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尤
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もっと
ふりがな文庫
“
尤
(
もっと
)” の例文
さて、これはこれでよいとして、こう書いて来た順序として何か
尤
(
もっと
)
もらしいことを云って、この茶話のしめくくりをつけたいものだ。
今昔茶話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
尤
(
もっと
)
もこの物語の後に於て判るように、このことがどんな事実であるかということを
明瞭
(
めいりょう
)
に知っている
筈
(
はず
)
の二つの関係があるのですが
壊れたバリコン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
尤
(
もっと
)
も、こんな
尻切
(
しりき
)
れトンボのような狂言を実際舞台でやれるかどうかは知りませんが、決して無邪気に笑うことはできないでしょう。
文学のふるさと
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
尤
(
もっと
)
も夫人の場合は
厄挫
(
やくざ
)
な兄の無心が当面の問題でなかった。常からある一般的不平が昨日の書面と今日の電報で刺戟されたのだった。
或良人の惨敗
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
だから日本歴史全部のうちで
尤
(
もっと
)
も先生の心を刺戟したものは、日本人がどうして西洋と接触し始めて、またその影響がどう働らいて
マードック先生の『日本歴史』
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
尤
(
もっと
)
も懐疑論という立場を離れて、懐疑そのものを考えると、懐疑には重要な意味がある。すべての知的探求は懐疑に始まるのである。
哲学入門
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
平次の言うのは
尤
(
もっと
)
もでした。行方不明の子供の迷子札が、親の財布へ入っているのは、そうでも考えなければテニヲハが合いません。
銭形平次捕物控:051 迷子札
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
尤
(
もっと
)
も、わたくしは弟子のしつけ方は随分きびしい方で、世間ではかみなり師匠とか云っているそうですが、いかにわたくしが雷でも
半七捕物帳:35 半七先生
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
尤
(
もっと
)
も外国でこの種の研究が行われていない一つの理由は、日本に較べて、雪の質が物の運搬に適していることによるのかもしれない。
雪
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
これをよい時機として役者を
止
(
や
)
めようとしたのであったならば、貞奴の光彩のなくなったのも
尤
(
もっと
)
もだと、
頷
(
うなず
)
かなければならないのは
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
いや、これに対しても、いまさら
他
(
よそ
)
の
家
(
うち
)
へとも言いたくなし、
尤
(
もっと
)
も
其家
(
そこ
)
をよしては、今頃
間貸
(
まがし
)
をする農家ぐらいなものでしょうから。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
尤
(
もっと
)
も、もう二三日すると
二七日
(
ふたなぬか
)
が来るから、事に依ると敬吾が帰って来るかも知れぬが……というのがお神さんの話の概要であった。
空を飛ぶパラソル
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
尤
(
もっと
)
も観察の精疎は直に句の価値を決定する所以にはならぬから、以上の理由だけを以て、この句をすぐれたものとするわけではない。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
林「
尤
(
もっと
)
も旦那様のお声がゝりで、林藏に
世帯
(
しょたい
)
を持たせるが、女房がなくって不自由だから往ってやれと仰しゃって下さればなア……」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
若者
(
わかもの
)
は
快
(
こころよ
)
く
引
(
ひ
)
き
受
(
う
)
け、
直
(
ただ
)
ちにその
準備
(
したく
)
にかかりました。
尤
(
もっと
)
も
準備
(
したく
)
と
言
(
い
)
っても
別
(
べつ
)
にそううるさい
手続
(
てつづき
)
のあるのでも
何
(
なん
)
でもございませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
尤
(
もっと
)
も、終戦直後、GIたちの、おこぼれを頂戴して飲んだ頃は、うまいなあと思った。僕は、併し、ペプシコーラの方が好きだったが。
清涼飲料
(新字新仮名)
/
古川緑波
