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おおげさ
ふりがな文庫
“
大袈裟
(
おおげさ
)” の例文
題して「グッド・バイ」現代の紳士淑女の、別離百態と言っては
大袈裟
(
おおげさ
)
だけれども、さまざまの別離の様相を写し得たら、さいわい。
「グッド・バイ」作者の言葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
七日のものときまっている薺粥を、翌日にまた炊かせたというところに、破格というのも少し
大袈裟
(
おおげさ
)
であるが、一種の面白味がある。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
「そのとおり。われわれはこの調査の遂行に万全を期している。用意は周到である。しかし君たちは、あまり
大袈裟
(
おおげさ
)
だと笑うだろう」
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
少し
大袈裟
(
おおげさ
)
に云うならば、彼女を東京から関西の方へ
惹
(
ひ
)
き寄せる数々の
牽引力
(
けんいんりょく
)
の中に、この鮨も這入っていたと云えるかも知れない。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
お茶のお給仕をすませたわたしは母に褒めて貰ふことを楽しみに……と云ふのは
大袈裟
(
おおげさ
)
にしろ、待ち設ける気もちはございました。
雛
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
かつこれに加えて広告に巧みな民友社が商略上
大袈裟
(
おおげさ
)
に
吹聴
(
ふいちょう
)
したから、自然この附録に載ったものは大家を公認される形があって
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「片言もって
獄
(
ごく
)
を
折
(
さだ
)
むべきものは、それ
由
(
ゆう
)
か」などという孔子の
推奨
(
すいしょう
)
の辞までが、
大袈裟
(
おおげさ
)
な
尾鰭
(
おひれ
)
をつけて
普
(
あまね
)
く知れ
渡
(
わた
)
っていたのである。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
やがて、彼は、
拳
(
こぶし
)
を握り固め、闇の
彼方
(
かなた
)
に、うとうとと眠りかけた村のほうへ、それを振ってみせる。そして、
大袈裟
(
おおげさ
)
な調子で叫ぶ——
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
事件が
大袈裟
(
おおげさ
)
になることは、もとより覚悟の上であったろうが、絶縁状の字句が、何やらん書生流で、ほんとに、
心
(
しん
)
から底から
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
大袈裟
(
おおげさ
)
に斬られて、庭先に転げ落ちたのは丹之丞には遠い従弟で、綾野にはすぐの
従兄
(
あに
)
に当る、針目正三郎の
紅
(
あけ
)
に染んだ姿だったのです。
銭形平次捕物控:035 傀儡名臣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
研究と申すほどの
大袈裟
(
おおげさ
)
な文字はいかがわしいが、説明のしようによると、なかなかえらく聞えるようにできますから
御慰
(
おなぐさ
)
みになります。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「何だねえ、お前、
大袈裟
(
おおげさ
)
な。」と
立身
(
たちみ
)
に頭から叱られて、
山姥
(
やまうば
)
に逢ったように、くしゃくしゃと
窘
(
すく
)
んで、松小僧は土間へ
蹲
(
しゃが
)
む。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ところで、商売は、すべてひろめが肝腎ですからな、つまり宣伝てやつを
大袈裟
(
おおげさ
)
にやらないと、今時の商売は成り立ちませんな。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
考えてみると私も、いい方だってあったろうに猫の飯食う茶碗だって出来るものかなどと、
大袈裟
(
おおげさ
)
に過言したものだから、たまらなかった。
素人製陶本窯を築くべからず:――製陶上についてかつて前山久吉さんを激怒せしめた私のあやまち――
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
例のとおり
大袈裟
(
おおげさ
)
な友情を示しながらクリストフを迎えた。そしてすぐにパリーでの出来事を尋ね始めた。クリストフは彼の腕をとらえた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「もう何の策など
要
(
い
)
ろうか。城外を掘り
繞
(
めぐ
)
らす
大袈裟
(
おおげさ
)
な土木なども中止してよかろう。
一益
(
かずます
)
、てきぱきと、かねての計を行え」
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
