ざん)” の例文
君、今ここにわが前にます。われは、カルメルざんに孤雲を望む牧人の心となりて、君が御爲おんためにやをらうつくしき一條いちでうの歌を捧げむ
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
ざんがくのお社廟やしろを彼方に、泰山街道はもうえんえんとありのような参拝者の流れだった。多くは相撲の噂でもちきりである。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
伊太利イタリイのメシナ海峡を夜半よなかに通過する事に成つたのでエトナざんもブルカノたうも遠望が出来なかつたが、夜明よあけにストロンボリイ島の噴火だけを近く眺めた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「手前にも、出来ますよ。何うも、めっきり冷とうなりあがって、京は冷えるってが、本当に、ぞくぞく冷えやがる。ざんなんて、ここから出たのだろう」
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
丁度その時広岸こうがん(広峯)ざん神主かんぬし谷口某と云うものが、怪しい非人の事を知らせてくれたので、九郎右衛門が文吉を見せに遣った。非人は石見産いわみうまれだと云っていた。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
Brocken ざんへ! はうきまたがつたばあさんが、赤い月のかかつた空へ、煙突から一文字いちもんじに舞ひあがる。
動物園 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
『モリスざんでせう、わたくしはよつくおぼえてますよ。』とパツチリとした母君はゝぎみかほ見上みあげた。
西蔵チベット世界せかい屋根やねといはれてゐるほどで、くに全体ぜんたいたか山々やまやまつらなりだ。その山々やまやまなかでもぐんいてたかく、西蔵チベット屋根やねともいはれるのが、印度インドとの国境こくきやうまたがるヱヴェレストざんである。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
王は早速許されたので、その場でバーユー将軍は、よろひもぬげばかぶともぬいで、かさかさ薄い麻を着た。そしてじぶんの生れた村のスざんふもとへ帰つて行つて、あはをすこうしいたりした。
北守将軍と三人兄弟の医者 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
よって又一を先導として、餘作同道にてウエンベツざんに登る。川を渉り、或は沿岸を往き、或は樹間或は湿地を通行するに、熊の脚痕あしあと臥跡ふしあとあり。漸く進んで半腹はんぷくに至るに、大樹の多きに驚けり。
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)
「病気で亡くなったのでしたら仕方もございませんが——。殊にああした死方をしましたものですから、世間様へも申訳ないし、と申して親類の者達も困って居ます。何分にも一ざんを預かる身で——」
むかでの跫音 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
あれは火ざんけ目だ 名前はアリアダウエス小流せうりゆうといつてゐる
白きちりぬ紅きくづれぬゆかの牡丹五ざんの僧の口おそろしき
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
紅海こうかいの船の上より見えてゐるカソリンざんさびしかりけり
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
しかし、笠置、赤坂の失墜しっついがひびいて、熊野ノ別当以下三ざんの勢力も、宮方には冷たく、宮はやがて吉野から十津川とつがわの深くに一時身をかくした。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さしもにひろきネープルスわん眼界がんかいいたらぬくまはなく、おぼろ/\にゆるイスチヤのみさきには廻轉燈明臺くわいてんとうめうだいえつ、かくれつ、てんそびゆるモリスざんいたゞきにはまだのこんゆき眞白ましろなるに
午前四時頃シナイざんらしい山を右舷に望んだその日の夕暮に蘇西スエズの運河へ這入はひつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
オリンプざんいただき
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
あの眼のたかい快川和尚が、一ざんのなかからえりすぐって、武田伊那丸たけだいなまる御旗みはた楯無たてなし宝物ほうもつたくしたのは、よほどの人物と見ぬいたればこそであろう。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、恵林寺が大紅蓮だいぐれんにつつまれ、一ざんのこらず最期さいごをとげたなかで、わしだけは、この山奥につながれていたために、おそろしいほのおからまぬがれたのだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「一ざんの者どもは、みな山門へのぼったぞ、下から焼きころして、のちの者の、見せしめとしてくれよう」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがてばんかずも進むうちに、勾欄の一角に錦繍きんしゅうのぼりが立った。わアっと同時に四ざんがくもくずれんばかりな歓声が揚がる——。いよいよ天下無敵と称する擎天柱けいてんちゅう任原じんげんの出場なのだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど武技腕力にかけて絶倫な黄信が、みずからその警備軍の長を買って出て「——我れ出でて三ざん鬼声きせいなし」と大言を払ったところから、人呼んで鎮三山のあだ名がていせられたわけである。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)