(著)
尤
(
もっと
)
も大分以前から、彼が病気で床についた切りだということは聞いていたのだけれど、それにしても、あの自分をうるさくつけ狙って
幽霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
家族は
七重
(
ななえ
)
と申す妻とふたり残念ながら
未
(
いま
)
だ子にめぐまれておりません、
尤
(
もっと
)
も右はすでに御奉行役所へ届け出たとおりでございます
薯粥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
尤
(
もっと
)
も右に述べたのは、皆新聞紙上に表れた者のみであるから、勿論吾人の視聴に触れない、幾多の
巾幗
(
きんかく
)
登山者があったに相違ない。
女子霧ヶ峰登山記
(新字新仮名)
/
島木赤彦
(著)
尤
(
もっと
)
もむかし王定国という人が彼の書を巧みでないといったそうで、黄山谷自身も、この詩巻を書いた時は背中にできものができていて
黄山谷について
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
尤
(
もっと
)
も沼南は極めて多忙で、地方の有志者などが
頻繁
(
ひんぱん
)
に出入していたから、我々
閑人
(
ひまじん
)
にユックリ
坐
(
すわ
)
り込まれるのは迷惑だったに違いない。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「老人」を読んだ人は老人にも同情し、妾をも
尤
(
もっと
)
もだと思い、その中の何人にも人間らしい親しみを感ぜずにはいられないだろう。
志賀直哉氏の作品
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
尤
(
もっと
)
も、この村から牧場のあるところへは、更に一里半ばかり上らなければ成らない。案内なしに、私などの行かれる場処では無かった。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
然
(
しか
)
るに南蛮宗は一切の
施物
(
せもつ
)
を受けず、
却
(
かえ
)
つて
之
(
これ
)
を
施
(
ほどこ
)
して
下民
(
げみん
)
……いや人民の甘心を買ひ、わが一党の邪魔をすること
尤
(
もっと
)
も奇怪なり。
ハビアン説法
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
尤
(
もっと
)
も
靴下
(
くつした
)
もポケットに入ってゐるし必ず下らなければならないといふことはない、けれどもやっぱりこっちを行かう。あゝいゝ気持だ。
台川
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
尤
(
もっと
)
もそれが村の不文律を裏切った行為であるというのを知らなかった者である故、あたり前なら一先ず見逃さるべきはずだったが
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
「お前が聞こうという気さえもって居れば、きっと聞えるにちがいないんだ、
尤
(
もっと
)
もおまえにその気がなければ仕方がないが……。」
後の日の童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
尤
(
もっと
)
も苦しくて物の言えぬ場合がないではなく、僕も初めはそう解釈したが、唖だとして見れば、説明がいかにもはっきりつくのだ。
呪われの家
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
尤
(
もっと
)
も盗泉ものが幅を利かせている博物館なら、ヨーロッパには珍らしくない。最も甚しいのが大英博物館、それからルーヴル……。
愛書癖
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
尤
(
もっと
)
も血液型の研究には未完成の所があり、絶対性があるとはいえないかも知れませんが、そうなると妻の貞淑にも絶対性はありません。
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
尤
(
もっと
)
もセゾンはもう冬かも知れないが、過渡時代には、冬の日になったり、秋の日になったりするのだ。きょうはまだ秋だとして置くね。
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
稚き時に父母に従うは
尤
(
もっと
)
もなれども、嫁いりて後に夫に従うとはいかにしてこれに従うことなるや、その従うさまを問わざるべからず。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
歓楽のあとの
物淋
(
ものさび
)
しさ、とでも云うような心持が私の胸を支配していました。
尤
(
もっと
)
もナオミはそんなものを感じなかったに違いなく
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
尤
(
もっと
)
も私はこの寺の歴史と仏像にはさほど心をひかれない。法隆寺や薬師寺や東大寺に比べると格式もちがうし
由緒
(
ゆいしょ
)
も深いとはいえない。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