次第にファルスは科学的に——と言うのもちと
大袈裟
(
おおげさ
)
であるが、つまりファルス全体の構成が甚しくロジカルになってきた。
FARCE に就て
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
その不思議に
大袈裟
(
おおげさ
)
なその鼻と深く鋭い目玉と、その荒目な皮膚の一つ一つの毛穴に圧倒されて、泣き出すかも知れない。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
森山さんの風貌から察すれば、仲造の言った形容は全然言い過ぎでもないかも知れないが、写真から想像したところでは仲造の話は
大袈裟
(
おおげさ
)
すぎる。
縁談
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
そうしてあとには
大袈裟
(
おおげさ
)
な身ぶりを入れて喋舌っている叔父の、滑稽なくらい真剣な表情だけが印象に残ってしまった。
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「是非一度叔父さんに御目に掛って置きたいと思いまして……電報はすこし
大袈裟
(
おおげさ
)
かとも思いましたが、わざわざ御出を願ったような訳です……」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
単に違約の云い訳のためならば、まさかそんな
大袈裟
(
おおげさ
)
な嘘はつくまい。これはきっとほんとうのことに相違ないとお粂は云った。半七もそう思った。
半七捕物帳:40 異人の首
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
で、金のあるものは自然と勢力があって、村の行政——というと少し
大袈裟
(
おおげさ
)
のようであるが——についても、そういった連中がはばをきかせていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
蘭堂はこの若く美しき未亡人の、少々
頓狂
(
とんきょう
)
な性質を知っていたので、彼女の
大袈裟
(
おおげさ
)
な言葉にも、さして驚かなかった。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ああいう
大袈裟
(
おおげさ
)
な電気計器や記録計などを持ち出したところで、恐らく冷血性の犯罪者には、
些細
(
ささい
)
の効果もあるまい。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
霧隠れ雲隠れ、と申しても、つまりは
火遁
(
かとん
)
の術、煙遁の術、薬品にて煙を急造し、目潰しを
大袈裟
(
おおげさ
)
にするまでじゃ。
怪異黒姫おろし
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
「私はあまり事件を
大袈裟
(
おおげさ
)
に考えすぎているのかも知れない。結局そのシャンマティユーなる者は大した者ではない。要するに彼は盗みをしたのだ。」
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
極めて
僭越
(
せんえつ
)
でかつは
大袈裟
(
おおげさ
)
のようではあるが、自分を主としたこの山の記録とでもいうような事と、自分がこの山に興味を持って、数回の失敗を重ねて
平ヶ岳登攀記
(新字新仮名)
/
高頭仁兵衛
(著)
もちろん例外もあるが、大多数の委託研究は、目的も方法も非常にはっきりしていて、少し
大袈裟
(
おおげさ
)
にいえば、初めから論文ができているような形である。
比較科学論
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
朗
(
ほが
)
らかになり、「I am a oarsman Rowing.」と漕ぐ恰好をすると、
大袈裟
(
おおげさ
)
な身振りで
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
看
(
み
)
ると浦上は、左の
頬
(
ほお
)
から頭へかけ、
大袈裟
(
おおげさ
)
に
繃帯
(
ほうたい
)
していたが、左の手首から甲へも同じく繃帯がしてあった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
私は豊ちゃんのお父さんから治療をうけ、足に
大袈裟
(
おおげさ
)
な
繃帯
(
ほうたい
)
をされて、また徳さんにおぶさって家に帰った。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
「なにそんな
大袈裟
(
おおげさ
)
なもんじゃあない、それにこんなものはもう一つのことに比べればお笑い草さ」「もう一つのことって、他にまだなにか悪さをやったのか」
恋の伝七郎
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
目が
据
(
すわ
)
り、顔がぞっとする程蒼かった。立ち上ろうとして、平均を失い、卓に
肱
(
ひじ
)
をついた。麦酒瓶が
大袈裟
(
おおげさ
)
な音を立てて倒れ、白い泡が土間にしたたり落ちた。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
渡して
