音は水に響いて楽しそうに聞える。全盛を極める人があるらしい。
何時
(
いつ
)
の間にか、榊や正太は腰の低い「
幇間
(
たいこもち
)
」で無かった。意気
昂然
(
こうぜん
)
とした客であった。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
芸者が四五人、
胡蝶屋豆八
(
こちょうやまめはち
)
という、小柄で、
跛
(
びっこ
)
の
幇間
(
たいこもち
)
が一人、巡査も二三人、まじっていた。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
医術のほうの
手腕
(
うで
)
は大したことはないらしいが、
幇間
(
たいこもち
)
的な、
辯巧
(
べんこう
)
の達者な男なので、この脇坂山城守をはじめ、こういう
大所
(
おおどころ
)
を病家に持って、無礼御免に出入りしているのだ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
途中で
古本屋
(
しょうばい
)
がイヤンなっちゃって、見よう見真似の
落語家
(
はなしか
)
になったり、
幇間
(
たいこもち
)
になったりしましたが、やっぱり皮切りの商売がよろしいようで、人間迷っちゃ損で御座いますナ。
悪魔祈祷書
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「そこらの
幇間
(
たいこもち
)
かて敵わんぐらい、せいらい、お世辞つかわんならん思うてんね」
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「へえい。
吉原
(
よしわら
)
の
蛸平
(
たこへい
)
様とおっしゃる
幇間
(
たいこもち
)
のかたでござりました」
右門捕物帖:15 京人形大尽
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
まだ一本になったばかりのお駒が、赤の他人の、初老近い
幇間
(
たいこもち
)
の世話を焼くのは、余程どうかした心掛けでなければなりません。
銭形平次捕物控:054 麝香の匂い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
昨日
(
きのう
)
吉原町の
幇間
(
たいこもち
)
がまいりまして、だん/″\の話の末全く花魁の
念
(
おもい
)
で
然
(
そ
)
ういうことになったのだから、足を切るには及ばない、叔母さんに詫ことをして
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
幇間
(
たいこもち
)
が先へ廻って、あの五重の塔の
天辺
(
てっぺん
)
へ上って、わなわな震えながら
雲雀笛
(
ひばりぶえ
)
をピイ、はどうです。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一つど
胆
(
ぎも
)
をぬいてやれと、それまで、お茶坊主役をつとめていた
幇間
(
たいこもち
)
の連中が、
金屏風
(
きんびょうぶ
)
をとらせて、もう秋ではあったが、揃い
浴衣
(
ゆかた
)
に
赤襷
(
あかだすき
)
で、かっぽれを踊って出た。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幇間
(
たいこもち
)
はやめて、花柳界や、夜の盛り場を歩く
辻占売
(
つじうらう
)
りになっていた。大福帳をかついでいる。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
その後ろに從ふのは、
幇間
(
たいこもち
)
が二人、
燗番
(
かんばん
)
一人、
盜食
(
ぬすみぐ
)
ひや夜逃げはするかも知れませんが、人間一匹殺せる人相のはをりません。
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
幇間
(
たいこもち
)
三八の腰障子の
閉
(
た
)
って有る台所に立ちましたのは、奧州屋の女房おふみ、
三歳
(
みッつ
)
に成る子を
負
(
おぶ
)
いまして、
七歳
(
なゝつ
)
に成るお
豐
(
とよ
)
という子に手を引かれて居ります。
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「なぜ、おめえは、
秤量
(
はかり
)
なんぞを、腰に差していねえで、
幇間
(
たいこもち
)
にならなかったか」
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
裏は天地で間に合っても、
裲襠
(
しかけ
)
の色は変えねばならず、茶は切れる、時計は
留
(
とま
)
る、小間物屋は朝から来る、朋輩は
落籍
(
ひく
)
のがある、内証では
小児
(
こども
)
が死ぬ、書記の内へ水がつく、