尤
(
もっと
)
もこの結果がいよいよ個々の小農場の孤立的傾向を促すことになったのもまた事実で、もしこういう新方法が採用せられなかったら
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
尤
(
もっと
)
もこの
界隈
(
かいわい
)
にはこう云う家も珍しくはなかった。が、「
玄鶴山房
(
げんかくさんぼう
)
」の額や塀越しに見える庭木などはどの家よりも
数奇
(
すき
)
を凝らしていた。
玄鶴山房
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
※を※としておいて書いて行っても興味——極めてお芝居的な興味の多い物語である。
尤
(
もっと
)
も※を吐くのに余り面白くないものはいけない。
傾城買虎之巻
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
唐獅子の画に註して
曰
(
いわ
)
く。「現今民国有識階級ニ
於
(
おい
)
テハ華国ハ眠レル獅子ナリト言ヒナサレ覚醒又ハ警世ノ意アリテ
尤
(
もっと
)
モ喜バル」
踊る地平線:01 踊る地平線
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
こうしないといけない理由は、やっと勘定をすませて慌てて駆出したために自動車にひかれるという
尤
(
もっと
)
もらしいことにしたいためである。
初冬の日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
尤
(
もっと
)
もこの地方の百姓たちで、もしそれがあきっぽい性格なら、百姓をやめて他国に移住するか、自殺でもするよりか仕方がない。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
尤
(
もっと
)
も右の琉球語彙は
冊封
(
さくほう
)
副使の
徐葆光
(
じょほこう
)
が康煕五十八、九年(享保四、五年)即西暦一七一九、二〇年在琉中に自ら蒐集したものではなく
南嶋を思いて:――伊波文学士の『古琉球』に及ぶ――
(新字新仮名)
/
新村出
(著)
尤
(
もっと
)
も真面目な話の最中に彼女がいきなり突拍子もなく笑い出したり、家へ
駈
(
か
)
け込んでしまったりするような場合もあったけれど。
イオーヌィチ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
右のような一年前に空想に過ぎなかった大計画も、今日は国民に
尤
(
もっと
)
もと思わしむるに足る昭和維新原動力の有力な一つとなった。
戦争史大観
(新字新仮名)
/
石原莞爾
(著)
尤
(
もっと
)
も枕は女のもの一ツしか見えなかったけれど、その傍に置いた煙草盆には灰吹から火入まで一ッぱいに
敷島
(
しきしま
)
の呑さしが突さしてあった。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
夜一しきり明日の下調べが済むと出かけられるので、なるべく目立たぬ服装をして、雨が降っても平気です。
尤
(
もっと
)
も乗物などはありません。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
おたがいが、まだ腹のさぐり合いをしている最中だから、浄憲の言葉は、
尤
(
もっと
)
もなのだが、他の連中は、何となくしゃくにさわる。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
尤
(
もっと
)
も、甚だしく大陸的な空漠をそなえている彼の顔に、ちッとやそッとの驚きが
掠
(
かす
)
めても、他人には分からないのだろうけれど。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼らはそこで、なぜか
揃
(
そろ
)
って阿賀妻の方を見た。
尤
(
もっと
)
も、ながくは見てはいなかった。視線をひるがえして含み笑いをして、そして云った。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
尤
(
もっと
)
もこの店は器物食器を主に売っていました。それから大倉組の処からもう少し
先
(
さ
)
き、つまり尾張町寄りの処にもありました。
銀座は昔からハイカラな所
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
便所は勿論、湯殿までが上下二つあって、それで家賃が七十円だというのである——
尤
(
もっと
)
も、物価のまだ安い時分ではあったが。
芝、麻布
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
“尤”の解説
尤(ゆう)は漢姓の一つ。『百家姓』の19番目の姓である。中国の福建省と台湾に多い。2020年の中華人民共和国の統計では人数順の上位100姓に入っていないが、台湾の2018年の統計では85番目に多い姓で、32,176人がいる。
現在の多くは王審知が閩の王となった時、閩国内の「沈」姓が同音の「審」を忌避するために改姓したものだと見られる。
(出典:Wikipedia)
尤
漢検準1級
部首:⼪
4画
“尤”を含む語句
尤物
御尤
尤至極
見尤
不尤
尤之次第
尤千万
尤様
尤異
御尤様
御無理御尤
罪尤
至極尤
蚩尤