大袈裟
(
おおげさ
)
の
吹聴
(
ふいちょう
)
「大原さん、小間物屋へ
往
(
い
)
ったところが今度新製の半襟で実に最屈強なものがありました。御覧なさい、これはブラッシ天というものです」
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
陸軍軍医
正
(
せい
)
の藤井氏と東京音楽学校助教授の
環
(
たまき
)
女史との離婚が、新聞紙の上で趣味の相違から生じた離婚だとか、陸軍と芸術との衝突だとか
大袈裟
(
おおげさ
)
に報道せられ
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「丹波さんは
何
(
ど
)
うも
大袈裟
(
おおげさ
)
で困りますよ。この忙しいのに、一月ばかり海岸へ転地しろと
仰有
(
おっしゃ
)
るんです」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と叫んだのは、
些
(
ち
)
と
大袈裟
(
おおげさ
)
だったので、真っ先に笑い出したのは、
通称
(
つうしょう
)
源助町
(
げんすけちょう
)
の丹ちゃんこと鏡丹波だ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
モリッツ・ドルフの Suvretta Haus に可笑しいほど
大袈裟
(
おおげさ
)
な
弗
(
ドル
)
の陣営を構えていた。
踊る地平線:11 白い謝肉祭
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
船は木の葉の如くも
大袈裟
(
おおげさ
)
だが、波に揉まれて客はごろごろ。深川の川筋へ乗り込んでほっと一息、そのうえ川岸の気分ものんびりと明治の仮宅通いだなぞと大喜び。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
予言と云うのは少々
大袈裟
(
おおげさ
)
ですが、とにかく、自分の顔色や、眼元に表れた口では云えぬ繊細な感じで、長い未来のことまでは解らなくても、二三日後の運命ぐらいは
凍るアラベスク
(新字新仮名)
/
妹尾アキ夫
(著)
「なるほど。目がさめておったら、水も汲んでやろう。じゃが枕を足蹴にするということがあるか。このままには済まんぞ」こう言って抜打ちに相役を
大袈裟
(
おおげさ
)
に切った。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
章介
勿論
(
もちろん
)
嬉しくないことはありませんよ。私だって、日本人ですからね。ただ少し騒ぎが
大袈裟
(
おおげさ
)
すぎると思うんです。これで戦争に勝ったというわけじゃないのですよ。
女の一生
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
というと少しく
大袈裟
(
おおげさ
)
に響き過ぎる感がないでもないが、ある日半島一周の仕業から帰ってみると、乗務員詰所の掲示板に、石炭の使用成績が個人別に発表されてあった。
指導物語:或る国鉄機関士の述懐
(新字新仮名)
/
上田広
(著)
しかし今日の東京になっては下水を呼んで川となすことすら既に滑稽なほど
大袈裟
(
おおげさ
)
である。かくの如くその名とその実との
相伴
(
あいともな
)
わざる事は独り下水の流れのみには留まらない。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「孝行だなんて、そんな
大袈裟
(
おおげさ
)
なことは、今度の母さんにはいらないんだ。孝行は、お祖母さんとお父さんだけにすればいい。母さんには、三人共うんとわがままを言うんだね。」
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
呉昌は、洪将軍の意をうけて、
大袈裟
(
おおげさ
)
な身振りをしながらデューラン氏に近づいた。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
あらゆる若い娘たちの
先途
(
せんど
)
すなわち到達点、もっと
大袈裟
(
おおげさ
)
な語でいえば女の修養の目的が是にあったとこは、あらゆる若者が家長の地位を
獲
(
う
)
るのを目標に、努力したのも同じである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
妲己
(
だっき
)
や
褒姒
(
ほうじ
)
のような
妖怪
(
ばけもの
)
くさい恐ろしい美人を
譬
(
たと
)
えに引くのも
大袈裟
(
おおげさ
)
だが、色を
貪
(
むさぼ
)
るという語に縁の有るところがら、楚王が陳を討破って後に
夏姫
(
かき
)
を
納
(
い
)
れんとした時、
申公
(
しんこう
)
巫臣
(
ふしん
)
が
諫
(
いさ
)
めた
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
(それくらいのことなら、なにも、こんなに
大袈裟
(
おおげさ
)
にいわなくても……)
キャラコさん:06 ぬすびと
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
大
常用漢字
小1
部首:⼤
3画
袈
漢検準1級
部首:⾐
11画
裟
漢検準1級
部首:⾐
13画
“大袈裟”で始まる語句
大袈裟掛