幇間
(
たいこもち
)
がはな会をやる
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その後に従うのは、
幇間
(
たいこもち
)
が二人、燗番一人、盗み食いや夜逃げはするかも知れませんが、人間一匹殺せる人相のはありません。
銭形平次捕物控:004 呪いの銀簪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
伊「何んでえ、仲の
幇間
(
たいこもち
)
だから花魁の
贔屓
(
ひいき
)
をしねえな「幇間ドラを打たして陣を引き」と云う川柳の通りで、己が勘当にでもされたらば
唾
(
つば
)
も
引掛
(
ひっか
)
けやしめえ」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
新吉原のまざり
店
(
みせ
)
、
旭丸屋
(
あさひまるや
)
の
裏階子
(
うらばしご
)
で、
幇間
(
たいこもち
)
の
次郎庵
(
じろあん
)
が三つならんだ
真中
(
まんなか
)
の
厠
(
かわや
)
で肝を消し、表大広間へ
遁上
(
にげのぼ
)
る、その階子の中段で、やせた
遊女
(
おいらん
)
が崩れた島田で、うつむけにさめざめ泣いているのを
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ですからさ、
幇間
(
たいこもち
)
の張のせがれの、
張二
(
ちょうじ
)
なんで」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
主人久兵衞夫婦、許婚の新六郎、妹のお鳥、手代の周次郎、それに
幇間
(
たいこもち
)
の豊年、藝者の小奴、お酌のお春、船頭の友吉、なか/\の人數です。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
極
(
ごく
)
頭
(
あたま
)
だった処の
福吉
(
ふくきち
)
、おかね、
小芳
(
こよし
)
、
雛吉
(
ひなきち
)
、
延吉
(
のぶきち
)
、
小玉
(
こたま
)
、小さん、などという皆其の頃の有名の女
計
(
ばか
)
り、
鳥羽屋五蝶
(
とばやごちょう
)
に
壽樂
(
じゅらく
)
と申します
幇間
(
たいこもち
)
が二人、
是
(
こ
)
れは
一寸
(
ちょっと
)
荻江節
(
おぎえぶし
)
もやります。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「貸座敷——
女郎屋
(
じょろや
)
の亭主かい。おともはざっと
幇間
(
たいこもち
)
だな。」
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そういえば、船頭も漁師も、
幇間
(
たいこもち
)
も番頭も、腹の中では新六を怨むかさげすむか、とにかく良くは思っていない様子です。
銭形平次捕物控:069 金の鯉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
是から
歳暮
(
くれ
)
に成りますると少し不都合で
愚痴
(
ぐず
)
ばかり云っている処へ、
幇間
(
たいこもち
)
の三八
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「姉は——
幇間
(
たいこもち
)
の七平を
怨
(
うら
)
んでいました。あの人がお袖さんに頼まれて、余計な事を言い触らしたばかりに、菊次郎さんと切れてしまったんです」
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
數「いや形が変って妙だ、
幇間
(
たいこもち
)
は口軽だというが、何か面白いことを云いなさい」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「姉は——
幇間
(
たいこもち
)
の七平を
怨
(
うら
)
んで居ました。あの人がお袖さんに頼まれて、餘計な事を言ひ觸らしたばかりに、菊次郎さんと切れてしまつたんです」
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“幇間”の意味
《名詞》
幇間(ほうかん)
宴席で遊興などをたすける男芸者。太鼓持ち。
(出典:Wiktionary)
“幇間”の解説
幇間(ほうかん)は、宴席やお座敷などの酒席において主や客の機嫌をとり、自ら芸を見せ、さらに芸者・舞妓を助けて場を盛り上げる職業。歴史的には男性の職業である。幇間は別名「」、「男芸者」などと言い、また敬意を持って「」とも呼ばれた。
(出典:Wikipedia)
幇
漢検1級
部首:⼱
12画
間
常用漢字
小2
部首:⾨
12画
“幇間”で始まる語句
幇間的
幇間式
幇間武士
幇間侍
幇間口
幇間者
幇間風
幇間医者
幇間半分
幇間末社